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2005年10月16日 (日)

独立取締役コード

いつも拝読させていただいているLaw Maniacのminoriさんのブログで、日本取締役協会の社外取締役委員会から10月13日付けで「独立取締役コード」が発表されたことを知りました。けっこう平易な文章で、読みやすい程度の分量で書かれておりますので、興味をお持ちの方はご一読ください。公開企業における独立取締役の「ミニマムスタンダード」を示したもの、とされています。「社外取締役」という言葉が、現商法や新会社法などで公式のものとして使われるようになり、その定義付けというのも明確化してきましたが、その社外取締役の要件だけでは不十分であるとして、コーポレートガバナンス理論との関連で、最近は「独立取締役」という言葉が区別して用いられるようになりました。

この「独立取締役コード」で示されたミニマムスタンダード、というものも、基本にはアメリカの社外取締役の「独立性」を模範として示されたものではないか、と思います。厚生年金基金連合会など、機関投資家からみて導入が好ましいとされております「企業価値の向上にとって有益であるとされる社外取締役の条件」などとも共通するところがあるようです。私個人の感想は下記のとおりです。

4-1 取締役会における独立取締役の員数は、独立取締役が取締役会において相応の影響力を及ぼすことができるようなものとすべきである

これは以前のエントリーでも書きましたが、そのとおりだと思います。ニッポン放送の19名中4名の社外取締役の影響力と、UFJ銀行の拮抗した人数の社外取締役とでは、その後の委員会(役員会)運営にとって、非常に異なる動きとなったことからみても、人数比率が取締役会に大きな影響を与えることは事実でしょうね。ただ、業績のよい公開企業が、ここまで大胆に踏み切ることができるかどうか、かなり現状では困難な気がします。

5-2 独立取締役のうち少なくとも1名は、最高経営責任者もしくはそれに準じる者、またはその経験者とすることが望ましい

この要件をみたとき「ああ、やっぱりお目付け役、のような立場の人を求めているんや」と感じましたが、実際に解説を読んでみますと、ちょっと観点が違いました。そもそも、独立取締役に就任する人は忙しい人が多いために、おそらく職務時間の確保や情報収集力の点で限界があるであろう、それならばなるべく問題発見能力に長けた人に就任してもらうのが効率的である、そういった問題発見能力というものはおそらくCEO経験者こそ備わっているだろう、ということが本質の理由のようです。うーーーん、本当にそうだろうか?と疑問を抱かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、解説でも「次善の策」として要件化した、とありますので、「なるべく探すようにつとめること」くらいに解釈しておいたほうがいいかもしれません。

経営者の親しい友人は最良の「社外取締役」か?

この要件は、社外取締役委員会のなかでも、いろいろと議論あったそうです。親しい友人は経営者からの独立性があるとはいえない、という立場と、真の友人ならば経営者の耳に痛いことでもいえるだろうから、独立取締役としては適任である、という立場。結局は、要件には含めなかったそうです。そもそも「親しい友人」とか「真の友人」というのが、どういった友人ならば該当するのか、ムズカシイですよね。(笑)経営者は「真の友人」と思っていたのに、実は社外取締役はそう思っていなかったりしたら、ちょっと悲しいですし、ぎゃくに「社外取締役」として役員になってから、経営者と「親しい友人」になる場合だってあるわけですから、かなりあいまいな要件になってしまいそうです。ハズして正解だったのではないでしょうか。

こういった独立取締役コードがリリースされたわけですから、各企業において、このコードへの印象などをアンケート調査していただけるとおもしろいと思います。ただ、次期経団連の会長さんなどは、「独立取締役」導入にはあまり積極的でない方ですから、証取法の改正や取引所規則の改正などでもないかぎり、企業が自主的にこういった独立取締役導入へ動くといった風潮が根付くかどうかは疑問です。このたびのTBSの企業価値評価特別委員会のメンバー(7名)のなかにも4名の社外役員さんがいらっしゃいますが、こういった重責を考えますと、就任には相当の覚悟も必要ではないか、とも思いますし。

10月 16, 2005 独立取締役コード(日本取締役協会) |

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コメント

toshiさん、トラックバックありがとうございました。

outsider から independent へ、条件がシフトしてゆくのは大変望ましいと思うのですが、
1,500を超える上場会社が本気で過半数かそれに近い数の「独立取締役」の設置を考えた
としたら、激しい人材争奪戦になりますね。

投稿: minori | 2005年10月17日 (月) 22時08分

>minoriさん

どうも、わざわざコメントいただき、ありがとうございました。そういわれると、たしかに現実論としてはムズカシイですね。そのへんの「おっちゃん」連れてくる、というわけにもまいりませんし。おそらく、責任負担まで理解されたうえで就任していただける方自体、かなり少ないのが現実ではないでしょうか。
また、ときどきこちらにも遊びに来てください。

投稿: toshi | 2005年10月18日 (火) 03時03分

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