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2005年8月 5日 (金)

掲示板発言者探索の限界

きょうもエイベックスのWEBサーバーに何者かが侵入して、一時閉鎖措置をとったというニュースが流れていました。

ネットの世界の違法行為を民間の力で抑止することはけっこうムズカシイのが現状です。私がある企業から依頼されて、その企業の信用毀損の発言を繰り返す者を特定する作業を継続してきましたが、やっと掲示板運営企業からその発言者のIPを開示してもらい、解析したところ、その発言者は常にホンコンやマレーシア、タイなどのブロキシサーバーを経由して、その掲示板に発言をしていたことが判明しました。専門家に問い合わせたところ、この先、特定のパソコンまで辿り着くための作業は可能ではあるが相当な経費と時間を要するとのこと、結局のところあきらめざるを得ませんでした。よく「IPアドレスさえわかれば、身元がわかる」などと説明されている法律本などがありますが、あれは不正確な表現ですね。たしかにIPアドレスから契約プロバイダーが判明して、その後弁護士による開示請求などでプロバイダー契約者が特定できるケースもありますが、実際に悪質な発言を繰り返す常習者というのは、IPアドレスが判明しても、その先特定人に辿り着けないような用意周到な準備をしています。われわれ弁護士としても、掲示板(特定のスレッド)を閉鎖に追い込んで、更なる企業の損害を回避したり、発言者情報を入手することはできても、本当の意味で発言者に損害賠償請求訴訟を提起できる事例というのは、発言者がネット情報にそれほど詳しくない人でもないかぎり限界があると思いますし、依頼企業にはまえもって受任事務の限界もきちんと説明しておく必要はあろうかと思います。(ただ、どこの世界にも闇の「必殺仕事人」のような方はいらっしゃって、2ちゃんねるなどで叩かれた企業などは、高いお金を払えば発言者のパソコンまで教えてくれる人がいらっしゃるようです。)

私が探索しているその発言者は、私のブログもよく見ているらしいので、一言申し上げますが、掲示板の発信者情報調査のなかで、あなたの特定ができる別の情報を把握しました。これでやっと大阪で訴訟を提起できる状況になりましたので、今後ともよろしくお願いいたします。

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