改正独禁法、「初の司法取引」?
今朝(12月26日)の日経新聞スイッチオンマンデー「法務」では、来年1月4日に施行される改正独禁法について紹介されておりますが、この改正独占禁止法で、初めて「司法取引」の制度が導入されるとの見出しがあります。
本場アメリカの制度をよく知らないのですが、こういった行政罰の適用場面においても、「司法取引」というコトバは使われるのでしょうか?課徴金納付制度は、公正取引委員会が主体として運用するものでして、司法機関が運営するものではありませんので、これがなぜ「司法取引」になるのか、よくわかりません。また、リーニエンシーを申し出た企業が、課徴金だけでなく、刑事罰まで免れるかどうかは、単に公正取引委員会が告発をしない、というだけで、検察庁からの正式な回答はなかったものと思いますが(まちがっておりましたら、ゴメンなさい)。刑事手続きとの関係でみましても、昔から「犯罪発覚前の自首による刑の減軽」は当然にあるわけでして。
「司法取引」といったコトバの使用法がまちがっているような気がするのは私だけでしょうか。
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コメント
「司法取引」という言葉が正しいかどうかどうかは別として、公正取引委員会は独占禁止法違反の主要な罪について専属告発権があり、公正取引委員会の告発がなければ刑事手続は開始されません(独禁法第96条)。
したがって、公正取引委員会が告発しないと決定したのであれば、検察庁の方針を待つまでもなく刑事罰を免れることになるのではないでしょうか。
刑法上の罪に該当しないことが前提ですが。
投稿: ぴて | 2005年12月26日 (月) 23時49分
ぴてさん、コメントありがとうございます。
なるほど、公正取引委員会には専属告発権といった権能が認められているわけですね。ご指摘ありがとうございました。たしかに、告発権を有することと、刑事処分の主体性の問題とは若干異なるようにも思えますが、よく考えてみますと、犯則調査権限といったものは、公取委にも認められるわけですし、行政調査によって収集した証拠についても、検察庁に引き継ぐことができるわけですから、こういった公取委の行動自体も「刑事手続」と言えるのかもしれません。そうしますと、こういった公取委の調査、処分権能を相手方の出方によって行使を控えることができる、という意味では「司法取引」に該当するかもしれません。
投稿: toshi | 2005年12月27日 (火) 02時51分