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2006年7月24日 (月)

王子製紙、北越製紙へ敵対的TOB

王子製紙の中国進出のためのビルドアンドスクラップ政策のためには、規模の大型化と国内基盤の整備が不可欠でしょうから、統合提案というのも理由があるように思われますが、北越製紙としては統合提案を拒否し、三菱商事による資本参加の道を求めているようです。

王子製紙、北越製紙へ敵対的TOB(日経ニュース

王子製紙のTOB実施は、三菱商事との提携撤回を条件としているようですから、北越製紙の一般株主に支配権プレミアム35%の価値を取得させる機会を失わせてでも、三菱商事との提携を選ぶことの合理的な説明を北越製紙の取締役が一般株主に説明できるのかどうか。ひょっとすると、基礎的な事実関係が変動するかもしれませんし、まだなんともいえない状況ですね。

しかし、王子製紙と三菱商事は、共同出資によって世界一の環境保護のための森林管理企業を作っているくらいですから、国策的にも両社が禍根を残すような紛争を起こすことはありえないのではないでしょうか。むしろ、欧米の大規模な製紙企業がアジアに進出している現在、日本企業間で紛争をしている余裕はないでしょうから、行政の介入はあっても、司法判断に至るようなケースにはならないと思っております。もちろん、王子と北越、それぞれに感情的になる経緯はあると思いますが、三菱製紙さんとの関係も含めて、どっかで和解的解決が図られるものと予想しております。

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コメント

>合理的な説明を北越製紙の取締役が一般株主に
>説明できるのかどうか。

ここが最大のポイントでしょうね。
北越製紙のプレスリリースを見ますと、調達資金
による設備投資と三菱商事との業務提携の有用性
を言うだけで、何ら具体的な話ではありませんよ
ね(資金調達なら他にも選択肢はありますし・・・)。

結局、王子製紙と手を組みたくない、現経営陣を
維持したい(経営の継続性?保身?)だけではな
いかと私などは考えてしまうんですが。

投稿: とーりすがり | 2006年7月24日 (月) 10時27分

日経朝刊9面によれば、「市況の波乱要因とされた独立系の北越をどう取り込むかが『覇権』のカギを握っていた」、「経営統合を打診したのは、北越の増産が噂に上りはじめた今月3月。王子は・・・国内市況の一段の悪化要因となると見て増産の自粛を打診した・・・が、北越は大型増産を決断。これを受けた王子は・・・統合提案書を提出した」、北越社長発言に「抄紙機の導入をやめるように・・・妨害を受けた。独占禁止法のカルテルに関わる問題ではないか」とありますので、このTOBは、協調的体質の業界の唯一の競争要因(一匹狼競争者)の排除という競争制限目的の疑い、すなわち独禁法10条違反の違法な株式取得の疑いさえあるように思われますが。

投稿: 通りすがりNo2 | 2006年7月24日 (月) 11時37分

王子製紙は株主に対してTOBを行う積極的理由をどうするのでしょうか。海外進出のための生産調整・価格維持では、おそらく日本最大の生産能力のあるメーカーにとって、TOBが第一の選択とは言いづらいのではないでしょうか。

投稿: serateru | 2006年7月24日 (月) 18時05分

>とーりすがりさん

いつもコメント、ありがとうございます。
ここ3日ほど、この問題ばかり考えておりますが、いまのところの結論としましては、「王子は友好的買収しかシナジー効果を生むことができない」といったところであります。
でも、やっぱりココロのとこかで、敵対的買収事例として、いろんな先例を生み出してほしい、といった個人的欲望はあるのですが・・・
また、事案が動きましたらコメントをお願いいたします。

>通りすがり№2さん
はじめまして。コメント、ありがとうございます。王子製紙の社長の記者会見を聞いておりましても、やはり独禁法上の問題はある、といった意識をお持ちのようでしたね。私も競争制限というところの問題点については、No2さんのご指摘によって検討してみましたが、基礎能力に欠けているためか、いまひとつきちんと把握できておりません。またご教示よろしくお願いいたします。

>serateruさん
コメントありがとうございます。
そうですね。敵対的なTOBをどうしても選択しなければいけない理由ではないと思います。まだまだ基礎的な事実関係がわかりませんが、本当にこの事件が敵対的な買収問題として、今後も推移していくのかどうか、またエントリーをたててみましたので、忌憚のないご意見をお待ちしております。

投稿: toshi | 2006年7月26日 (水) 03時53分

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