日興コーディアル不正会計と事実認定
日興の不正経理問題につきましては、本来、1月15日に監査法人さんから訂正報告書が出る予定だったようですが、昨年末に担当監査法人変更(みすず→あらた)を理由として2月末日まで期限が延長されましたので、報道される機会も少なくなっているようです。課徴金5億円を納付した、とのことでありますが、今後日興の問題はどうなっていくのでしょうか?具体的な私見を述べることは避けたいと思っておりますが、これまでのカネボウ事件や西武事件における東証の対応と比較して、日興CDに上場廃止の可能性はどこまであるのか、もし監理ポスト解除という結末に至るのであれば、それはどういったソフトランディングによるものなのか、そのあたりの議論というのが、どこかのブログでなされると非常に有益かなぁと思っております。
ともかく、有価証券報告書虚偽記載ということでは、刑事捜査手続が進んでいないようですので、東証の判断にとって大きなポイントとなる「事実確定」を誰が責任をもって行うのか、このあたりが私にとってとても関心のあるところです。著名な法律家の方々4名による特別調査委員会の報告書が提出されるのが1月末ということであり、その後に訂正報告書が提出されるということだそうですので、おそらくまずこの特別調査委員会による事実調査が大きな影響を与えるのではないでしょうか。ただ、マネックス証券が日興CGの代用掛け目を80%→0%に変更した後も、日興の株式を買い支える動きがあったりするのを聞きますと、どんな力が働くのか予想もつかないところがあるわけでして、今後の東証の最終判断までの道のりは、日本における市場の公正さを考えるきっかけになるように思えます。ともかく、捜査機関による事実認定に判断を委ねることができない本件におきましては、この「事実確定」というまさに「プロの世界」の所業を、誰がどれだけの力量によって世間を納得させながら遂行していくのか、認定されたどのような事実を捉えて「組織的関与かそうでないか」を判断するのか、またどのような事実を捉えて「悪質かそうでないか」を判断するのか、注目していきたいですね。(おそらく今週あたりから、また日興の不正経理問題につきましては、ニュースや報道がさかんになるような気がいたします)
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コメント
「日興の株式を買い支える動き」に関する疑問については、既に解決済みと思いますが、あえてコメントします。
「オービス・インベスト・マネジメント・リミテッド」が6.75%、「マッケンジー・キャンディル・インベストメント・マネジメント・リミテッド」が5.74%を保有し、筆頭株主だった米シティグループは3位、みずほグループは4位になりました。
こういった買いが入っていて、株価を下支えしたのだと思います。
では、何故かというと、整理ポスト入りして上場廃止になろうとも、日興コーディアル証券には、十分価値があるということだと思います。
整理ポスト入りして株価が安くなれば、みずほにしても、三菱にしても、吸収するコストが下がります。(但し、フランチャイズバリューの毀損がどのくらいになるかは分かりませんが)
その買値を考えて、外資ファンドが購入したのだと思います。
投稿: 七篠権米 | 2007年1月24日 (水) 19時18分
>七篠権米さん
いえいえ「解決済み」ではございません。諸々の事情によりまして、恥ずかしながらきちんとフォローしておりませんでした。ご教示いただき、感謝しております。
いま日興の社員さん達は、全社挙げての謝罪行脚ですよね。まだまだ流動的なところが多いような気がしますが、私は単純にこういった株価下支えは、どっかで自由競争とは違う「力」が働いているのではないか、と思っておりましたが、別の意味で厳しい自由競争にさらされている、ということなのでしょうか。
いずれにしましても、あと数日で特別調査委員会の報告書が出る予定ですから、また注目したいと思います。
今後とも、至らぬ点はご教示ください。
投稿: toshi | 2007年1月25日 (木) 17時44分