ガイドライン行政について
社会問題へのツッコミが鋭く、いつも興味深く拝読させていただいている47thさんのブログで、スーパー袋の販売化に関する意見が載せられています。
小売店における買物袋の無料交付を法律で禁止したり、罰則として社名を公表することについては、私も基本的に反対です。法施行のための余計な人的、物的設備の増加につながることが心配です。この問題については、掲載されている記事によりますと業界の自主規制等にゆだねても効果が期待できない、とのことですが、これこそ環境省によるガイドライン策定によって業界の自主ルールを誘導するのが適正ではないかな(適正というのは語弊があるとしても、今最も活用しやすいのではないかな)と思います。
ガイドライン行政が期待しうる理由は、この問題が環境配慮に関するものだからです。企業の社会的責任(CSR)が話題となっている昨今、企業にとって最もナーバスにならざるをえない問題のひとつは環境問題です。CSR問題が「企業価値」に与える影響というのは、多種多様なご意見があるのが事実でしょうが、こと「環境配慮」についてはもっとも「企業価値」に影響を与えるCSR問題という認識ではほぼ意見は同じではないでしょうか。もし環境省が大型小売業者の買物袋取扱に関する遵守ルールを定めたとすれば、(もちろん法的拘束力はありませんが)業界団体も細則を整備し、各大型小売業者も自社の対策を広報することになるものと予想します。
なお、47thさんは、買物袋有料化(その金額の妥当性を含めて)と消費量(減少)との因果関係は疑わしい、とのご意見のようですが、この点はちょっと意見が異なります。5円、10円の値段のちがいを求めて、遠くのスーパーへ「ママチャリ」で出かける主婦にとって、もし有料化となれば、まちがいなく買物袋は買いません。(うちの嫁さんも絶対に買わないと申しておりました)経済的合理性だけで動く消費者の存在は希少であり、「きょうはあのスーパーで他店より5円安いキャベツ買えた!」こと自体に満足する消費者が集結するスーパーでは、やはり買物袋の有料化自体は、消費量減少へ明らかに進むものと思います。
また、買物袋有料化によって、スーパーが得をするかというと、そうでもないような気がします。私がこの記事を読んだときにまっ先に思ったことは
「ホンマかいな!?それやったら万引き なんぼでもできるやん・・・」という感想でした。
もし持参袋フリーなら、店舗内で袋に入っている品物はどこで買ったものかも特定できないし、レジ通過後も、万引きした品物なのか、正規で買ったのか、他店で購入したのか、その袋に入れてしまったら特定は難しいのではないでしょうか。したがって、万引きの現行犯は相当厳密に行動を監視していなければ摘発できないので、監視カメラや警備員の増員のために小売店の経費はむしろ増大するのではないかな、と予想します。コンビニなら、なおさらのことのように思います。(ちなみに、私は万引きはしませんよ。たんに、そう思っただけですから・・・)
| 固定リンク
コメント
TBありがとうございます。
続報があったので、TBさせて頂きました。
有料化と削減の因果関係については、私も主婦の方々にはインセンティブがあるのはそうだろうと思うのですが、こういう方たちは有料化以外の手法(買物袋持参者への特典や割引)にも割合に敏感に反応するんじゃないかという意味で、「有料化を強制」することが、どのぐらい追加の削減効果を生むのかは慎重に考える必要があるのかなというつもりで書いてみました。
万引き問題の方は・・・実は私の実家は昔本屋をやっていたので、「なるほど」とうなずいてしまいました。
投稿: 47th | 2005年5月21日 (土) 02時45分
47thさん、コメントありがとうございます。なるほど、というか私も「脊髄反射的に」書いてしまいましたので、そこまでの真意を読み込むことができませんでした。業界団体の要望がどのように施策として受け入れられるか、費用負担と絡んで注目されますね。
防衛策のほうは、当然のことながら47thさんのご専門分野ですので、また「ふぉーりんあとにーの憂鬱」のブログで続編を楽しみにしております。今後ともよろしくお願いします。
投稿: toshi | 2005年5月21日 (土) 18時27分