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2005年7月 4日 (月)

第17回ビジネス実務法務検定2級問題

昨日(7月3日)、全国の商工会議所で開催された「第17回ビジネス実務法務検定」の速報です。(といっても2級だけですが)このブログが「ビジネス法務の部屋」という題名でもあり、すこし解説をしてみたいと思います。現実の企業法務の世界で、いまどのような法律制度に対して興味がもたれているのか、認識したいと思いました。

5択マークシート40問(前半20問各3点、後半20問各2点 合計100点 合格点70点)というものですが、ザッと眺めた印象としましては、これを70点でクリアするのはかなり勉強をしていないと無理だと思いました。

1 いきなり独禁法の不公正な取引方法の事例問題(新聞報道などを読めばできそう)、消費貸借契約の要件事実(弁護士でないとムズカシイ)、債権譲渡と対抗要件(過去問よりもハイレベル)、電子商取引法(平成13年の新法を知らないと無理)

2 営業秘密管理(不正競争防止法の十分な理解前提、しかも選択に正確な知識必要)、抵当権消滅制度(新民法の知識必要)、累積投票制度、電磁的議決権行使(最近の商法改正について)、消費者契約法、特定商取引法、製造物責任法混在問題(かなりハイレベル)

3 ビジネスモデル特許などの知的財産管理混合(かなりハイレベル)閉鎖株式会社の投下資本回収方法(やっと従来レベルか)、債権回収と相続放棄(平成11年改正民法、ノーマライゼーション改正の知識必要)、民事再生法手続き(これはハイレベル。弁護士でも正確な知識がないと無理。正しいものの個数を選択するのはキツイ)

4 国際法務(仲裁条項、これは過去問レベル)、利益相反取締役の責任免除(最近の商法改正の知識必要)、工作物責任と労災問題(過去問レベル)、下請代金支払遅延等防止法(最近の改正知識必要)

5 売買契約の要件事実(過去問レベル)、任意組合等、組織の損害賠償債務(かなりハイレベル)、多数債務者間の求償問題(細かい条文知識必要)、個人情報保護法関連(比較的やさしい)

以下は2点問題につき、項目のみ

6 営業譲渡と雇用問題、中国法制度(これはまったくわかりません・・)、不正競争防止法関連訴訟手続き、著作権と出版権

7 企業組織の体制について、請負契約における瑕疵担保責任、労働協約と就業規則との関係、少額訴訟の特徴

8 親子会社における役員兼職問題、危険負担、新破産法制度、国際法務(ディスカバリー制度)

9 食品衛生法、JAS法、景表法混合問題、株主への利益供与事例、特許と実施権、仮差押手続きの特徴

10 新株発行制度の概要、遺産分割と登記、取締役会議の運営方法、集合動産譲渡担保制度の概要

 こうやって概観しますと、民法については司法試験でよく問題とされる「当事者間の利益バランス」ということよりも、徹底して「債権回収」のからむ問題に力点が置かれていることがわかります。商法については、ここ5年ほどの改正点を中心に勉強しておかないと問題にならないようです。あと、知的財産権問題もレベルアップしており、知財検定と同じレベルの問題が出ています。ITにからむ新法や消費者保護関連法も必須です。中国法には、いったいどのような担保権が現存するのかなど、私はまったくわかりません。企業法務部というところは、これほどまでにオールラウンドな知識を要求されるのでしょうか?これで70点をクリアされる方、私は本当に尊敬いたします。。。

7月 4, 2005 商事系 |

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コメント

オールラウンドという意味では相当広い知識が要求されるのは事実です。ただ、あれの2級で相当の点数が取れたからといって実際の法務セクションで通用するかどうかは別問題です。これ以外に業態ごとの特別法や会計上の問題や税務上の問題まで関連してきて実務でナンボです(^^;)。出題が不能な(?)法的な領域(←コンプライアンス上問題のない領域に限る)だってあるんですから。債権管理が重視されてるのは出題者の要因もあるかもしれません(^^;)。ただ、中国法はやりすぎかもしれませんねえ。まだ法制度固まってるとはいえませんもの。

投稿: ろじゃあ | 2005年7月 4日 (月) 17時02分

「出題が不能な(?)法的な領域」ばかりを集めた「裏ビジネス法務検定」とかあったら楽しいかもしれまんせん。ゴルフ場開発のときに、水のない「ため池」を見つけたらどうするか、とか、2ちゃんねる内部告発への対応方法とか。そんな出題を集めたブログでの模擬試験問題とか考えてみましょうかね。

投稿: toshi | 2005年7月 4日 (月) 18時38分

 法務部勤務経験がありますが、法務部は分からないことや複雑なことは、弁護士に丸投げなので、実はそんなに法律知識って要らないんですよね。
 司法試験崩れが多いようで法律用語にアレルギーがないけど、部内に専門家がいないから専門知識と言えるほどの能力はないと感じました。
 仮に法務部の社員レベルで法律に抵触するかどうか分かることでも、役員クラスは法務部社員の独自見解に耳を傾けずに、弁護士の意見書しか信用しなかったですね。だから、結構、知識があっても宝の持ち腐れになるような感じがしました。
 私が法務部にいた時、法務部の社員はみな、自虐的に、「俺らの仕事って、すげえ手数料ビジネスだなあ」と言ってました。要するに、事業部が直接弁護士に相談をしたりすればいいのに、法務部が単に相談案件を横流しするだけで、何も付加価値をつけないのに、お給料をもらっているからです。

投稿: フリーター | 2005年10月 6日 (木) 15時36分

>フリーターさん

コメントありがとうございます。私が監査役をしている会社では独立した「法務部」というものがありません。「法務部」という組織を有するからには、その企業として「法務部」に期待するものがあるように思います。ろじゃあさんも、このエントリーで「ビジ法2級」の知識が必要かは疑問、というコメントをいただいておりましたが、法務部の存在意義というのは、かなりあいまいなものなんでしょうか?たとえば、私のイメージでは「法務部がうんと言わないと前に進まない案件もある」といったことが頭に思い浮かぶのですが・・・

投稿: toshi | 2005年10月 6日 (木) 22時50分

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