レックスHDのMBOと少数株主保護(4)
前回の(その3)には、皆様方より、たいへん示唆に富むご意見、本当にありがとうございました。みつたかさんや、カネボウ株主さんのご要望のお応えしまして・・・というわけではなく、やはり私自身もこのテーマには非常に関心がございますので、まだまだ続きモノとして議論の材料をご提供してまいりたいと思っております。ずいぶんと過分なお褒めの言葉を頂戴しながら、またご期待に添えないものかもしれませんが、お付き合いのほど宜しくお願いします。
弁護士であれば、もう少し高尚な議論を展開したほうがいいんじゃないの?といった自問自答もあるんですが、なにせ素直に考えて、そっから疑問点を浮かび上がらせることのほうがブログ的には面白いでしょうし、お読みになっている方と一緒に考えるほうが社会的意義はあるでしょうから、以下のお話はレックス問題のみならず「上場廃止に伴うTOB」一般に通じるものとしてお考えください。そもそも、unknownさんがおっしゃるとおり、MBOにおける少数株主保護の論点というのはかなり以前から米国でもドイツでも議論されているところのようで、それなりに明解な結論が出ているものでもなさそうですんで、簡単に回答が出るものでもないのかもしれません。ただ考えるのがムズカシイのは、会社法と証券取引法とが交錯するところに位置する論点であるところに起因すると思われますが、日本の会社法と証券取引法の解釈次第では、米国ともドイツとも違った考え方というのもアリ、のような気がします。
1 なぜ少数株主は保護されなければいけないのか?
「少数株主の保護」と一口で言いますと、とても耳に心地いい響きでありますが、そもそも「少数株主」とは何を指すんでしょうか?議決権の過半数を握る株主との比較においてでしょうか、それとも3%保有しているだけの支配株主に対比される(数のうえでは多数に属する)一般株主を指すのでしょうか?それと「保護」というのは何を指すんでしょうか?「売却の機会確保」を意味しているのでしょうか、それとも財産的価値の確保を意味するのでしょうか?とりあえず、上場企業の非公開化、という側面において「少数株主の保護」という問題を議論する場合において、この定義が論者の間できちんと共有できているかどうか、そのあたりが私にはよくわからないところです。たとえば今回のレックスHDのMBO事例におきまして、一般株主からみて著しく低いTOB価格が提示されていると仮定した場合、「なに?23万円?じゃあ、うちは25万円で競合TOBをかけましょう」と考えて、競合他社がTOBをかけてきた場合、一般株主の方はMBOに応じるのか、競合者に応じるのか選択の余地が出てまいります。アメリカにおきましても、競合者が出てきたときのMBOの成功率は80%から50%まで落ちる、といった実証研究の結果も公表されておりますが、経営者としても簡単に競合者に反対するわけにはいかなくなるんじゃないでしょうか。こういった場面でも、さらに一般株主は「保護」される必要はあるのでしょうか?閉鎖会社も含めた「会社法マター」の問題として考えるのであれば、株主の財産的利益の確保、という視点を重視することも納得できるのですが、上場企業の非公開化という、証券取引法にも関連する場面を想定しますと、そのあたりの定義をはっきりさせておかないと「少数株主を保護」する必要性といいますか、制度趣旨のようなところが明確はならないものと思っております。また「少数株主は被害者」ということについてでありますが、印象としては3%を保有している支配株主が、強圧的なTOBをかけて一般株主から「シブシブ」株券提供を応じさせる、という図式になろうかと思うのですが、誰がどのような行為によって一般株主の法的利益を侵害した、というのでしょうか?現に、カネボウの役員の方々は特別背任罪で「告発」されているわけでして、被害者から「告訴」されているわけではありませんし、また株主代表訴訟といいますのも「会社に損害が発生しているから、会社に賠償責任を履行せよ」というものでして、一般株主の方々が、第三者責任を追及しているものでもありません。したがいまして、こういった株主の方の行動からは「株主の被害」というものが明確にははってまいりません。会社法上の「株主保護」として考えればいいのか、それとも証券取引法上の「投資家保護」として考えればいいのか、あるいはその両方なのか、そのあたりの考え方次第でも、先の疑問への回答は違ってくるように思われます。
2 会社法における株式買取請求権
最近はレックスのようなMBOが次第に増えてきておりますし、成功例がいくつも誕生すれば、来年あたり上場企業の非公開化(一般株主の締め出しを伴う)が益々さかんに行われるかもしれません。そこで、経営陣やそこに資金を投入するファンドや事業会社のMBOリスクについて考えてみたいと思います。さてどのようなリスクがあるのかな・・・と考えてみますと、先にも書きましたが、同業他社によって競合TOBをかけられる、というリスクとか考えられますよね。経営陣としては、このリスクをどう回避すべきか。この点については、MBOに関する開示情報のなかで、短期的には業績は落ちることが予想されるが、5年10年の長期展望においては企業の将来は明るい、と説明することで、「上場のままで短期のシナジー効果を得ることはできませんよ」という意思表示をハッキリさせて、短期的利益を必要とする競合他社によるTOBを予防する、ということが考えられるでしょう。そしてもうひとつのリスクとしましては、会社法上、少数株主に付与されるべき株式買取請求権の「公正な価格」についてではないでしょうか。興味深いのは、この株式買取請求権の条文が旧商法と新会社法とでは大きく変わったことですよね。以前は「もし合併がなかったならば、得られたであろう株主の利益」と解釈されていたわけですが、新会社法においては「公正な価格」、つまり企業の結合を前提として、そのシナジー効果があった場合に、そのシナジー分もすべての株主に適正に配分されているかどうか、という視点から適正な価格を考える、というものであります。(これを「新会社法実務相談」(377ページ)風に申し上げますと「株主に公正な対価の合併があったら、合併後におかれたであろう立場を保障するもの」だそうであります。)会社法上の株式買取請求権は、立派な裁判規範であります。これは裁判所が適正価格を決めるモノサシであります。つまり、「公正な価格」というものを、先に上げたような定義といたしますと、裁判所が非訟事件手続におきまして、「公正な対価の合併であったか、なかったか」を判定しなければならないわけでして、対象企業が上場企業の場合でしたら、当然に市場における株価形成の経過も考慮せざるをえないのではないでしょうか。しかし、上場企業の非公開化の場面におけるTOB価格というのは、その是非を一般株主が判断できるほどの情報というものは公開されているのでしょうか?そもそも証券取引法において企業情報が株主に開示される趣旨といういいますのは、私が理解しているかぎりでは投資家保護よりも迅速、公正な価格形成のため、というのではなかったでしょうか。(金融商品取引法の立案担当者も、開示制度は透明性、公正性のところで分類されています。むしろ投資家保護は、迅速な価格形成が可能となることによる反射的利益に近い位置づけではないかと・・・)そうだとしますと、そもそも十分な情報開示がなされていない場面では、この株式買取請求権の「公正な価格」を算定する前提がない(つまり価格形成機能の不全)わけでして、少数株主の最大の武器である株式買取請求権の行使自体が阻害されているような状況になってしまってるんじゃないでしょうか?もし一般株主に権利侵害が発生しているとするならば、このあたりが説得力があるのではないかなぁ・・・との疑問が湧いてまいります。同時に、経営陣側からみますと、情報をなるべく開示しない、ということも、できるだけ少数株主対策費用を低減するためのリスク回避手段としては当然のことのようにも思われます。
と、いうことでして、とりわけMBOと少数株主との関係につきましては、市場内における価格形成に必要な情報が十分開示されていたのかどうか、(このあたりは政省令でルール化される以前においては、たとえグレーでもクロではない、といった別の論点もあるかもしれませんが)ということが最大の問題点になろうかと考えておりますが、少し長くなりましたので、この開示に関するお話はまた次回にさせていただきます。(会社法と証券取引法の基本に返って考えてみますと、私は素直に上記のように思ったりするわけでありますが、まことに勝手な意見でありますので、また反論、ご批判、大歓迎でございます。)
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コメント
「レックスHDのMBOと少数株主保護」のエントリーですが、今話題になっている日興コーディアルのベルシステム24に関しても少数株主保護と関連があると思うので書かせていただきます。
現在の報道は、主としてベルシステム24の完全親会社となった NPIHを連結からはずし、一方で連結対象のNPIが保有するベルシステム24に関連するEB債を時価評価して連結利益を不当に計上した関連です。
しかし、一連の取引を見てみると、不可解なところが多く、実は日興(NPIH)による一部上場会社のベルシステム24の一般株主締め出しの側面があります。NPIHは、2004年8月にベルシステム24の67.71%株主にTOBを行わずしてなっているのです。発行済み株式数4,814,731株のベルシステム24が5,200,000株を第三者公募し全株をNPIHが引受た結果、0からいきなり過半数以上の株式をNPIHが保有しました。そして、その直後にそれ以前の最大株主CSKから1,580,000株を譲り受け67.71%株を保有しました。ここまでくると、何でも可能というような形で、TOBを実施。TOBに応じない株主対策として産業活力再生特別措置法の申請を行って、産業活力再生特別措置法による強制買い取りに持っていった。そして、2005年1月16日に上場廃止となりました。
実は、この取引は私のブログ
http://urenaiconsul.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_00e1.html
http://urenaiconsul.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_51d7.html
で分析に努めたのですが、日興が何を意図して行ったのか、私も未だ解っていません。ベルシステム24の買収に約2370億円をつぎ込み、その一年後に資本金と資本剰余金を減少させて株主に戻した。戻した金額は約1300億円です。
日興コーディアルの問題は財務諸表の正確性の問題のみならず少数株主保護との関連を含め、多くの問題を含んでいるように思ったので、書き込ませていただきました。
投稿: 売れない経営コンサルタント | 2006年12月20日 (水) 12時10分
ベルシステム24事件は、売れない経営コンサルタントさんご指摘以外にも不可解な取引がいくつかあるようです。CSKの株主権問題が焦点となっていたために不可解取引に眼がいっていなかったようです。代理人となった弁護士が証券取引に疎かったということもあったのでしょうし、もしかすれば調査する時間がなかったのかもしれません。新株発行差止請求のための期間はあまりにも短すぎるようです。その当事、証券市場に詳しい人間は、うすうすは不可解取引に気付いていましたが、やっと今ごろになって出てきたか、ということです。
投稿: unknown | 2006年12月20日 (水) 14時48分
toshi先生、おひさしぶりです。
MBOについては、経営者の意思主導のばかりでもありませんよね。
先日の明星食品へのスティールパートナーズの要求しかり、本日のサンテレホンしかりです。
経営者になんらかのインセンティブを与えたうえでの、ファンドによるLBOの一種という側面もあろうかと思います。そう考えますと、三角合併や交付金合併が施行され、ほぼ税制も整ってきた来年あたりは、私もMBOを主体とした企業買収というのは急激に増加すると予想しますし、競合TOBも増加するように思います。
ところで、22日の名古屋でのtoshi先生のご講演、私も拝聴させていただきます。暮れの慌しい時期ですが、先生も体調崩されませんようご自愛ください。
投稿: まほろば | 2006年12月20日 (水) 15時01分
再度取り上げていただきありがとうございます。このような場所で書き込むのも恐れ多いのですが、、
競合他社などによるTOB合戦に発展するのであれば、その結果出てくる買取価格は「公正な価格」と言うしかないと思いますし、少数株主の保護は問題にならない場合が多いのではないかと私は思います。むしろ多くの場合、それは一般株主にとってうれしい話となるでしょう。
MBOにおいて、少数株主の保護が問題視される理由の一つとして、TOB合戦に発展しにくいというのもあるのではないかと思います。会社のオーナー自らTOB側に入っている以上、競争者がTOB合戦をかけたとしても支配権を得られる見込みはほとんどなく、競争者にとって抵抗するのにリスク重くのしかかると思います。
そして、さらに会社の業績見込みや資産状況などを詳細に理解している経営陣がTOB側に廻るわけですから、いつがTOBの仕掛け時か(=市場が会社を過小評価しているか)判断できます。そして、MBOは、必ずそのタイミングで行なわれるものです。よく言われているように利益相反や情報の非対称性などが問題となる場面ですし、ここで少数株主の保護が特に問題となると思います。
>十分な情報開示がなされていない場面では、この株式買取請求権の「公正な価格」を算定する前提がない
仰るとおりだと思います。そして、現状では情報開示が不十分だと思います。その状態ではTOBに応じるべきか、買取請求でどのように主張すべきか、何も判断できません。
上場中もしくは上場廃止になった株主の多い企業(有報提出会社)については、情報格差の存在や小口投資家の資金量や判断力などを考えると、買取請求では保護が全く不十分と思います。証取法の趣旨を会社法の組織再編等の場面にまで及ぼすような手当てができないのかと思ってしまうのですが。
ところでベルシステム24に似ているようにも思いますが、カネボウも、再生機構が直接間接に議決権の70%を超える劣後株で経営権を支配した後にそれをファンドに譲渡したため、「該当する株主が全員同意した」ということで普通株にはTOB無しでファンドに支配権が移りました。法解釈として頭では理解できても、実際に価値が劣る劣後株が目の前で普通株の倍の値段で取引されると、どうしたものかと思います。そしてその後はファンドのやりたい放題です。ファンドはとかく、脱法的な手法を見つけてきては取る様に思います。事業会社と違いレピュテーションリスクなどほとんど無いでしょうし。
消費者問題などと異なり少数株主保護の視点に立った議論というのは後回しにされてきた点もあるのではないでしょうか。この手の議論は企業側に視点が寄ってしまいがちに感じますし(個人投資家に対する日本社会の考え方もあると思います)、多くの商事系の弁護士さんにとっては企業側でのみ仕事をする案件かと思います。このような場で少数株主保護について議論がなされることは、ありがたく思っております。
投稿: カネボウ株主 | 2006年12月20日 (水) 19時38分
山口先生
どうしようか迷いましたが、当職の業務分野ですのでコメントさせていただきます。
>そもそも証券取引法において企業情報が株主に開示される趣旨といういいますのは、私が理解しているかぎりでは投資家保護よりも迅速、公正な価格形成のため、というのではなかったでしょうか。
この部分は賛同しかねます。法1条は現行法では
「第一条 この法律は、国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資するため、有価証券の発行及び売買その他の取引を公正ならしめ、且つ、有価証券の流通を円滑ならしめることを目的とする」
とあります。投資者保護を究極の目的とするという点は、一般的理解だろうと思います。
なお、金融商品取引法1条は、
「第一条 この法律は、企業内容等の開示の制度を整備するとともに、金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定め、金融商品取引所の適切な運営を確保すること等により、有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にし、有価証券の流通を円滑にするほか、資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、もつて国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする」
と規定しています。規定ぶりは変更されており、資本市場の機能の十全な発揮による公正な価格形成を図ること、が規定されている点に注目すべきなのですが、これも目的に対する手段として位置づけられているのではないでしょうか。その目的は国民経済の健全な発展だけでなく、投資者の保護です。
証券に関する取引について、もし法制が整備されていなければどうなるか。無法地帯となるとどれだけ悲惨な結果となるか、それを経験した彼の国がありますが、それに範をとったのがわが国の法律です。法の存在意義と目的について、ちょっとコメントさせていただきました。
>(金融商品取引法の立案担当者も、開示制度は透明性、公正性のところで分類されています。むしろ投資家保護は、迅速な価格形成が可能となることによる反射的利益に近い位置づけではないかと・・・)
投資家保護が反射的利益に近いという点には、賛同しかねます。金融商品取引法においても変更がない条文で21条の2というのがありますが、発行会社側の民事責任が規定されています。「重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは」(中略)投資者に対して「記載が虚偽であり、又は欠けていること(以下この条において「虚偽記載等」という。)により生じた損害を賠償する責めに任ずる」と規定しています。
これは無過失責任ですが、反射的利益ならばどうしてこういう規定(平成16年改正で追加)したのでしょう?という疑問が生じてしまいます。
> 1 なぜ少数株主は保護されなければいけないのか?
タイトルの記述そのものに、議論のすり替えがあります。少数株主を保護するのではなく、少数株主が権利を侵害されやすい、そしてそのための法的制度を整備しておく必要があり、それは「少数株主」であることだけで特殊な保護をするのではなく、「権利を侵害されたときにその回復が難しい」という前提があるカテゴリーとして、少数株主保護の規定があるといえるのではないでしょうか。
>また「少数株主は被害者」ということについてでありますが、印象としては3%を保有している支配株主が、強圧的なTOBをかけて一般株主から「シブシブ」株券提供を応じさせる、という図式になろうかと思うのですが、誰がどのような行為によって一般株主の法的利益を侵害した、というのでしょうか?
先生は、強圧性について、「しぶしぶ応じる」ことについて、どうして問題かを誤解されているようです。というか、応募したんだから、それは自由意志でしょ、というお考えなのでしょうか。
そもそも論で、議論がかみ合わない気がします。
あまり長くなるので、別の機会に改めてコメントさせていただきますが、ちょっと今回は残念ですね。
投稿: 辰のお年ご | 2006年12月21日 (木) 23時40分
toshiさんのご理解にはときどき反論したい部分もありますが、一面において真実もあるのでは?
企業情報の開示制度が価格形成に寄与するという部分はご指摘のとおりですし、公正透明な価格形成が究極的には投資家保護につながる、といった理解をされている方もおられるんじゃないでしょうか。むしろ投資家保護を法的利益と捉えていないからこそ、証券取引法のなかに民事救済規定が「特則」として規定されているとみることができませんか。
投稿: unknown | 2006年12月22日 (金) 08時55分
証券取引法にタッチしているものには、「投資家保護」という用語は大変気になりまして、「投資者保護」という用語を正しくは使用すべきであります。普通の人にはあまり関係ない話しですが。プロ感覚では気になるのです。
辰のお年ごさんのご議論には賛成でありまして、長年、「国民経済の適切な運営」および「投資者保護」のために証券取引法はあると耳にタコができるほど聞かされてきました。
「少数株主の保護」や「株主権」は会社法の方の概念ではないでしょうか?
論点は変わりますが、「ベルシステム24事件」は、日興のみがクローズアップされていますが、少し遠景から事件を眺めてみますと、もともとはゴールドマン・サックスがソフトバンクにボーダフォンの買収を仕掛け、ソフトバンクがその買収資金を捻出する方策の一つとしてBBコールを売却しようとした、そこにベルシステム24という格好のターゲットがあり、仕組みを工夫していった、というのが事件の始まりでした。筋書きはゴールドマン作成です。日興は、ゴールドマンとソフトバンクにうまく利用されてしまったわけです。この間の一連の流れは多分、検察も把握していると思いますが、日興は明らかな失態を犯してしまっていたようです。
投稿: just say yes | 2006年12月22日 (金) 15時42分
皆様、多方面に物議を醸し出してしまいまして、誠に申し訳ございません。自らのブログの「社会的影響」につきまして、いまいちどきちんと認識した上で、再度検討してみたいと思います。unkownさん、辰のお年ごさん、just say yesさんのご意見を頂戴し、まだまだ証券取引法の基本に立ち返って研究してみたいと思っております。なお、本件に関連する事件につきましては、私も当事者に近い立場となりましたので、今後は慎重な発言に留意いたします。(ちょっと勝手な発言がしにくい状況になりました・・・したがいまして、もうすこし一般論として事案を分解してブログ上で発言していきたいと思ってます)今後ともどうかご指導よろしくお願いします。
投稿: toshi | 2006年12月22日 (金) 17時32分
少数株主の保護の問題も盛り上がりましたが、カネボウが、営業譲渡代金を受け皿会社から受け取らないで、支払能力がない会社に免責的債務引受けしてしまった事件が継続中です。
この問題に関連して、カネボウの半期報告書で、ついに、貸倒引当金が計上されて、カネボウが債務超過になりました。つまり、営業譲渡代金債権が支払われないまま、不良債権になったということです。
http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/gyoseki.cfm?id=d2d2801a28&date=20061228
http://www.kanebo.co.jp/kanebo_kabu/ir/pdf/90_bs_pl_zenbun.pdf
これこそ、「やらずぼったくり」。
山口先生は、こういうことも許されるとお考えですか?
※ コメントするところがどちらが適切か判らなかったので、こちらにも書きました。適宜、削除して下さい。
投稿: 東京弁護士 | 2006年12月30日 (土) 10時27分
>東京弁護士さん
コメントが遅くなりました。本年もよろしくお願いいたします。
カネボウ問題に関しましては、実は「冷静に考えたい」と思いまして、いろいろと説得的な反対意見を考えておりました。(そのほうがブログ的にはおもしろいかな、と思いましたので・・・)
しかしながら、この刑事告発にからむ論点は、特別立法による認可に基づくスキームであることを考慮しても、やはり「問題が多すぎる」と考えざるを得ないのではないか、というのが率直な意見です。
いま、本当に私が知りたいのは、どういった理由で、これは刑事犯とは無関係な取締役の行為である、と説明されるのか、その理由付けですよね。そういった理由が常識的なものとして揚げられるのかどうか、たいへん興味あるところです。(検察による立証の問題は別として)
このあたり、またご存知でしたら、続コメント、よろしくお願いいたします。
投稿: toshi | 2007年1月 5日 (金) 03時10分