堀江氏の刑事裁判に公判前整理手続適用
ライブドアの前社長である堀江氏の刑事公判におきまして、東京地裁は他の被告人とは分離したうえで「公判前整理手続」を適用することを決めたそうです。朝日ネット記事はこちらです。
どんな行為が「風説の流布」「偽計取引」に該当するのか、誰が実行行為を行い、誰が共謀したのか、また共謀というのはどんな行動を捉えて「謀議」があったと評価できるのかなど、事実の有無、証拠価値の程度、法律適用の可否など、争点が多岐にわたるものと思われますので、実質的に第一回公判までに争点が整理される、ということは訴訟の迅速な進行のためにはたいへん好ましいことではないでしょうか。とりわけ、私はライブドアマーケティングが関与しているほうの「風説の流布」「偽計取引」といった構成要件該当性につきまして、いったいどのように裁判所が判断を下すのか非常に注目しているところです。おそらく今後さらに証券犯罪の厳罰化が進むものと思われますが、包括規定を利用してどんどん摘発が進むのか、それとも市民法ルールである罪刑法定主義が証券犯罪でも厳格に適用され、その構成要件該当性の可否を詳細に検討されるような裁判となるのか、興味はつきません。
ちなみに、かけだし裁判官nonさんのブログで、詳細に公判前整理手続の概要が解説されております。よくよく考えてみますと、一般手続ではなく公判前整理手続を採用する事件などですと、刑事弁護人を務める弁護士にも、相当証券取引法や市場取引に詳しいことが要求されそうですね。そうでないとせっかくの証拠開示手続や、証拠の評価さえ十分にできないことになって、公判前整理手続を弁護人側が有効に利用できない可能性が出てきてしまいます。
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コメント
この分離公判をすると刑とかが軽くなるって聞いたんですけど・・。
分離公判とは被告?にとってやりづらいものですか?
投稿: いく | 2006年3月28日 (火) 17時09分
こんばんは。
公判の分離と刑の軽重とはあまり関係はないと思います。たとえば、本件では堀江氏だけが事実を否認している可能性が高いわけでして、ほかの被告人とは利害関係が相反する可能性があります。そこで分離公判とするのも不自然ではありませんね。むしろ、公判を分離したほうが、事実関係を争っている被告人にとってはやりやすいのではないかな、と思います。
投稿: toshi | 2006年3月29日 (水) 03時13分