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2005年5月26日 (木)

企業買収防衛策に対する素朴な疑問

商事法務1731号(5月5日、15日合併号)の座談会記事、とりあえず全部通して読みました。現在、会計士さん、M&A仲介業者さんと取り組んでいる事業の参考にさせていただこうかと思っています。

ただ、なんとなく「素人の素朴な疑問」というか、杞憂にすぎないと言われればそれまでなんですが、すでに各社で導入されているようなライツプランというものが、本当の有事に機能するんかな・・・・と、そんな気がしてきました。いままで拳銃を持ったことのない日本人が、いきなり練習もせず「これ一発で、奴を撃て」と言われているような、そんな無謀なことを考えているように思えてきました。拳銃に弾は一発なんですよね?

しかも、いろいろと判例などに出てくるアメリカの事案というのは、双方がアメリカの企業であり、資金力なんかもそれなりに豊富なわけで、資金力に大きな差がある欧米企業が日本企業をターゲットにしてきた場合にも、その「武器」が通用するんでしょうか?たとえば、孫会社を使って、ライツプランを発動させて、丸腰になったところで子会社がそのあとTOBをかけるとか、そんなアコギなことでなくても、買収したい企業を複数の希望企業が順次敵対的買収をかけてくるとか、そんな事例でもうまく機能する防衛策というものがあるのかどうか、不安になってきます。(いままで、そんな議論はどこかでなされているのでしょうか?)

ゲーム感覚の発想が先立ってしまって見えにくいかもしれませんが、本当に必要な防衛策は、企業にとっては地道な企業価値向上のための施策と株価対策、そして国による規制法の改正(具体的には証券取引法による規制)なのかな・・などと疑問を抱くに至っています。たしかに「いい買収は企業にとっても歓迎」ということが前提ならば、あまり規制法による防衛はよろしくないとは思うんですが、さて冷静に考えて「いい買収」と「悪い買収」というのも、そんなに簡単に判断できる人っているんかなあ・・・と、どっかで割り切らないといけないんじゃないかな・・・と。

いまできることから始めよう、という気持ちになって、まずは防衛策を検討しておりますが、株主総会終了後、「これでホットひと息」ということには、どうもなれそうにありません。。。

西濃運輸さんのライツプランの説明、どなたか理解できた方がいらっしゃったらご教示ください。私は何度読んでも理解できません。

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コメント

こんばんは。私も全く賛成です。「いい買収」「悪い買収」など完璧には判定不能であるし判定する必要もないばかりか判定してはいけないと思っています。「いい」「悪い」というのはわかりやすいですが比喩にとどめておくべきだと思います。「仮に」「当座」「当面の間」いいものと扱うとか悪いものと扱うという仮説以上のものにしてはいけないと思います。企業価値に関してはこのような判定不能性が常につきまとっているということなど相場を身銭である程度の期間やってみればわかることなのですがそれをしたことのない人が商法を作るべきではないと思います。相変わらずの極論でしょうか・・・

投稿: bun | 2005年5月27日 (金) 20時07分

bunさん、こんばんわ。またまたストレートなご意見ありがとうございます。bunさんのように実際に企業価値判定と直面するお仕事の方であれば、やっぱり経験に裏付けられた自信のあるご意見になるんでしょうね。ときどき反対意見もありますが(笑)、そういったご意見を聞けるのがブログのいいところだと思います。
そうそう、中山先生のブログ、格調高くて、私も愛読者になりましたよ。団藤先生や小野清一郎先生などのお名前も出てきて、涙が出そうです。

投稿: toshi | 2005年5月28日 (土) 03時04分

おはようございます。お返事ありがとうございます。お察しの通りでいろいろな論客にこのストレートをbun投げて勝負を挑んでおります(笑)。中山先生はコメントしても決して返事してくださいませんがエントリの主題の選び方や熱の入れ方に明らかに読んでくださっているに違いないと思われる節があってそれだけで大変光栄に思っております。toshiさんのコメントやTBを中山先生のブログ上で拝見する日を楽しみにしております。先生は臓器移植法案に携わっていらっしゃるのでドナーカードをもち全臓器の提供意志を免許に明示している者として、一方的な指示というわけでもなく中山先生自身の臓器はもう被移植臓器にはなれまいがと思いながらも(内密にお願いいたします 笑)日々楽しみに拝読している次第です。

投稿: bun | 2005年6月 3日 (金) 10時30分

おはようございます。そうですね、中山先生には昔、答案練習会でいろいろ直接質問したこともありましたが、非常に懇切丁寧にご指導いただいた経験があります。なんかトラウマのようなものかもしれませんが、実際どんな人が知っているだけに、恐れ多くてコメントがしにくいところってありますよね。(笑)いまでも、学会とかにお誘いがあって、出向こうとされるその気概に、頭が下がります。

投稿: toshi | 2005年6月 3日 (金) 10時59分

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