偽計取引と風説の流布(ライブドア刑事問題)
(1月18日午前 追記あり)
「風説の流布」などという言葉はあまり世間で使われていないんじゃないでしょうか。(「風雪流れ旅」を連想するのは私だけでしょうか)いきなり流行語のように新聞に登場してきました。
きょうは監査役会で遅くまで役員方と一緒だったもんで、ほとんどニュースをチェックしておりませんでした。それで今、いろいろなブログを拝見しましたが、私のような楽観論はあまり見当たりませんでした。。。むしろ「風説」「偽計」で済むもんじゃない、とか。どうも楽観論は分が悪いようです。
とりあえず、ライブドア問題につきましては、いくつかにテーマを絞って今後の検討課題にしたいと思います。
① ライブドアの上場廃止問題、関連企業の免許取消問題
② ライブドアもしくは関連企業の課徴金納付命令問題(行政処分)これは2004年9月の事件には適用されないのでしょうか。きちんと証券取引法、規則を読んでおりませんので、まだわかりませんが。
③ ライブドアの役員刑事責任(罪責や身柄拘束など。ホリエモンを含む)
④ 検察庁、証券取引等監視委員会の捜査目的
あたりでしょうか。
日経や読売あたりの新聞解説から、捜索差押令状に記載されているような被疑事実についてはなんとなく理解できました。いずれにせよ、目的犯の立件ですから、お金の流れと利益の最終確保者の解明、スキームの反復継続性の立証が初期捜査の不可欠の目標ですね。目的や故意といった構成要件の主観的要素を立証できなければ話になりません。直接関与者の容疑が固まった時点で、さてライブドア本体の役員関与まで状況証拠と取調調書でたどりつけるのかどうか、そのあたりが次の問題になろうかと思います。
このあたりまでの情報が整理された段階で、上記4つのテーマについて、次第に明らかになってくるように思います。
(1月18日午前 追記)
読売新聞の一面にはびっくりしました。ライブドア本体の「粉飾決算」疑惑だそうです。これを受けて東証はライブドアの売買取引一時停止(午前11時5分再開)ということになりました。そもそも「風説の流布」「偽計」ということでは上場廃止基準には抵触しないわけですが(違法性が強い場合には他の基準に該当するケースもありますが)、粉飾決算のおそれ、ということでしたら堂々と取引停止にできるわけですよね。(上記問題整理①)
ということで、今回の検察、監視委員会の本当の目的は「ライブドア本体の粉飾決算」にあるのかもしれませんね。もし粉飾決算というところに収斂するのであれば、むずかしい証券取引法上の犯罪に関する法律問題も回避したり、他社の財務部門もビクビクしているとされる「錬金術」そのものに対する萎縮効果も回避できますので、一般企業やマーケットへの影響も限定的になるでしょうし、もしそのあたりにオトシドコロを考えているとするならば、やはり検察庁は見事かな・・・とも思ったりしております。(上記問題整理④)ただ、私個人としましては、前回エントリーで記載しましたとおり、直接検察を動かしたものは「挑発」「挑戦」だという説にまだ固執しておりますが。
しかし、こうなるとまた監査法人が俄然、注目を集めることになるかもしれませんね。ライブドア幹部と監査法人との間で、会計基準の変更とか、監査基準の修正とか、そういった手法が異常かつ反復継続的に繰り広げられていたのかどうか、そのあたりを詰めていかないと、「刑事問題」の立件としては厳しいところがあるんじゃないか、と勝手に考えております。(上記問題整理③)
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