金融商品取引法案(備忘録)
3月13日に、証券取引法の一部を改正する法律(金融商品取引法)の法律案が金融庁より公表されております。法案はこちら。
日本の将来を託すにふさわしい(?)法律らしく、本当に条文を読むのが難解な法律ですね。とりあえず要綱案から自身の興味分野を探して、参照条文から探していくのが早いかもしれません。
とりあえず日本版SOX法と称されているところの「内部統制報告書」に関係する条文は、24条の4の4~6あたりです。内部統制報告書に記載すべき体制整備に関する内容や、報告書添付書類については内閣府令で、報告書の提出義務のある会社の範囲については政令で定められるとのことで、詳細は追って明らかになるのでしょうが、2008年度から開始される事業年度より適用される見込みということですので、やはり当初の予定よりも1年遅れて施行されることになりそうです。
風説の流布、偽計取引、有価証券報告書虚偽記載などの刑事罰の強化につきましては、法律が公布された直後(20日後)から施行されるということです。ライブドアの法人および元取締役らの刑事事件は、こういった罰則強化のもと、非常に貴重な情報を提供することになります。(もちろん刑事罰は遡及しませんので、現行法による刑事罰が適用されますが)公判において有罪を認める取締役は量刑相場に関する情報をもたらすことになりますし、否認する取締役は、証券犯罪の構成要件該当性に関する情報をもたらすことになります。さらに法人処罰につきましては、まだ争い方は不明ではありますが、情状立証のあり方が注目されるところであります。(とりいそぎ、備忘録のみにて失礼します)
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コメント
初めてコメントさしあげます。
わたなべと申します。いつも拝見させていただいております。
ある企業で総務を担当しておりますが、5月の総会に向けて、新会社法対策でてんてこ舞いになっております。株主総会関係の準備だけでもたいへんなところに、この内部統制システム構築という問題が5月の取締役会までに決定しなければならないということで、いろいろなセミナーなどにも出席しております。よくわかりませんのが、この金融商品取引法でいうところの内部統制報告書と新会社法の内部統制との関係です。財務報告の信頼性を確保するための体制の整備ということも新会社法にいう体制整備のなかに含まれるのでしょうか?また含まれるとしても、このたび整備する内容と2009年に導入されるという内部統制監査の対象とは同じ内容だと考えてよいのでしょうか?
弁護士さんや公認会計士さんのセミナーを聞いても、非常に抽象的なことばかりで、どうも実務に役立ちそうなお話が聞けません。またお時間のあるときにでも、お聞かせいただければありがたいです。
たいへん長くなり、失礼いたしました。
投稿: わたなべ | 2006年3月16日 (木) 11時02分
>わたなべさん
コメントありがとうございます。わたなべさんと同じ疑問をお持ちの法務、総務担当者の方は多いのではないでしょうか。理屈で考えますと、一方は公認会計士の監査対象となり、一方は実質的には監査役の監査の対象となるわけですが、どちらも最終的には不正の防止、といった目的のためのものですから、現場での対応策という点ではほぼ同じと考えてよろしいのではないでしょうか。もちろん、今後は内部統制報告書に記載すべき実務指針のようなものが発表されるでしょうから、それらを参考にする必要がありそうです。「抽象的」というのは、まさにそのとおりでして、私も具体例を織り交ぜながら参加者であれこれと検討するような講演をしてみたいと思っております。そのほうが頭に残りますよね。
また遊びにきてください。
投稿: toshi | 2006年3月16日 (木) 19時46分
toshi様
早々に回答いただき、恐縮です。
たしかにどちらも「不正の防止」ということを目指していることはわかります。
でも、公認会計士の監査対象となる内部報告といったものは、「数字が正しいことを確保するための体制としては、どうしたらいいか」ということで比較的に理解しやすいところがあるのですが、会社法はなにを確保するために体制を整備するのかがわからず、「業務の適正化」ということではあまりにも漠然としていて、そこで思考がストップしてしまうような気がします。
なにが手段でなにが目的なのか、とてもややこしくて、さっぱり頭にイメージが湧かないのです。(本当は役員さん方が考えなければいけないと思うのですが・・)
今後とも、いろいろ勉強させていただきますので、よろしくお願いします。
投稿: わたなべ | 2006年3月18日 (土) 13時59分