あの黄金株の話はいずこへ?
「内部統制を法律家が議論する理由」のエントリーには、貴重なコメントを頂戴しまして、ありがとうございました。忘年会帰りの状態で、コメントをお返しするのは、たいへん失礼ですので、業務時間中に、コメントに対する私なりの感想を書かせていただきたいと思っております。コンプラインス・プロフェッショナルさんには、私が書きたかったことを、手際よくまとめていただきましたし、また 辰のお年ご さんには、私の引用の趣旨がすこし本意とはずれておりましたようで、たいへん失礼をいたしました。また、neon98さんやKOHさんには関連エントリーまでアップしていただきまして、厚く御礼申し上げます。実は、他にも数名の方よりメールを頂戴いたしまして、この「内部統制論」にご興味をお持ちの方が意外に多いことにビックリいたしましたし、また懸念されているとおり、あまりにもターゲットが広すぎて、まとめて議論するのが困難な話題であると思い知りました。
(ということで)少し話題が戻るんですが、つい先日、朝日新聞だけが「黄金株を一部容認、東証」といった見出しで、東証が新規上場、既上場を問わず、ある程度の条件を満たした黄金株の導入を認める方針」といった記事がありまして、その翌日に読売、日経などが追随記事を書くのかな、と思っておりましたら、なんの反応もなく今日に至っております。朝日もあの記事一本だけで、その後はみずほ証券誤発注騒動によって、どっかへ行ってしまったような感じです。私的には、とても気にしているのですが、あの記事はどこまで真相に近いんでしょうかね?・・・謎です。
商事法務1751号では、東証の上場部企画担当課長さんの「買収防衛策の導入に係る上場制度の整備等に関する要綱試案の公表」と題する解説文も掲載されておりまして、(いろいろ議論させていただいた「東証の規則制定権」に関するものではございませんが)黄金株(もしくはこれと同程度に株主の基本的権利に制限を加える防衛策)導入企業への実効性確保の根拠なども、なかなかおもしろい内容を(個人的意見として)載せておられますし、東証の(いわゆる黄金株と呼ばれるものへの)取扱の帰趨に非常に関心が高まるところであります。
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コメント
こんにちは。遅れましてごめんやし(タイトルがいずこへ? ですので笑)。
私も気になります。つくづく思うのですが、何が言及されなくなったかというのは、実に多くのことを教えてくれますね。書いてないことを読んでしまいますね。つい。こういう消え方は外交の記事に多かったのですが、最近では経済の記事にも目立つようになりましたね。
投稿: bun | 2005年12月16日 (金) 10時13分
あ~ら、bunさんじゃ、あ~りませんか♪
って、ほとんどの人にはわかりませんよ・・・・
bunさんの経済ネタには、ついていけませんが、以前、「結論ありき」の経済分析だけは、論証の根拠にしてはいけないということを学ばせていただき、深く心に留めております。黄金株の問題につきましては、これからも議論すべき点が多いことを、最近いろいろな方のブログを拝見して、すこしずつ勉強させていただいております。世間の興味はすこしTOB関連のほうへそれてしまっているようですが。。。
投稿: toshi | 2005年12月17日 (土) 02時49分
黄金株は日経で容認の報道がなされていますが、東証が買収防衛策にかかる要綱試案と同日の11月22日にたコーポレート・ガバナンスの充実に向けた上場制度の整備(案)も公表していたので、こちらのパブコメの結果の方も気になるところです。おそらく12月20日の取締役会で方向性を決定するのでしょうね。上場会社のコーポレート・ガバナンスの向上は、取引所としても推進したいと考えての動向ですが、抵抗も強いようです。どちらがより重要ということではないですが、同日公表された案の両方ともが道半ばにして...となってしまわないよう祈っています。後ろ向きの議論になって、結局、市場としても魅力の乏しい日本になってしまわないか心配です。
投稿: 辰のお年ご | 2005年12月17日 (土) 10時20分
昨日東証が修正案を出しましたね。日経これを受けてご丁寧に「きょうのことば」まで「黄金株」でした(笑)。
ひとつだけあげると、やはり「東証に相談を義務付け」が気に入りません。publicのとらえかたに企業ごとにある程度のズレが生じるのは当然で、また、このズレは、ある程度の基準をクリアしていればむしろ尊重されるべきです。どこのpublicが株主にとって望ましいかは市場の評価に任せればよいと思います。
たとえばオーナー企業とか親族企業だからといって、閉鎖的といって嫌われるとは必ずしも限りませんで、意思決定の速さ等々のフットワークを評価する一般株主もいます。私も平均以上に評価する方です。
投稿: bun | 2005年12月17日 (土) 12時09分
>「結論ありき」の経済分析
実はミクロ経済学がそもそもそうなっているのではないか、結論を仮定してトートロジーをやっているのではないかという疑いはずっと晴れていません(cf. セイの法則)。アメリカは巧妙にゲーム理論に軸足を移しているようですが、ごまかさずにつぶしてみたいという気持ちもあるのです(笑)。なぜこれほどまで経済理論はアメリカでしか生まれないのでありましょうか。
実際の経済活動の規模に比べて偏りすぎですね。
投稿: bun | 2005年12月17日 (土) 12時34分