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2005年9月 3日 (土)

法律事務所と情報セキュリティ

著名ブロガーの磯崎先生や、けやき通り会計事務所さんのブログで、情報セキュリティのお話が出ておりましたので、興味深く拝読させていただきました。

法律事務所といいましても、200名の弁護士を擁する大型事務所から、個人零細事務所までありますので、一概には事務所の情報セキュリティとは・・・と申し上げられませんが、法曹はすでに何十年もの間、「紙ベース」による記録(裁判記録)の保管や携帯、廃棄について、細心の注意を払う慣習が身に染み付いておりますので、アナログからデジタルへ情報記憶媒体が移行しましても、(また、たとえ事務所の所長弁護士がたいそう老齢の方であっても)「クライアントや事件に関する情報管理」については細心の注意を払っているのが実情だと思います。司法研修所の時代、教官から「記録を守ることは法曹にとっての基本」と学び、実務研修の際、検察庁や裁判所で「記録を黙って持ち運ぶな」と怒鳴られ、裁判所が記録を廃棄する方法(書記官が溶解するところまでを見届ける)を認識するうちに、法律で守秘義務が課せられている職業の意味が自然と身につくに至るように思います。まあ、私の時代は合格者500名の時代でしたから、すでに合格者3000名時代を間近に控える現在も同じことがすべての法曹にあてはまるかどうかはちょっと自信がありませんが。ただ、個人情報保護および企業機密に関する最も行き届いた社員研修がなされているのが法曹界、とみて間違いないんじゃないでしょうか。継続研修というものはありませんが、その初期における研修という意味では、たいそう厳しく叩き込まれる職業意識ではありますね。

私も、レッツノートCF-W2とWILLCOMのエアエッヂpro の端末は常時携帯しておりますが、事件記録や当事者情報をパソコンのHDに入れるのはちょっと怖くて、できません。仕事の都合上、メールを開けたり、添付ファイルを開いたりする場合には一時的に保管することもありますが、どうしても記録を携行する必要があるときは、パソコンとは別に(顧問のSEさんに特別仕様で作ってもらった)データスティックをサイフに入れてもって行きます。まあ、これでもサイフごと紛失してしまえば、「情報紛失」になってしまうことは確かですが。

もう5年になりますが、私の事務所では月1回、顧問のSEさんに事務所内ネットワークの情報セキュリティのメンテナンスをしてもらっています。事務所のコンピューターへのアタックの回数やどっから、どのような目的でアタックされたのか、その解読もしていただけます。まったく攻撃されていない月もあれば、中国から一日に数百回の攻撃が認められる月もあります。むずかしいセキュリティシステムは、私にはよくわかりませんが、もっと基本的なところ、つまり「今回のMSの更新は重要なんで、すべてのハードに更新作業をしておいてください」とか「セキュリティ会社のほうへ、こちらから、こういった要望を出しておきました」という日々の連絡がたいへん貴重です。

ただ、顧問税理士さんに対するのと同様、事務所の「裸を見られている」のと同じ感覚ですので、ちょっと恥ずかしい点はありますね。顧問のSEさんには失礼な話ですが、もしSEさんがヨコシマな気持ちをもっていたとすれば、それこそ膨大な事務所の情報はパクラれてしまうわけでして・・・・・、やはりここでも、最後は人と人との信頼関係に依存せざるをえない、というのが真実ではないでしょうか。

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