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2005年5月13日 (金)

磯崎哲也さんのブログから

毎日、愛読している磯崎さんのブログのなかに、たいへん興味深いエッセイがあります。

仲良くしない技術

実際、社外監査役として、どうやってこの会社と向き合うか、とても悩むときがあります。

監査役会でも、ほかの監査役の方々は人生の先輩でもあり、きちんとしていて楽しくお付き合いさせていただいてます。また、代表者含め取締役の皆さんとも、まったく畑の違う私(年齢的にも40代というのは、役員のなかで私ひとり)であっても親しくおつきあいさせてもらっています。こちらも、なにか問題が発生した場合には、呼ばれる前に会社に行き、事実確認をしたうえで、(必要とされているかどうかはあまり遠慮することなく)意見を述べるようにしています。

ただ、このようなことを毎年繰り返しているうちに、「この人たちの不利益となる結論を堂々といえなくなる」という不安が強くなるのではないかな・・・と危惧することも事実です。仲良くしない技術というもの、仲良くしない団体構成員、というものを自分の人生のなかで経験したことがありません。磯崎さんのブログのなかで、文化の異なる国で発達した技術を、そのまま技術として受け入れることができるかどうか、疑問を呈しておられますが、まったくそのとおりだと思います。

おそらく、今後社外監査役として、この企業で私の置かれている役割をまっとうするためには、せめて他の取締役からは「よそモノ」「異端者」的立場で意識してもらうよう努力することに尽きると思います。西武鉄道の粉飾決算の発表については、社外監査役の立場が大きな役割を演じました。「あの監査役に調査された以上、もはや内々にはできない」

社内でこの感覚を他の役員に認識してもらうこと、これが最低限度の社外監査役の役割ではないなか・・・と考えています。だから、はばかることなく遠慮せずに社内調査をして、「?」の顔をされるような質問を堂々として、でも普段は普通に社内このことを礼を尽くして勉強させていただく。仲良くしない、というわけではないけど、どっか「こいつはやっぱりよそモノだし、ケツまくっても自分で食べていけるからコワイ」と認識してもらえるような、そんな人間関係を継続して築いていきたいと思います。

昨日日本取締役協会の宮内氏のコメントがサイトで更新されていましたが、宮内氏も、これからはアングロサクソン系の企業統治の制度を受け入れたうえで、日本的な文化をどのように取り入れ、根付かせていくべきか真剣に考えるべき、と述べておられます。仲良くしない技術というのも、なかなか実行はむずかいしかも知れませんが、企業の場合には、最後の砦として「企業精神、企業のモットー」があるはずです。この精神が企業内で明確になっていれば、仲良くしない技術もすこしずつ浸透するのではないでしょうか。そんな意味でも、社訓なり企業のもつ明確な目的というものは重要ですよね。(といっても人間関係はムズカシイ・・・)

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コメント

山口さんおはようございます。bunと申します。生意気ながら私もそのような立ち位置が望ましいと思いました。飲みに行く回数にも戦略が必要ですね。建設的な意見を言うためには何も知らずにソトから入ってきて、素直に、一目、これは変、と思うところをどんどん指摘するというのは有効だと思うのですが、どのような人間ならば「ソト」から入ってきた意見であっても「ウチ」の人間が徹底的に弾いたりしないで聞き入れるのかその判断基準に興味・関心があります。あるいは日本文化が外来文化のどれをどのように取り入れるのかに通じるかもしれません。どの会社でもツボは結構そろっている感じもするのですが、ではどのようなツボかというといわく言い難しといった感じもしています。

投稿: bun | 2005年5月15日 (日) 10時18分

bunさん、いらっしゃいませ。
日曜ですので、家族サービスしてまして、コメントに気づきませんでした。
マスコミとか専門誌では、表面的な論評が多くて、本当の「ソトモノ」の身の処し方なんか、実際にやってみないとわからないですよね。せっかくのブログですから、人からは「間違ってる」とご指摘を受けようとも、具体的な身の処し方など、もっと議論してみたいと思っております。これからもご指導、よろしくお願いします。

投稿: 管理人 | 2005年5月15日 (日) 20時37分

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