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2005年11月28日 (月)

公益通報の重み(構造強度偽造問題より)

まだ仕事中ゆえ、うまく整理できていない文章であること、お許しください。とりいそぎ、備忘録程度にとどめておきます。

毎日新聞の夕刊一面(大きくは、西村議員の逮捕の記事ですが、これは、ここ1週間の弁護士会の情勢を知っている立場ですので、コメントは控えさせていただきます。)に、指定確認検査機関である、イーホームズの内部監査の発端は「国土交通省への匿名情報」であったことが明らかになった、との記事が掲載されております。(一応、このニュース記事が信憑性が高いものとみなして、以下意見を述べております)

毎日ネットのニュース記事はこちら。(ほぼ夕刊紙面と同一と思われます)

このブログにおきましても、「民間による内部監査に基づく公表には、なんらかの評価を」といった私の意見を書かせていただきましたが、どうも匿名通報から国土交通省の立ち入り検査、その後の行政指導といった流れをみておりますと、イーホームズの「自主的公表」という事実もかなり制限的に解釈せざるをえないようです。

しかしながら、このニュース記事を読みまして、あらためて「公益通報」の社会に与える影響、企業価値を容易に崩壊させる力、そして企業における内部統制システム構築の重要性を痛感いたします。

また改めて意見を述べたいと思いますが、この記事のポイントは三つあると考えます。ひとつは、この「匿名情報」がなければ、今回の構造計算偽造問題が発覚したことはなかったであろう(つまりイーホームズの内部監査が発端とはいえない、ということ)という紛れもない事実、ふたつめは(時代の流れと思いますが、)このような匿名情報についても、国土交通省が真摯な対応で立ち入り検査を決定した、という事実、そして三つめは、国土交通省がイーホームズによる帳簿の不備を指摘して、明確に「文書による帳簿の保存」を指導した、という事実であります。

私自身、現在も「ホットライン」の窓口業務をしておりますが、こういった第三者への通報というもののうち、半分程度は、以前から自社に対して「サイン」は出ているケースです。このサインをどう判断するかは、非常にムズカシイところではありますが。

すでに、どこの企業におかれましても、公益通報者保護法対策は万全かと思いますが、私からすると、まだまだ「窓口の単一化、複数化」、「窓口における要件該当性の裁量判断の問題」など、導入企業において対応がバラバラな点もあるかと思います。今回の匿名情報というものが「内部通報」なのか「取引先からの外部通報」なのかは不明でありますが、背筋が凍るような事態になる前に、再度業務プロセス、営業サイクルの再検討を行い、自社もしくは取引先企業への通報への対応プログラムを再検討したいと思います。

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コメント

toshi様

ひさしぶりの投稿です。当社の場合は、窓口で要件の該当製を判断するということはしません。どのような形で通報があったとしても受理して、あとは委員会のほうで審査しております。あまり窓口でゴチャゴチャとしていますと、今回のように会社以外への匿名通報のような形になってしまうのが適切ではないと思います。すくなくとも自社の情報は自社で迅速に処理すべきかと思います。
あまりまとまった内容ではありませんが、ひとことだけ。

投稿: narita-k | 2005年11月29日 (火) 11時50分

おひさりぶりです。

私が知るかぎりでは、この窓口対応というのが非常にむずかしい場面でありまして、最近は窓口対応をアウトソースする有名企業も出てきたと、聞き及んでおります。

本当は、こういったノウハウを、各社持ち寄って勉強する機会などがあったら、いいのでは、と思うのですが。
また、ご意見ください。よろしくお願いいたします。

投稿: toshi | 2005年11月30日 (水) 02時56分

早々にお返事、ありがとうございます。
アウトソーシングといえば
窓口を顧問弁護士の法律事務所とされているところもあるんじゃないでしょうか?
実際のところ、窓口業務を行う会社も有名だったりしますよね。(笑)こういった法律ができると、すぐにビジネスに結び付けてしまう発想がすごいな、と感じております。ただ、私はリスクの大きさを比較すると、アウトソースはちょっとこわいと感じます。

投稿: narita-k | 2005年11月30日 (水) 11時03分

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