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2005年5月29日 (日)

会計士さんのお値段

事件の相手方との間で、会社の一事業部門の営業譲渡対価を算定しておりますが、訴訟ともなると、その営業譲渡対価について、それぞれの意見が対立してしまって、なかなか和解ができません。どちらにも公認会計士さんが意見書を作成してくれておりますので、企業価値についての客観的な合意が可能かといいますと、実はそんな簡単なものでもなさそうです。いわゆるキャッシュフロー割引法を基本としていることが同じなんですが、リスクをどのように算定するのか、何年のフローをとるのか、将来の売却代金について、どのような事例を基礎とするのか、いろいろと会計士さんの裁量によって決まる部分があるようなんで、企業価値の把握が困難になってきました。

ところで、ほかのブログでも話題になっていたり、また直接たずねてみたりしたことから思うことは、会計士さんの報酬というのは、ほかの人との能力の差というものではっきり決まるものでもないようですね。とりわけ会計監査を中心に行っている会計士さんは、常に100点をとる仕事が要求されるから、100点とって当たり前、仕事の出来において、ほかの会計士さんとの比較、ということもあまりクライアントからされないような仕事環境なんでしょうか。弁護士の場合は、訴訟における勝敗や、和解による処理の巧拙、事件処理の見込み通りの結果を出したかどうか、執行猶予のついた判決をもらえたかどうかなどなど、結果がクライアントに容易に理解できたり、また別の弁護士との巧拙の比較が可能だったりするために、「私はあの人と違って高額ですよ」と言いやすい環境にあります。(もちろん、私がとうわけではありませんよ・・)したがって、実力がつけばそれに伴って報酬のステップというものも駆け上がることが可能です。しかしながら、会計士さんの場合には、「うちの監査法人は実力があるから監査は高いですよ」ということが言いにくいように思われます。日本の監査報酬はアメリカと比較すると数分の一以下、と言われますが、企業からリスクをとってあげる大切な商売なのに、そのリスク回避のお値段がかなり低額に見積もられているのではないかな・・・と考えたりします。そのあたり、会計士さんが不満を抱くと、結局独立されてコンサルとして経営者の道を歩まれることになるんでしょうかね。

5月 29, 2005 企業会計 |

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5月31日日経夕刊によれば、日本公認会計士協会は2006年度から、企業経営者による不正を見抜くことに重点を置いた会計監査の手法を導入する、とのこと。これまで会計監査に不正発見の責任はないということが主張されてきていて私にはこれは正当な主張だと思われたの... [続きを読む]

受信: 2005年6月 1日 (水) 09時05分

コメント

はじめまして。東京で会計士をしております。会計士の値段ですが、昨年から、有報に開示されるようになりました。規模、内部統制の状況などによって大きく違いがあるようです。個人的には、「こんな監査報酬で仕事できるなぁ」という会計士もいます。
ただ、報酬は、自分の生き方や仕事に対するブライドなど個人の考え方に大きく影響されると思います。組織で仕事をしている監査法人であれば、経営戦略、評価体制にも影響されると思います。
「会計士の値段」ですが、監査報酬について、少し、コメントをさせていただきます。
私の上司、以前、大手監査法人でパートナーをしておりました。私はその下で働いていました。今は、独立して、共同で会計事務所をしております。
当時、彼は、高額の監査報酬(監査法人内の同規模会社と比較して)を提示することで有名でした。監査を受けるお客さんからも別に文句をいわれることもありませんでした。
彼は、リスクアプローチといわれる監査手続をとっていました。今は、会計士協会からこのアプローチで監査するよう指導されていますが、そういうこともない10数年前より、採用していました。
一般的に会計監査というと帳簿チェックし、会計処理を検証するイメージがあります。しかし、彼は、経営者とディスカッションすることに重点をおいていました。当時、経理担当の役員としか話をしないパートナーが多かった時代では珍しいと思います。彼曰く、「経営者は、内部統制の外にいるので、彼が、粉飾決算しようと思えばできるから、彼の経営に対する考え方を聞いておくことが最も重要。また、経営者から話を聞かないと組織のリスクというのは解らない」とよく言っていました。リスクは、財務関連です。
そのような監査の過程で、いろいろ問題点が発見されます。これについて、指摘をし、改善を行うことを繰り返していました。この地道な作業がお客さんに評価されたのではないかと思います。
報酬に結びつけるStepについて、彼は以下のことをよく言います。
Step1 お客さんのことをよく知る
Step2 その過程で財務に及ぼすリスクを把握する
Step3 そのリスクを経営者に説明する(経営者にとっては耳の痛いこともよくあります)
Step4 その説明を経営者に理解してもらう
Step5 そのリスクを改善する
Step6 その提案・改善した結果を監査報酬に反映させる
彼は、これを繰り返していました。今もそうです。このStep6までいかないと報酬には結びつかないと思います。彼、最近は、年をとったので、Step6の報酬はどうでもいいようですが。私の税務のお客さんも監査法人より監査をうけています。ただ、低報酬の監査法人は、このステップをクリアしていないような気もします。
私は、このStepをクリアできる能力があるかどうかが報酬に結びつくと考えています。

投稿: arnese | 2005年6月 5日 (日) 01時05分

arnaseさん、はじめまして。貴重なご意見ありがとうございました。関連のエントリーにTBさせていただきましたので、またお時間ございましたら、こちらにも遊びに来てください。

投稿: toshi | 2005年6月 6日 (月) 02時32分

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