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2006年1月31日 (火)

ヒューザーに対する破産申立について

ヒューザーに対して破産申立(債権者による破産開始決定申立)がなされたとのことですが、対象マンション住民の方々にとりましては、本当につらい選択を迫られる事態となりましたね。心情察するに余りあります。破産申立を決断したのが9棟、申立を見送ったのが3棟と見解が分かれてしまったのも、選択のムズカシサを物語っているようです。この法律問題を何度かエントリーしたかったのですが、どうもブログで論じるには、きついなぁと。

そもそも破産開始決定の申立をしても、小嶋社長がこれに同意するどころか、行政責任を問う損害賠償請求訴訟を提起したわけですから、「資産は国や県から賠償金でとれるから、債務超過にはあたらない」といった主張をして、支払不能ではない、と反論する可能性があります。破産管財人が選任された場合に、この訴訟をそのまま維持するかどうか、は微妙なところでしょう。

住民の方にとっても複雑な心境ではないでしょうか。おそらくいろいろな専門家の意見なども分かれているのかもしれません。ともかく証人喚問であのような態度に終始した社長が、今後本気で住民のために尽力するかどうかは期待ができない(証人喚問後の住民説明会での様子からも明らか)とみて、現実の資産保全に動く気持もわかりますし、また住民にとってみては、誰が責任者であろうと、どこからでもいいので、自分の損失を補填してくれるところがあればいいわけでして、そのためには国や検査機関に対して責任負担を訴える(現実に139億円の損害賠償請求訴訟を提起しました。印紙代だけで2000万円だそうです。)小嶋社長(というよりも代理人)の対応を利用したい気持も理解できます。自分の責任を回避するためであれば熱心に動くことも期待できますが、破産管財人への協力となると、そうもいかないでしょうし。

どんな意見を述べても、どちらかの住民の方の気持に反する結果となってしまうような状況となり、非常に難しい問題が横たわってしまったようです。

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コメント

いい加減なこと言うと47thさんにおこられるかもしれませんが、「囚人のジレンマ」状態なのかも知れません、皆様が。
このままだとどうにもこうにも最適解は選択されにくくなるばかりではないかと。
何が住人のためにホントにいいのかを住人の方々が皆であつまって(ちょっと難しいとは思いますが)意見交換する必要があると思うんですけどねえ。
弁護士の先生もいろいろやりにくいところもあるのかもしれませんが・・・。
やはり行司役が必要だと思います。私的な手続きか再生「的」手続き前提でね(^^;)。

投稿: ろじゃあ | 2006年1月31日 (火) 14時13分

うがった見方かもしれませんがトラックバックさせていただきました。
スキームの選択肢としてはいくつかあるのでしょうが、小嶋社長の人間性に対する信頼感というものも重要なファクターのように思われます。

投稿: モトケン | 2006年1月31日 (火) 22時03分

>ろじゃあさん

いよいよ、ヒューザーがイーホームズを名誉毀損で訴えるに及んで、この先どうなっていくのかわからなくなってしまいました。
しかし、真摯に住民のことを思うのであれば、なぜ名誉毀損でなく、行政機関といっしょにイーホームズを被告としなかったのでしょうかね。

>モトケン先生

コメントありがとうございました。今後、破産管財人が就任した場合の選択肢というものも、おそらくムズカシイところではないでしょうか。とりあえず小嶋社長の雰囲気からすれば、資産保全が第一、と考えるのも納得できるかもしれません。(しかし矢部先生のブログは、いろんな方が集まっておられるのですねぇ・・)

投稿: toshi | 2006年2月 2日 (木) 02時44分

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