金商法と監査役実務対応セミナー
日本監査役協会関西支部における研修会(金融商品取引法と監査役の実務対応)に多数、ご参加いただきまして、ありがとうございました。年末のお忙しいなか、310名の監査役さんを前に3時間半の長丁場の講演をさせていただきまいしたが、ご理解いただけましたでしょうか?(監査役サポーターさんはお越しになっておられたのでしょうか?)日興コーディアルやミサワHDのお話しを交えて、課徴金制度がこれからの一般事業会社に及ぼす影響などについて力説させていただきましたが、予想以上に早い展開になっているようです。(証券取引等監視委員会、日興コーデへの課徴金納付を勧告)連結はずしや取引先との共謀、収益認識時期のズレなど、どれも売上計上に関する典型的な粉飾決算の論点が問題となっておりますが、内部通報制度や監査法人の審査対応の厳格化などによって、今後も同様の課徴金賦課を前提とした問題はいろいろな企業で出てくると思います。課徴金賦課のための調査体制が整備されつつあることや、金融商品取引法成立時における衆参両議院の附帯決議の内容からすれば、多少問題があったとしましても、「課徴金納付」を前提とした監視委員会の活動は益々積極的なものになることは十分予想されます。一般事業会社における監査役としましては、「課徴金」が「刑事告発」にまで及ぶかどうか、自主的に訂正することで株主代表訴訟のおそれが出てくるかどうかなど、企業の社会的信用をおとしめる事態への最大限の配慮をしなければいけないところです。
また、お越しになった監査役の皆様方の最大関心事は、やはり「金融商品取引法上の内部統制報告制度」でしたね。かなりオリジナルな見解(このブログですでに主張しているところです)を申し述べましたので、またいろいろとご批判もありますでしょうが、どうかコメントにて、ご批判、ご意見をお待ちしております。(なお、今週22日は名古屋支部での講演です。また鋭いご批判ご意見、お待ちしております)
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コメント
こんばんは。
先日の研修会、出席させて頂きました。長時間に渡りお疲れ様でした。先生のお話を直に伺ったのは始めてでしたが、このブログさながらに熱のこもったお話で感銘を受けました。
ただ、監査役向けということを考えると、少々内容的に難しかったのではないかなという印象はありました(終了後、そういう声を2-3聞きました)。
最後の「Ⅲ」のパートを中心に(体系的なことを多少無視することになるかもしれませんが、むしろここを重点に)お話頂くと受講者のニーズによりマッチしていたかな、と思います。
なお個人的には、監査役協会の「監査役監査基準(公開草案)」の30条(財務報告内部統制)を鋭く切り込んで頂きたかったな、と思ったりしております(同条は何が言いたいのかさっぱり判らない内容で、困っているところですので)。
投稿: 監査役サポーター | 2006年12月26日 (火) 22時24分
講演のご感想ありがとうございました。
2点ほど反省点がございます。
1点は、まさに監査役サポーターさんご指摘のとおり、「少し内容が難しかったのではないか」ということです。
監査役≒法学部出身のようなイメージを、自分で勝手に思い描いておりましたが、他のところのコメントにもありますように、理系ご出身(といいますか、社内でも技術畑を歩んでこられた方)の監査役の方もたくさんいらっしゃるわけでして、「勉強したい」と思ってお越しになっておられる方には、もすこし基礎的なところでもっと「大事なところ」を中心に講演させていただいたほうがよかったのではないか、と思います。
もう1点は、日本監査役協会の、内部統制監査制度に関する考え方や公式見解について、私のほうがきちんとフォローできていなかった点です。これは逆に、ものすごくよく研究されている監査役の方にとっては、そのあたりの法律家としての意見をお聞きになりたかったのではないか、と思いますし、たとえ短い時間であっても、私の意見を述べておくと、また非常におもしろかったのではないかと反省しております。このあたりは私の不勉強によるものでして、次回への宿題としておきます。
辛口のご意見を頂戴できるのが、このブログをやっている者としての望外の幸せです。また、日本監査役協会主催の講演、研修など、させていただく折がございましたら、ぜひお越しいただければ幸甚です。
投稿: toshi | 2006年12月26日 (火) 23時14分