夢真HDの株式発行中止命令(続報)
7月25日の夢真リリースによりますと、新株発行差止仮処分とは別に(追加して、ということだろうと思いますが)取締役職務執行停止の仮処分命令を申し立てた、そうです。
私は最初から「こっちかな??」と推測しておりましたが自信がありませんでしたので、4日ほど前のエントリー題名にも「株式分割中止命令」と記しておりました。被保全権利が新株発行差止請求権ならば、以前の「発行差止仮処分」との関係もすっきりしていましたが、どうも(株主もしくは買付希望者による)「株式分割決議無効確認請求権」ということであれば、取締役による株式分割手続きの執行中止命令のほうがしっくりきます。おそらく裁判所から事前連絡があって、「補正もしくは追加申請されたらどうでしょうか」と打診があったのではないでしょうか。私はけっこう仮処分申立が好きなほうなんで、命令内容を自分なりに自由に創作して申立たりするんですが、あとから担当裁判官から連絡がはいって、修正要請に応じたりしますね。
さて、この取締役の職務執行停止命令ですが、こうなると私も俄然、司法判断の帰趨に注目します。といいますのも、このような取締役の職務執行停止命令がもし発動されるとしたら、その応用範囲というものが広がるからです。今後、敵対的買収事例において、社外取締役や社外監査役が防衛策発動の際に「取締役会」や「特別委員会」で活躍する場面が想定されておりますが、そういった委員会に、それまで何もしてこなかった「社外取締役」らの出席をとめたり、そのような役員が参加して決議された手続きを中止させる手段となりうるからです。私の予想では今後、防衛策発動場面における司法の関与はプロセス審査に限られるものと思いますので、そういった社外取締役、社外監査役が企業価値判断を行う場面において、その職務を止める手段がないか、と考えておりました。
この夢真の事例では、いったいどのような利害関係人が取締役の職務執行停止を求めることができるのか、また取締役会決議の効力をどのような事実認定方法で審査するのか、その判断手法が気になります。今後、司法判断をフォローしていくうえでたいへん興味のあるところです。
(追記 7月26日)
日本技術開発からの本日付けリリースによると、
分割株式の発行差止め仮処分とは別に(追加して)、取締役6名と会社そのものを債務者(相手方)として分割手続きの執行停止仮処分を(夢真側が)申し立てたそうです。
また、夢真は(今回も)株主としての立場で仮処分申立を行っている、とのことですから、被保全権利は商法272条の「6ヶ月前から株を保有している株主による取締役の違法行為差止請求権」と考えるのが確実ですね。無効な株式分割決議に基づく分割手続きは違法であるから、その職務執行を停止させる、というものでしょうか。ただそうなると「会社に回復すべからざる損害」というのは、いったい何でしょうかね?買収防衛策としての株式分割でしょうから、夢真側の「損害」というのはまだわかる気がするのですが、日本技術開発における株主の「回復困難な損害」というもののイメージがわきません。
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