夢真による会計帳簿閲覧権の行使
8月22日付けで、夢真による会計帳簿閲覧権行使に関する日本技術開発側の意見がリリースされています。
日本技術開発側は、8月8日付けの夢真による会計帳簿等閲覧請求に対して、その形式の不備を主張して開示を拒否している、というものです。日本技術開発側が「最高裁判例に基づいて夢真側に対応している」とする根拠判例は次のものと思われます。
H16.07.01 第一小法廷・判決 平成15(受)1104 会計帳簿閲覧謄写,株主総会議事録等閲覧謄写,社員総会議事録等閲覧謄写請求事件
夢真側が明確に、少数株主権としての会計帳簿等閲覧請求権を行使すると述べているようですから、この判例を日本技術開発側が基礎とすることは合理的なものでしょう。したがいまして、夢真側としましては、会計帳簿等閲覧請求が、どのような株主権を行使する目的でどのような内容の権利主張をしたいのか、具体的な説明が必要になりそうです。株主の立場から、企業価値を把握して、社外取締役選任の株主提案権を行使する目的であれば、相当抽象的な理由でも閲覧請求が可能のようにも思われますが、ただ定時総会までの間に夢真の1%以上の株保有期間が6ヶ月に満たない場合には行使できないことになるため、今回はムズカシイようです。この商法293条ノ6を用いた帳簿閲覧権を行使するには、夢真側がどのような株主権を主張したいのか、いまひとつ特定できないように思われます。
いっそのこと、夢真側としては、事前警告型の大規模買付ルールにしたがって、日本技術開発側の会計帳簿等開示請求を検討できないのでしょうか。大規模買付ルールにつきましては、買収をかけられる企業が一方的にルールを決めてしまうわけですから、そのルールの合理性というのはなんら担保されていないわけです。したがって、日本技術開発側より夢真の事業内容を把握するために会計帳簿等の開示を求めることになりますが、その一方で夢真としても、日本技術開発側の情報がなければ、比較可能な企業価値向上プランを日本技術開発側の株主に対して提示できないことになるでしょうから、公正さを保つためにも、ある程度の企業情報については、買付希望者に対して事前に開示する必要があると思われます。この会計帳簿等請求は、現商法293条の6に基づくものではなく、被買収企業が事前に策定したルールに基づくものであります。このあたりは、旧ブログに今年4月ころ書きましたとおり、以前から事前警告型の買収防衛策の弱点だと思っておりますので、夢真側からなんらかの帳簿開示に関する法的対処を期待しているところです。この22日付けリリースに対して、夢真側がどのような反応を示すのか、また興味深いところです。
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