会計監査人の内部統制(2)
5月10日は大阪弁護士会で「新会社法における内部統制システム構築」に関する講演をさせていただきます。同業者の方(およそ300名らしい)の前で講演するのは緊張いたしますが、これも勉強ですし、法律家の視点からさまざまなご批判、ご意見を賜るいい機会と思い、お引受けしました。講演に関する感想など、またエントリーしたいと思います。
中央青山の一部業務停止に関する問題につきましては、公認会計士・監査審査会が金融庁の諮問に対して業務停止やむなし、との答申を出したような報道がされておりますが、まだ処分内容が正式に明らかにされておりませんので、もうすこししてから感想を書きたいと思いますが、気になりましたのは旭化成は「業務停止の見込み」といった報道を受けてすばやく監査法人変更予定を表明したこと。9日に出されました旭化成の内部統制整備に関する決議内容は、それはもう自信に満ちたものであって、「全部やってますよ」といった報告書形式に近いものになっています。今回のすばやいコメントも、世界に向けて情報開示をしている会社の方針を表現したものかもしれませんね。帝人の整備決議も素晴らしいと思いましたが、こちらも普段から予算をかけてCSR経営を真剣に履行している企業の姿が認識できる内容でした。
中央青山もたくさんの契約企業があるわけですし、PwCとの海外提携の問題もありますから、業務停止の範囲を決定するのもたいへんかとは思いますが、こういったキビシイ処分が出るというのは、もはや会計の国際化は待ったなし、というところまで来ているのかもしれません。日本企業が生き残りをかけて国際舞台で戦うためには、外国に通用する市場をつくって(刑罰の厳格化、証券取引等監視委員会の権限強化)外国に通用する会計監査を整備し(監査人の責任厳格化、コンバージェンス、内部統制監査)、そして情報開示(コーポレートガバナンス報告書)を進めていくことは必須だと思いますが、そういった制度作りに日本も走り出した、ということなんでしょうか。とりあえず仕事柄、私は金融庁の処分理由や、是正措置命令(って、今回の場合ありますよね?)の内容に興味があります。今後の監査法人の内部統制のあり方を知る上で貴重な先例的意味を持つものと確信しております。
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コメント
こんばんは。
企業の内部統制に眼を奪われていたら、自分達自身に鏡を向けられた感じです。
監査法人に内部統制の証明を任せてもいいのか、という議論も出てくるかもしれませんね。
ある程度はクライアントのことも考えた措置といえますが、受け皿法人らしきものが誕生している以上、やはり手間をおかけすることになるのかもしれません。
受け皿を確保できる見通しが立ったので、処分を行ったともいえるかもしれませんが。
今回TBさせていただいたのですが、手違いで2つ送ってしまいました。
片方は削除していただいてかまいません。お手数おかけして申し訳ありません。
投稿: grande | 2006年5月11日 (木) 00時28分
いえいえ、とんでもございません。早速エントリー拝見しました。監査法人の刑事罰導入問題とからめて、今回の処分はずいぶんと国策がらみではないか、と思っています。
昨年の11月に自民党から出されている提言のとおりに会計の世界が進んでいるように思います。これは別エントリーで総括してみます。
TBありがとうございました。
投稿: toshi | 2006年5月11日 (木) 02時11分