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2005年5月31日 (火)

高齢者向け信託ビジネス

きょうは企業価値論とはまったく別の話ですが。

「信託改革 金融ビジネスはこう変わる」という新刊を読みました。現在60歳以上の方が700兆円の資産を保有し、数年後に団塊世代の方が加わるとものすごい富の偏在が起こるということです。今朝の新聞でも大手信託銀行が「高齢の富裕層」をターゲットにした商品開発や、情報交換などを進めるということです。成年後見制度(任意後見契約締結を含め)がかなり一般に浸透していることや、平成15年の税制の変更で、高齢者ご自身で資産の管理運用処分方法をまえもって決定する機会が増えたことも、信託会社が高齢者保有資産管理などへ注力する動機になっていると思われます。

ちょっと、読んでいて気になったことは、遺産管理業務というものについてですが、高齢者が亡くなって、その後相続人が数名存在する場合、みなさんから委任状をとって(もしくは遺産管理委託の契約書をとりつけて)ややこしい遺産分割の手続きを信託銀行などが代行するということですが、これは信託法によって適法とされているのでしょうかね。弁護士の場合には、あとで相続人どうしがもめるような場合には、それまで皆さんの委任状をとって遺産分割業務を遂行していた場合には、どの相続人の代理も継続してはならず、すべての業務から辞任しなければならない、と思います。したがいまして、たとえ当初、相続人が仲良くしてても、弁護士はなるべく相続人のうちのどなたかおひとり、ということで代理人に就任するようにしています。

もし、相続人どうしで遺産の範囲や持分などで紛争が発生した場合には、その時点で遺産分割業務を中断して、信託会社が弁護士を紹介する、ということでしょうか。それにしても、それぞれの相続人に、同じ信託会社が別々の弁護士を紹介する、というのも、すこしおかしな話のようにも思えますが。

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