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2005年7月11日 (月)

投資サービス法「中間整理」について(2)

大阪のFP(フィナンシャルプランナー)さんのブログで、明治安田生命の保険金不当支払に関する問題を絡めた「保険勧誘におけるわかりやすい説明」に関する金融庁の有識者検討会議事の報道内容が掲載されています。

 保険 不利益情報も説明 金融庁検討会中間報告 販売・勧誘に改善策

 金融庁の有識者検討会「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」(座長・野村修也中央大大学院教授)は八日、保険会社に対して、保険商品の販売・勧誘時に消費者にとって不利益な情報もわかりやすく説明するよう求める中間報告をまとめた。明治安田生命保険の違法営業などを踏まえ、不適切な保険の販売・勧誘による消費者の被害防止を図ることが狙いだ。
 報告では、保険商品をめぐって、消費者に提供される情報量が過大になっていることから、消費者の理解が妨げられていると指摘。これを改善するためには、最低限の重要事項を整理して消費者に説明することが有効と明記した。重要事項の具体例としては、商品の仕組みや担保内容、解約・解約返戻金などを提示。明治安田が違法営業で乱用した「告知義務」など消費者にとって不利益な情報も重要事項に盛り込むよう求めている。
 今回の報告を受け、金融庁では年内に保険業法の施行規則や監督指針を改正する方針。 (産経 2005/07/09)

なお、同様の記事は読売ネットなどにも掲載されています。

大阪のFPさんも問題とされているように、私も今回の明治安田生命の一連の不当な保険金不払事件については、保険勧誘の際の説明義務の問題とはまったく別問題だと思います。上記の報道が、たんに明治安田生命の問題と絡めた表現にしているだけのことなのか、それとも有識者検討会での審議においても、明治安田生命の問題と関連付けて「わかりやすい説明」を保険業界で横断的に考えようとされているのかは、ちょっと不明ですが、(つぎの「投資サービス法中間整理その3」でエントリーする予定ですが)この専門家の「説明義務」というのは、法律的な面からみると、一方において被害者の権利救済に役立つ面があるのですが、一方においては企業の損害拡大を防止する(被害者の損害賠償請求の範囲を制限する)という面もあります。したがって私は安易に専門家訴訟などの場合に「説明義務」のみを主張することに躊躇を感じます。

本件でも、大阪のFPさんが指摘されているとおり、明治安田の保険金不払いの本当の問題点は「企業の営業活動方針(その監視を含めて)」と「苦情処理方法」でしょう。その本当の問題点の解決方法を十分検討することなく、今後の防止策を企業の一般消費者に対する「勧誘の説明方法」に求めるとすれば、これは問題のすり替えになってしまう気がします。一般の消費者に対して、企業が(商品の)わかりやすい説明をする義務を履行しておけば、企業にとっては耳に心地よい「利用者の自己責任」という言葉に帰着しますから、後日の苦情処理問題については、ほとんどこれまでとは変わらない体質を維持することが可能になってしまうのではないでしょうかね。

次回、この企業(専門家)の「説明責任を議論することの功罪」について、私見を述べてみたいと思います。

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