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2005年11月26日 (土)

セレブな会社法学習法

来週あたりは、そろそろ「会社法施行令(法務省令)」が公表されるのではないか、と噂されているようでありますが、ビジネス法務に携わる方も、来年5月1日ころに施行予定の「会社法」の学習に勤しんでおられることと思います。私も、葉玉検事さんのブログを毎日読ませていただき、「明日はどんなテーマなんだろう」などと、楽しみにもしております。

司法試験を目指していらっしゃる方のように、まとまった勉強の時間がとれるのであれば、計画を立てて体系的に学習できると思うのですが、一般のビジネスマンの方にとっては、どっから手をつけていいのか、わからないといったところが本音ではないでしょうか。かくいう私も、「企業法務」、などと偉そうに看板を掲げているわけですから、恥ずかしくない程度には理解したいという気持ちを抱いております。しかしながら、いろいろと試しても、どうも三日坊主に終わってしまい、「会社の設立」あたりまではやけに知識が詳しいのですが、「株式」あたりから先は、いつまでたっても進歩がありません。結局のところ、「中小企業と会社法」とか「監査役からみた会社法」など、自分の仕事に関わる範囲での理解で当面「お茶を濁す」つもりにしておりました。

ところが、やっと最近、継続的に続けることが「楽しみ」になってきた会社法学習法をみつけました。ちょっと贅沢な学習法ですが、毎回新たな発見ができて、非常に効果的です。皆様は「携帯六法」といいますと、何を連想されますでしょうか?おおよそは「ポケット六法」(有斐閣)か「デイリー六法」(三省堂)ではないでしょうか。すでに平成18年度版が店頭に並んでおりますが、どちらも1600円(+消費税)です。今年は、新会社法が掲載されていることもあり、清水の舞台から飛び降りるつもりで、思い切って両方購入してみました。

どっちも同じやんけ!とお考えの方も多いでしょうが、ふたつ並べてみますと、実はこの「会社法」に限って申し上げますと、かなり「ポケット」と「デイリー」は違うことに気づかれるはずです。なにが違うかと申しますと、いわゆる「参照条文」がかなり違います。それぞれ条文ごとに参照条文が明記されているわけですが、両方同じもの、デイリーだけが引用しているもの、ポケットだけが引用しているものと3パターンに分かれております。「なぜ、109条の株主平等原則の条文に、この条文が引用されているのか?デイリーでは引用されていないのに、ポケットだけで引用されている理由はどこにあるのか?」といったことを、頭で考えながら検索をしておりますと、その六法の編者の思想や会社法への思い入れのようなものがすこしばかり垣間見えてきます。これ、続けておりますと、会社法の条文に対する理解意欲が湧いてきまして、「頭の中への刷り込み」の度合いが違ってきました。そればかりか、こういった学習を続けているうちに、ふと思ったのが「会社法の条文のなかに、強調記号のようなものが記載されていたら、どんなに理解が早いだろうか。。。」たとえば、

105条2項 株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。

とありますが、これを

105条2項 株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の「全部を」与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。

とか、

105条2項 株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。

などといった条文表現にしていただけますと、たいそう理解が早まるのに・・・と思うわけであります。まあ、会社法の学習法というものも、人それぞれであるわけでして、余計なお世話かもしれませんが、お金に少しばかり余裕のある方は、上記のような楽しみ方を学習に反映させることで、900条に及ぶ知的資産の吸収に励んでみてはいかがでしょうか。

ちなみに、これから携帯六法を購入される予定の方に申し上げますと、デイリーの会社法は、条文の中に準用条文の内容が記載されていたり、参照条文が「なぜ参照されているか」のヒントとなる一行解説が掲載されておりますので、とりあえず一通り会社法の条文を理解するには適切だと思います。一方のポケットは、デイリーと比較すると参照条文の数は多いのですが、「なぜ参照されるべきか」は不明な場合があります。ところが、そのあたりを考えていきますと、参照には深いワケがあり、そのワケが理解できますと、会社法の論点の理解がひとつ増える、といった学習効果が期待でき、体系的な理解を求めるには、ポケットが適切かなとも思います。ご参考まで。

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コメント

なるほど、そのように強調されていると本当にありがたいですね。理解が進むということは、平坦に並べてあることばのどのように注意して読めばいいか、どこは飛ばして読んでいいかが間違いなくわかるようになるということですものね。歴史の教科書でとりわけそういう経験をしました。

堅いコメントで恐縮ですw

投稿: bun | 2005年12月 3日 (土) 23時26分

bunさん、おひさしぶりです。2,3日前に、またbunさん節が拝読できるようになり、たいへんうれしく思っています。
さすがに、私も「BUNさん=姉歯」説にはぶっとびましたが・・・・・・・

また、経済数学ネタはちょっと無理ですが、「辺見まり」系ネタでしたらコメント返せますので、寄らせてもらいますね。

投稿: toshi | 2005年12月 4日 (日) 02時27分

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