ヤメ検弁護士さんも超高額所得者の時代到来?
今年10月1日から、裁判員制度の施行を見越して、検察庁では「裁判員制度」専門部を設立するそうです。
捜査から公判まで一貫してこの「専門部」が担当する、ということですから、いわば裁判員制度を導入する刑事裁判のスペシャリストを養成するというわけですね。これはいままでのどんなヤメ検さんの肩書きよりも威力がありますね。いままででしたら「元特捜検事」とか「元○○高検検事長」などというのがけっこう迫力がありましたが、捜査から公判までを「裁判員制度」に向けての専門技能を体得するわけですから、もし重要事件で弁護人にしたいのは、こういった専門部に在籍しておられた「ヤメ検」さんでしょう。超高額の報酬を払ってでも、こんな弁護士さんに依頼したいと考える方や企業も多いんじゃないでしょうか。
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コメント
こんにちは。記事のタイトルを読んで、思わずコメントさせていただきます。
最近発刊された単行本に『反転―闇社会の守護神と呼ばれて』(田中森一著・幻冬舎刊)があります。これまで弁護士さんがバッジを飛ばした半世記のようなものに、『転落弁護士 私はこうして塀の中に落ちた』(内山哲夫著・講談社)などがあります。後者は元弁護士が業務上横領と恐喝で「塀の中」におちた半生記(自叙伝)で、こちらで話題にされている「ヤメ検」弁護士さんとは趣旨がことなりますが、金にまつわる弁護士さんの転落が赤裸々に描かれているものです。
書評について雑感などを、余談的に私のブログでも2年ほど前に取り上げました。
「刑務所民営化?」 : http://selgae.exblog.jp/2094237
さて前者ですが、著者は現在詐欺罪で控訴中ながら、元大阪地検特捜部検事、東京地検特捜部検事等を経た後、ある事件の捜査方針を巡って上層部からの圧力などから検察捜査に嫌気がさして絶望しお辞めになられた方です。現場捜査を誇りとしていた正義感の強い描写など、多少の誇張を斟酌しても、正義感の強い信念が窺われます。担当事件は「撚糸工連事件」や「平和相銀不正融資事件」などがあります。著者は地方国立大から司法試験に合格・検事任官された方で、検察界での出生には苦労されたのではないかと察します。
その内容には驚くべき検事捜査の実態やいわゆる国策捜査などに関する内部告発といった主旨で語られていますが、現場捜査を進めたい検事らと上層部、あるいはその裏に見え隠れする政治家などとの暗闘も描かれています。
そうした検事時代の屈辱や悔悟・絶望感が、彼の弁護士転進後の方向性を位置づけたのかどうか、判断のつきかねるところではありますが、弁護士となってから、その検事時代のやり手(特捜部検事)の経歴から、やがて闇社会の顧問や弁護を受任するようになっていきます。その代表が、イトマン事件関係者や、株式の仕手戦で名を馳せた「時の人」などとの関係や、あるいは危ない資金を借りて、その筋に追い込みをかけられ、著者に仲裁を依頼してきた元政治家の実名まで書かれています。
半生記の自叙伝形式(エッセイ)なので、全てが事実とするには躊躇を覚えますが、内容はかなり具体的であり文脈に多少の飾りは感じられるものの、一読の価値があります。
こちらの記事タイトルを見た時、こちらの先生には是非お読み頂きたい一冊と思い、コメントさせていただきました。長文にて失礼致します。
投稿: 時評親爺 | 2007年7月20日 (金) 09時50分
ご紹介どうもありがとうございます。大阪ではこの方のことを知らない弁護士は(超若手を除き)いないと思いますし、何度かお仕事をご一緒させていただいるヤメ検弁護士の方も、この方の部下だったこともありましてその「正義感あふれた」働きぶりはよく聞いているところです。かなり以前にも文芸春秋でもこの方が特集記事になったことがありまして、闇の世界との接点にたいへん驚かされたことがありました。
この本につきましては、気にはなっておりましたが、まだ読めておりませんので、「ファンド」に関する刑事事件の判決が出ている時期でもあり、時間をみつけて読んでみようかと思っております。
投稿: toshi | 2007年7月20日 (金) 11時31分