ワールドのMBO(その2)
日経ネットニュースに以下のとおり、東証社長のコメントがあります。
どうやら、上場企業が「退場」する場合には、一般株主へ理解を求めるための説明責任があるという趣旨のコメントのようです。
私は人並み程度の株取引しかしませんし、ファイナンスについてはまったくの素人ですので、ぜひとも教えていただきたいのですが、この東証社長がおっしゃっている「一般株主への説明責任」というものはどんなもんなんでしょうかね?
たしか上場企業が過度の防衛策を導入することは好ましくないということで、そういった防衛策をとる場合は上場廃止もありうる、と警告されていたと思うのですが。つまり、経営者が保身したければ「さっさと退場しろ」ということの趣旨だと考えられるのですが、今度はいざ好調企業がさっさと退場しかけると「ちょっと待て、きちんと株主に退場の理由を説明しろ」とおっしゃるのはよく理解できません。説明責任とありますが、この「責任」はどっからくるのでしょうか。借金を棒引きにして退場するならともかく、きちんと時価の2割増し価格でTOBをかけているわけですから、それ以上になにを説明せよ、というのでしょうか。むしろ今日あたりは普段の9倍の取引高でこれから買いたいと希望している株主の方がたくさんいらっしゃるわけで、退場の理由説明というのがどうもナンセンスに感じられます。もし、この説明責任というものが「いままでお世話になった株主様に対する道義的な責任ってもんがあるでしょ」といった社会道徳的発想のものでしたら、「そんなこと子供でもわかるわよ。あんたに言われる筋合いじゃないでしょ」で終わってしまいそうですし。。
これから公開したいと申請している企業に対して、「もし、退場するときには説明義務がありますよ」と事前に説明をして、その企業から承認を受けているのであればわかります。それが上場企業のルールなんだと認識できますし。しかし、いままでそんな説明をしていなかったのに、いきなり「君には説明責任がある」と警告されても、どうも腑に落ちません。じゃあ、説明するのが嫌なんで保身のための防衛策を認めてくださいませ、と言いたくなりませんかね。
まったく法律論とは無関係ですが、どうも私には理解困難なコメントでしたので、そういった「説明責任」や「退場の際に一般株主の理解を得る」必要性について、やさしい解説がありましたら教えてください。
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コメント
こんにちは。
>「いままでお世話になった株主様に対する道義的な責任ってもんがあるでしょ」といった社会道徳的発想のもの
だと思います。ニッポン放送の株主総会にもそういう株主がいました。因縁の類ですね。所属からの脱退について、不透明な足かせをつけるのは不健全だ、と私も思います。東証は退出については極力明快で簡潔な条件になるよう努力すべきで、さもなければ東証という「市場」が企業の行動を拘束し、企業の経済上の自由を奪い、企業社会を支配するという、おかしな結果になってしまいますね。
たとえれば市場をやめさせてもらえないばっかりに不本意な漁に出なければならない漁師等を生みますね。
投稿: bun | 2005年7月31日 (日) 20時03分
bunさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
実際に、そのような例はあるようです。ほかのエントリーにも書きましたが、上場廃止は比較的簡単でも、継続開示義務というのはもっと厳しい要件が課されておりますし、それも義務が消滅するのではなく、中断というか停止するだけ、というものです。退出に関する要件の明確性というのが、こういった具体的な企業が増えないとおそらく実現はしないのではないでしょうかね。
投稿: toshi | 2005年8月 2日 (火) 02時47分