「会社法大改正」と企業社会のゆくえ
ほかのブログでもほとんど話題にはなっておりませんが、法律時報5月号では、新会社法が特集記事となっておりまして、「会社法」大改正と企業社会のゆくえ、として座談会記事ほか6名の著名な学者、実務家の方々によるレベルの高い「書き下ろし」論稿が1400円で読めてしまいます。まだ全てに目を通したわけではありませんが、論考のバランス(ファイナンス、内部統制、金融商品取引法との関連、会計基準、外国法制との関連、企業再編問題など)が極めて秀逸です。また、なんといいましても、前田教授、中村直人弁護士、北原直氏(全国中小企業団体中央会)、野村修也教授による座談会の取り上げるテーマのおもしろさは格別です。先日、神田教授が「会社法における内部統制と金融庁内部統制部会のリリースしている内部統制報告実務の基準のあり方との関係については、よくわからないところがある」と商事法務で述べていらっしゃるところを読んで、ホッとしたことを書きましたが、この座談会記事(けっこう長いです)を読んでおりましても、「あれはホンマによぅわからん・・・」「ホンマは誰もわかってないんちゃうか?」「あの解釈はどうもあやしい・・・」みたいな(関西風は私の脚色ですが)トークがいたるところにちりばめられておりまして、全編興味をそそる話題で「てんこもり」であります。あまりにたくさんの論点が語られておりますが、とりわけ私の興味をそそるのは
Ⅰ 事前警告型敵対的買収防衛プラン(発動時の株主承認型を含む)の問題点
Ⅱ 譲渡制限優先株式と買収防衛プラン
Ⅲ 子会社の機関設計の自由化と企業グループとしての内部統制システム
Ⅳ 代表訴訟の不提訴理由通知制度の実務に及ぼす影響度
Ⅴ 立法担当者の条文解釈にひそむ盲点
といったところでしょうか。この座談会、私だけが知らなかっただけで、実はいろんなところで話題になっているのかもしれません。(と思わざるをえないほど面白いですよ)
もうすこし、自由な時間ができましたら、真剣に内容を検討してみたいと思っておりますが、とりあえず本日はご 紹介まで。(あっ、そういえば今日、ある出版社の方から、「企業会計6月号にめっちゃおもろいバトル記事あるでぇ!」(これも脚色ありですが・・・)との情報を教えていただきました。うーーん、読みたいけど今週は私が責任者になってる総会があったり、日弁連の定期総会で岡山に出かけたりと、忙しいんで、誰か情報がございましたら、また教えてください・・・・。)
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コメント
弁護士のM・Eです。もうそろそろ事務所にでかけなければならないのですが、企業会計の郡谷さんと稲葉早稲田大学法化大学院教授の対談は、まさに『戦う会社法』とでもいえるものでで、こんな対話をよく、活字にしたなあ、印刷を認めた対談者お二人の度量の深さにも感動ものです。
法律時報の座談会でも野村教授が発言されているとおり、立法担当者の解釈は、法律を制定したものの宿命というか限界があるところから、ある種のゆがみがあり、対談を読んでいるところでは、郡谷さんは、昭和56年商法改正の担当者である稲葉教授に対し、果敢に挑んでおられますが、その成果はいかに…というのが私の感想です。
投稿: M・E | 2006年5月23日 (火) 08時42分
おはようございます。
1ヶ月半ほど海外勤務でしたので、ひさしぶりです。
先生のご推薦されるものがネット記事でしたら入手できるのですが、紙ベースのものはなかなか入手できないので、もうすこし内容にわたるご紹介をいただけたらと(って、怒られそうですね ・・・・笑)
MEさんがご紹介されている座談会は私も読みましたが、ものすごいバトルですね。これ、toshi先生もお読みになった感想など、お聞かせいただきたいと思っております。いえ、もちろんお時間のあるときで結構ですんで。
そういえば6月23日のコンプライアンス・オフィサーフォーラムはまたお越しになるんでしょうか。今回は話題の八田教授がゲストですよね。また、お越しになるときはぜひお声をかけてくださいね。
投稿: sara.onji | 2006年5月23日 (火) 11時00分
Toshi先生
はじめまして。IT会社で内部統制関連のリサーチと開発をしている「河原左大臣」と申します。
ビジネス法務6月号の大杉謙一先生の論文「内部統制システムの論点整理」に先生のブログの紹介がありましたので、飛んでまいりました m(_"_)m。非常に参考になる、内部統制関連の記事やコメントが多いですね。熟読させていただき、またあらためて内容についてもコメントさせていただければと考えております。
法律時報5月号の記事、連休に書店でざっと立ち読みして、また時間があるときにゆっくり読もうと思って、そのままになってました^^;;。明日にでも早速読んでみます。今日は取り急ぎ、ごあいさつまで。今後とも宜しくお願い申し上げます。
投稿: 河原左大臣 | 2006年5月23日 (火) 22時31分
>MEさん
うーーん、ますます読みたくなりましたね。
ちょっと私の場合、今週は大きな書店に立ち寄る時間がなさそうなんで、もう少し先に買いに行きます。
>saraさん
お久しぶりです。
コメントがなかったんで、そうかと思っておりました。
まだフォーラムのほうは出席できるかどうかは未定であります。出席可能なおりには、またご挨拶させていただきます。
>河原左大臣さん
どうも、はじめまして。コメントありがとうございます。
またまたIT関係の方ですね?(冷汗・・・)
そういえば6月1日号「経理情報」はシステム監査の立場からの内部統制ネタが特集になっていたような気が・・・。
熟読に値するようなブログかどうかは心もとないのですが、キビシイご意見でもけっこうですので、叱咤激励のコメント頂戴できましたら幸いです。そのうち、IT関連の統制に詳しい人ばかりで激論が始まったりして(笑)。ホスト不在のバトルとかでもよければ大歓迎です。。。
投稿: toshi | 2006年5月24日 (水) 03時00分
最近忙しくずっとROMっておりますが・・・。
件の企業会計の記事はようやく読み始めておりますが、よく喧嘩にならなかったなぁとハラハラしながら読んでいます。
稲葉先生は今度の会社法に対しては以前から厳しく批判されておりまして、研究会の場でも延々と批判を続けておられました。
私は稲葉先生の仰っている事の方が正論だと思っているんですが・・・。
投稿: とーりすがり | 2006年5月25日 (木) 17時50分
>とーりすがりさん
最近、すっかりごぶさたでしたので、どうされておられるのかと心配しておりましたです(笑)
そうでしたか・・・
みなさんの感想をお聞きして、ますます「こわいもの見たさ」で読みたくなったきました。
明日、なんとか岡山の日弁連総会の帰りに書店に立ち寄れるかもしれません。酔っていなければ、の話ですが。
研究会は存じ上げませんが、企業会計の連載モノでは、稲葉先生はたいそう批判的なご意見を開陳されておられたような。。。
投稿: toshi | 2006年5月26日 (金) 02時13分
実は先週末は、某研究会で大阪に行っておりました・・・。
会社法に対する稲葉先生の怒りは未だ収まっていないようですね。
郡谷氏との対決もとい対談でさらに拍車がかかったようです。
先生曰く、会社法は「壮大な欠陥立法」だそうで。
それはそうと、早くも会社法改正の動きが現実味を帯びてきたようですね。
もしかすると次の改正が早期に実現するかもしれません。
投稿: とーりすがり | 2006年5月29日 (月) 21時05分
情報どうもありがとうございました。>とーりすがりさん
いつも正確な情報を提供してくださってるんで、会社法改正の早期実現もかなり信憑性が高いような気がします。いったいどんな項目が改正の対象になるんでしょうかね?意外と内部統制の部分だったりして(笑)しかしまだ使い勝手がわからないうちから改正というのも、どういうことなんでしょうね。それこそどっかに「欠陥」があったんでしょうか。
また、「ここだけの話」がございましたら、よろしくお願いいたします。
投稿: toshi | 2006年5月30日 (火) 12時18分