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2007年1月11日 (木)

不二家の公表・回収義務を考える

(1月11日午後追記あります)

ダスキン株主代表訴訟控訴審判決の影響からか、こういった事例にはどうしても敏感に反応してしまいますが、マスコミもこぞって株式会社不二家(東証1部)のシュークリーム問題を批判的に採り上げているようです。(日経ニュース中国新聞ニュース)ほぼすべてのマスコミにおきまして、工場の担当者が、怒られるのを避けるために(本来廃棄すべき)消費期限切れの牛乳をそのまま使用してシュークリームを出荷した、といった事実よりも、その直後に社内で事実が判明したにもかかわらず、出荷したシュークリームを回収したり、公表しなかったことに関する「会社の姿勢に対する」非難、という趣旨の報道姿勢のようです。(人事担当責任者の話においても、公表しなかったことが悪かった、というニュアンスが感じられます)消費期限切れの牛乳を使用してシュークリームを製造販売すること自体はおそらく食品衛生法違反、JIS違反にはならない、つまり「社内規定に違反するだけであり、違法性はないために公表するまでもない」といった企業の見解だったと思われます。しかしながら、マスコミから一斉に「なぜ公表して、回収措置をとらなかったのか」と疑問を呈されますと、「軽率でした・・・・・」という社内対応になってしまったようです。(いまになって発覚した、ということは、おそらく内部通報や外部通報によるものと推測されます。社内担当者の話でも、公表すべきとは思いもよらなかった、とのことですし。)

しかし「社内規定違反の事実」だけが認められる場合にまで、企業はその事実を公表しなければいけないのでしょうか。もし公表しなければいけない、というのであれば、それはどこに根拠があるのでしょうか。それは法律上の根拠ではなく、もっと倫理的なところ、つまり企業の社会的責任といったあたりに由来するのでしょうか?私自身、このあたりはグレーゾーンのような気がしておりますが、企業コンプライアンス的な発想からすると、マスコミから騒がれることが企業の社会的評価をオトシメルことになる以上は、その時代の風潮にしたがって法的には公表する必要はなくても回収、公表することが大事だ、ということになるのでしょうか。(でも、マスコミの考え方が企業倫理的に正しい、とはかならずしも言えないはずですよね。東京新聞あたりのニュースでは、「食品衛生法違反の可能性も浮上している」と報道されていましたが。)もしこのたびの不二家のシュークリームにつきまして、回収および公表することが取締役の責務である(取締役は、いたずらに企業の社会的評価を貶めないよう細心の努力をはらわなければならない)、ということが正当な結論とした場合、おそらく日本中の食品製造販売会社の役員さんたちは「ドキ!」っとしてしまうのではないでしょうか。内規違反の状態で製造販売してしまった、という事実は現実に発生しうるものと推察されますし、わざと公表しなかった、というのも当然に問題になるでしょうが、また販売事実を知らなかったというのも、内部統制に問題あり、ということになりそうですし、いずれにしましても、公益通報制度(内部通報制度)が充実した世の中におきまして、この「公表と隠蔽」問題は今後の企業コンプライアンスの重要課題になりつつある、と思われます。

私が「グレーゾーン」と考えました理由は、この報道を知ってすこしばかり「素朴な疑問」が湧いたからであります。消費期限切れの商品を使用すること自体が食品衛生法違反にはならないとしましても、その原料を使用して加工した製品には、また消費期限が付されるわけですよね。そこで加工品であるシュークリームの消費期限というものは、何を基準に決まるのか、というものです。原料の鮮度も判断基準になるとしたら、そもそも消費期限が切れている牛乳を使用したこと自体がシュークリームの消費期限を偽ったことにならないのか、もしくは牛乳の消費期限自体を偽って延期させたことにならないのだろうか、といった点であります。(消費期限の不当表示は明らかに法律違反であります)ただ、同じ加工品といいましても、チーズの場合であればなんとなく「セーフ」のような気もしますし、このあたり乳製品の消費期限というのは、いったい何を基準に考えるんでしょうかね?こういった単なる社内規定違反ではなくて、そもそも「グレーゾーン」の問題である、ということでしたら、企業としてもコンプライアンス的な見地から公表、回収に踏み切るべき「ふんぎり」がつくものと思うのですが、ただ「社内規定違反」というだけで取締役の責任問題が発生する、というのでは、とりわけ最近では、環境問題や消費者問題が企業のCSRの根幹をなすだけに、企業としては相当な対価を投入して、その対応を検討しなければならない、ということになりそうです。

社内不祥事の開示統制問題は、今後もさらに「企業にとってやっかいなコンプライアンス問題」として、リスクマネジメントを要求されることになりそうですね。1月11日午前2時現在、不二家のHPには本件に関する何らのメッセージもございませんが、この問題を不二家社としてどう考えておられるのか、「環境および食品衛生に最大限の配慮をしている品格ある企業」として、ぜひメッセージを株主(一般投資家)および消費者に向けて伝えていただきたいと思います。(結論先にありき、という意味ではございません。もし公表すべき問題ではない、ということでしたら堂々と、その社内方針を、社内の検査体制や安全性への取組みと結びつけて、説得的に述べていただければ、それもまた企業のコンプライアンス問題への姿勢と考えるべき、ということだと私は理解しております

(1月11日午後 追記)

すでにニュースで報道されておりますとおり、不二家としての謝罪会見、5日間の洋菓子製造中止ということで、HPトップページにも所見が表明されております。それはそれで素早い対応でさすが「品格ある企業だなあ」と感じ入る次第でありますが、やはり上記のとおり、私は「消費期限切れ商品がもはや市場に出回っていないような本件において、本当にこれが公表しないといけない事案なのだろうか・・・・今後の各企業における社内規定作りに、マイナスのイメージを与えてしまうことにならないだろうか・・・・」といった疑念がぬぐいきれません。ここがコンプライアンス問題の最大の論点だと思います。なぜ今回謝罪したのか、社内のどういったことに対して謝罪をするのか、もし謝罪しなかったら会社はどうなるのか、謝罪しないといけない根拠はどこにあったのか、公表することと今後の社内の再発防止とがどのように関連付けて説明されているのか、そこを詰めて考えいかないと、今後も各企業において「社内規定違反なんてどこも同じ。運が悪ければそこで考えましょう。もし社外に情報が漏れたら謝罪して、社内調査をして、内部管理体制の改正をリリースすれば済むこと」の繰り返しになってしまうはずであります。ここをきちんと考えておかなければ、企業コンプライアンス、CSR経営など「お題目」に終ってしまうような気がします。(なお、読売ニュースの記事内容からしますと、どうも「不適切な販売」には終らない可能性もあるかもしれません)

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コメント

山口先生
本年もよろしくお願いします。
法令違反でなければ、期限切れの原料を使用していても、それはグレーなのでしょうか。法令違反という場合の法令は、どのレベルのものなのでしょうか。一般には、法令は最高レベルの品質を確保するために、これであれば大丈夫、というような基準を設定するものではなく、いくらなんでもこんなことがあってはいけない、というミニマムスタンダードの場合が多いように思います(一般論です)。本件の法令がどのような内容か、それを知らずにコメントは難しいのですが、社内基準の違反にすぎないから・・・というのは、「?」と思ってしまいます。
被害が生じなければ、ルール違反でもいいのでしょうか。それに、法律でない自主的な規範の違反は「グレー」なのでしょうか。「グレー」という語がどういう意味が使われているか、小職が理解していないのかもしれません。この語の「使われ方」に腑に落ちないものがあります。

次に、わが国でよく見られる謝罪会見ですが、コメントしたい点があります。開き直る態度は、社会的非難が高まるものであって、決していいとは思いません。謝罪の姿勢にその点で、評価しておきたい点があります。と同時に、結局原因究明と対策がはっきりしなければ、意味がありません。それこそが、まさに会見で求められる会社からの姿勢です。その原因の分析の結果落ち度があったことが分かり謝罪する、というのであれば、本当の意味で「納得」がいくのでしょう、見ている側も。現実の被害が生じていない場合、謝罪まで、という気持ちが見ている側にあるとしても、それはそれで会社側の対応に納得がいくでしょう。

決して偉そうなことをいうつもりはないのですが、折角頭を下げていても、同種事案が事実繰り返される会社はこれまでにもありました。本当に何が必要か、それがわかっていなかったのかもしれないなあ、と後日コメントされることになりかねません。やっぱり、真剣に対応していこう、改善しよう、再発しないようにしよう、と考えていないのでしょう。現場は大変でしょうが、やはりトップは本音では、あまり真摯に対応していないのかもしれません。内心を云々するつもりはありませんが、会社全体に伝わるようでないと、本当の意味で「組織体として改善に向けた真剣な取り組みがあった」とはいえないのでしょう。

(なお、ちょっと私見を追加すれば、食の信頼を害すること、それも立派な違法行為だと考えています。いくら「数値基準」などに違反していなくても。法律を専門としていますが、「形式」にとらわれすぎて、本来達成すべきことが達成できない法律実務のあり方には、個人的には非常なる疑問があります。)

拙い文でいつもすいません。
今年も先生の活躍期待しております。

投稿: 辰のお年ご | 2007年1月12日 (金) 00時20分

こんばんは。

本年もよろしくお願いします。

情報開示とリスク(クライシス)マネジメントの問題は本当に難しいですよね。今回の件の詳細は判りませんが、何でもかんでも公表することが、良いことなのかどうか・・・。この場合、「誰にとって」良いことなのか、をよく見極める必要があるのではないでしょうか。世間とか社会とかのアイマイな言い方をすると、マスメディアがその代表(代弁者)みたいになって、ちょっと違うのではないかな、とも思えます。では、お客様(ユーザー、消費者)? 従業員? 取引先????

もし、ダスキン事件のように、何らの実害もないとしたら、従業員や取引先にとっては、公表による風評被害はとても迷惑千万なこととも言えると思います。

この手の話では、かつてよく引合いに出されたジョンソン&ジョンソンのケース(タイレノールでしたでしょうか)が思い出されますが、前提としては、徹底的な原因究明と再発防止策(被害発生の場合は十分な補償・救済措置も勿論のこと)が求められる筈ですし、そのためにはそれなりの時間が掛かるのも止むを得ないことではないでしょうか。そういう調査に時間が掛かること自体が問題だと言ってしまえばそれまでですが、ごく簡単な調査で判るようなことならそもそも事件も起きなかったとも言える訳です。

該社を擁護したい気持ちがある訳ではありませんが、それにしても、この蜂の巣を突付いたような報道(+ネット上の書込み)は一体なんだろうか、という感じもします。

投稿: 監査役サポーター | 2007年1月12日 (金) 00時42分

第2弾のエントリーがアップされていますので、いまさらという気もしますが、一言だけ書かせていただきました。

私は、この問題は、公表すべき事案であり、むしろ遅きに失したと判断すべきあると考えています。それは、結果論ではありません(結果論で考えた場合は、シュークリームで具体的な健康被害が出たという情報は少なくとも現時点では、私の認識する限り出ていませんので、結果だけ見ればセーフということになるはずです)。

コンプライアンス論については、先生のブログでも何度も論じられておりますが、「コンプライアンスは、社会からの要請、社会からの信頼に応えるべく真摯な対応をすること」という捉え方が、最近では徐々に企業にも浸透しつつあります。この観点からいえば、先生もご指摘の通り、
>企業コンプライアンス的な発想からすると、マスコミから騒がれることが企業の社会的評価をオトシメルことになる以上は、その時代の風潮にしたがって法的には公表する必要はなくても回収、公表することが大事だ、ということになるのでしょうか。(でも、マスコミの考え方が企業倫理的に正しい、とはかならずしも言えないはずですよね。東京新聞あたりのニュースでは、「食品衛生法違反の可能性も浮上している」と報道されていましたが。)
ということになるかと思います。

一方で、いちいち社内規程違反まで公表していたらきりが無い、問題も発生していないし、公表すると業績が落ちるという論理で、公表したく無いという企業の心情的な部分は、実際に多くの企業と接していると、いわゆる「企業側の論理」としては理解できるところです。

しかし、本件については、辰のお年ごさんも指摘されていますように、
私も、
>食の信頼を害すること、それも立派な違法行為だと考えています。いくら「数値基準」などに違反していなくても。
と考えます。何を持って違法というか(民事的に考えるのか、刑事的に考えるのか)という問題は置いておいて、企業のコンプライアンスの観点からは、明らかに公表すべき事案」に分類できると考えています。
それは、以下のような理由によります。

・コンプライアンスは、コンプライアンスは、社会からの要請、社会からの信頼に応えるべく真摯な対応をすることです。
・なぜ、社会的な要請、社会からの信頼に応えなければいけないのかというと、それは、松下幸之助氏ではありませんが、会社は「社会の公器」だからです。法的に考えても、法人実在説を採る以上、社会的な実態として、社会の多くの局面において、様々な影響力を持つことから法人が認められるということになるはずです。
・とすれば、裏を返せば、企業は、「社会からの要請、社会からの信頼に背かないよう、誠実に対処すべき」「信義則上の義務」を負っていると考えることが出来ます。これは、見方を変えれば、CSRと通じる部分であり(私は、この企業の信義則上の義務が、CSRの思想の一部にはあると考えています)ます。
・そして、、「社会からの要請、社会からの信頼に背かないよう、誠実に対処すべき」「信義則上の義務」を別の言葉で言い表せば、「社会的使命」となりますので、コンプライアンスとは、企業が自らの社会的使命を踏まえて真摯な行動を取ることと言い換えることが出来るかと思います。
・それでは、不二家の社会的使命は何かというと、個々具体的なものは社是や経営理念を見なければ分かりませんが、少なくとも、食品メーカーである以上、「安全な食品を社会に提供すること」が究極的な社会的使命になると思います。
・とすれば、先生が指摘されているように、そもそも「消費期限」の意味合いの問題はあるかと思いますが、「安全な食品を社会に提供する」前提として、「消費期限」の切れたものは、安全性に疑いがある場合もある以上使わないという行動を取るべきということになるかと思います。
・今回の場合、単なる社内規程に違反したと捕らえるべきではなく、食品会社として絶対に守るべき社内「規範」に違反した(憲法で言う根本規範というぐらいの重みがあるもの)と考えるべきであり、だからこそ速やかに公表し、謝罪すべきだと考えるのです。

一社内規程に違反したから公表すべきなのではなく、食品メーカーがよって立つべき社会的使命を具現化した社内「規範」に違反したからこそ公表すべきなのです。
規程と規範を使い分ける事には賛否両論あるかと思います。ただ、一社内規程違反は現実問題としてどこの企業でもありうることで、社会や消費者はとしてはそんなことはあまり気にしないと思いますが、規範の部分、逆に言うとここでは食品メーカーとしてあるべき姿にいはんすることは、それこそその会社の存在基盤(信用)に関わるもので、社会や消費者からの目も厳しくなるというのが、現実の姿ではないかと思う次第です。(先日、先生も参加された桐蔭横浜大学の郷原教授の講演会で、コンプライアンスの説明の仕方について、単に「社会的要請、社会的要請に応えるべく行動する」というより、「社会的使命を認識して、社会的に要請される真摯な行動を取ること」としたほうがいいのではないかと質問したところ、そういう倫理的な物を持ち込むのはどうかと思う、説明の仕方としては同じではないか、と一蹴されましたが・・・。趣旨が伝わらなくて、自分の説明のしかたが悪かったのかも知れませんが。)


それでは公表することが得策かということについては、これは企業の問題というより「マスコミ」の姿勢の問題だと思います。コンプラライアンスの意味を本当に考えなければいけないのは、警察とマスコミであると私は考えています。ジャーナリズムを履き違えて、公衆の代表であるという思想を元に、企業として正しい行動をしても、徹底的に批判し、次から次へと根堀り葉堀り、枝葉末節を掘り起こす。これが今のマスコミです。聖人君士気取りもいいところで、もう少し良識を持つべきでしょう。(もちろん、辰のお年ごさんのいう、企業側の真摯な謝罪の姿勢があることが前提ですが)

確かに公表が遅れたのは事実でしょうが、自ら営業停止に踏み切ったというのは企業としては「さすが」と思わせる対応です。組織が人間により構成される以上、社内には色々なことがあるわけですし、判断ミスもあるわけで、それをいちいち批判して、抹殺しそうなマスコミ、ジャーナリズムのあり方は、それこそ「社会的ないじめ」であるというべきでしょう。彼らに「いじめ」問題を取り上げる資格は全くありません。


最後は、私見に基づく痛烈なマスコミ批判になりましたが、イーホームズのエントリーでも書いたように、ただ批判ばかりでは何も生みません。社会としても情状酌量的な発想が必要であると、マスコミ報道を見て感じる次第です。

長くなりまして、すみません。

投稿: コンプライアンス・プロフェショナル | 2007年1月12日 (金) 10時31分

山口先生
はじめてお便りします。
私は他の方のように立派な意見ではありませんが
やはり公表はすべきだと感じました。
ここ2日ほどの報道をみておりますと、もし即座に
社内規定違反の事実を公表しておけば、ほかの
もっと悪質な消費期限切れの事実まで世にさらされる
ことはなかったのではないかと。
マスコミの力はすごいです。
いったん、標的にされると、これほどまでに次から次
へと調査報道をされるわけで。
公表も大事ですが、公表時点におけるマスコミへの
対応自体も別の問題として慎重でなければいけないと
感じました。

どこの企業でも、これくらいのことはあります。
私のところもISO含め、数々の社内検査を厳格に
していますが、品質管理が厳しいほど、違反事例は
あとを絶ちません
だからといって努力を怠るわけにはいかず、今回のこと
よく肝に銘じて課題に取り組もうと思いました

投稿: goo-tajima | 2007年1月12日 (金) 11時01分

>辰のお年ごさん
 本年もよろしくお願いします。
>ちょっと私見を追加すれば、食の信頼を害すること、それも立派な違法行為だと考えています。いくら「数値基準」などに違反していなくても。法律を専門としていますが、「形式」にとらわれすぎて、本来達成すべきことが達成できない法律実務のあり方には、個人的には非常なる疑問があります。

 この部分が辰のお年ごさんらしいと思いました
 私も他の法律問題についても、こういった視点で堂々と主張してみたいところであります。
 きょうの読売新聞などでは、決別宣言後の大手ゼネコンの談合について一面で取り上げられていました。謝罪してもなくならない不祥事について、独禁法とコンプライアンスの問題を今年はとりあげてみたいと思います。

>監査役サポーターさん

 今年もよろしくお願いいたします。
 以前、耐震偽装事件のイーホームズに関するエントリーのときにも、私は少数派でした。
 私の真意は、単純に非難の対象となっている企業を擁護するものではなくて、非難するときにも、努力をしていた点を評価したり、不可抗力の部分があれば非難の対象から除外したり、客観的な非難の根拠をさがしたりしなければ、不祥事防止策としてのコンプライアンス研究には役立たないと考えたからであります。
 この不二家の事件、パロマ以上にいろいろと示唆に富んだ事例であるように思えますので、また続編を書きたいと思っております。またご教示ください。

>コンプライアンス・プロフェッショナルさん

 本年もどうかよろしくお願いいたします。
 また、実際に企業のコンプラ構築を業とされているコンプロさんらしい見解、ありがとうございます。
 イーホームズのときも、いろいろと議論させていただきました。
 そういえば、郷原教授の「マスコミとコンプライアンス」に関する自論、ずいぶんとおもしろくて、有益な意見でしたよね。
 コンプロさんの意見を拝読して、ふと思い出してしまいました。

>tajimaさん
 はじめまして、コメントありがとうございました。
 コメント中に、また新たな論点がありそうなんで、tajimaさんの意見をもとにまた続編を書かせていただきます。
 今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: toshi | 2007年1月13日 (土) 02時11分

>山口先生

お返事をどうもすみません。
今朝あたりのニュースだと、スーパーでも
不二家商品を撤収したところが出ているとのこと。
株価が落ちるといったどころの騒ぎでは
収まらなくなってきたようで、ことの重大さを
あらためて思い知りました
私の意見のどこに論点があるのかはわからないので
すが、今後もときどき書き込ませていただきます

それにしても、ダスキンの「もちもち」の異物混入
への対応はさすがに早いですね
このダスキンの対応が今後の標準形だとすれば
本当に食品会社は変わると思います。

投稿: goo-tajima | 2007年1月13日 (土) 09時14分

ホントに、D社の対応の素早さは驚くばかりです。が、そのこと(特に「公表」について)の適否・是非の判断はもう少し今後の推移を見守る必要があるような気がします。

時間的な先後関係が定かではないのですが、3件のクレームのうち2件は、F社の一件の報道に触発されたものである可能性は容易に推測されるところです(これを過剰反応だとは、邪推する材料さえありません)。そうだとしても、そういう推測を根拠に事態を過小評価することなく、一定の措置に踏み切ったD社の姿勢はやはり立派だと評価すべきなのでしょうか?

そしてやはりタイミングの問題です。レピュテーションの観点から、F社「ストーム」の陰で「ブリーズ」に終わらせたい気持ち(期待)はないのかどうか・・・?。
 
何よりなぜこうも異物混入が頻発するのでしょうか? 食を提供する事業者として、これはあってはならないことと考えているのでしょうか、それとも確率・可能性の問題としてゼロにすることは出来ないかもしれないが、限りなくゼロにすべく不断の努力を続ける、そしてほんの少しでも実例が発生すれば公表する(かつ一定の措置を取る)、という考えなのでしょうか?

事業者も行政もそういう姿勢が求められるのだろうし、報道もそういう掘下げ(単なる糾弾調ではなく)をして欲しいものです。

投稿: 監査役サポーター | 2007年1月13日 (土) 11時50分

不二家のホームページの開示情報がすべてシャットアウトされてしまって、「お詫び」しか閲覧できなくなっていることが、ずいぶんと大きな話題になっていますね。上場企業ですから、消費者への「お詫び」とは別に、企業情報も提供する必要がありますので(証券取引所のHPとは別に、やはり自社HPでの開示も必要ではないかと思います)、これはあまり適切な処置とはいえないように思われます。

投稿: toshi | 2007年1月14日 (日) 11時33分

不二家のホームページについては、私も全く同感です。

Webは、IR Toolであり、企業の広告宣伝の重要な手段であると思いますが、すべてシャットアウトしてしまうと、顧客離れに追い打ちをかけ、フランチャイズ店にも逃げられてしまう危険が高いと恐れます。

11月の事実の判明時の対応に反省点があるが、今ホームページについても対応を誤ると大変なことになりかねないと思ってしまいます。

投稿: 売れない経営コンサルタント | 2007年1月14日 (日) 12時50分

山口さん、貴方のような弁護士がいて本当に安心しました。ある教授の講演で、TVのトーク番組に出演した時全体を包むある雰囲気があり、誰に頼まれた訳でもないのに自分の本当の気持とは別に雰囲気に合わせるような意見を言ってしまった。次の出演依頼や視聴者受けつまり自己保身作用が先行したとの事。貴方はこれからも堂々と言論を発して下さい。メディアはマスコミファッショと呼びたい位の思想言論統制志向と粛清力で視聴者を誤った方向へ誘導しつつあると思います。只貴方の認識で一つだけ不明なのは、消費期限切れの牛乳を原料に使用したのは法律的に禁止されていないから良いと考えているのか、もっと発展させて加熱等で加工し少なくとも細菌的には原料段階より減少しているものだから生飲するための消費期限とは別の期限が必要と考えているのかです。小さな事ですがこの点の周知が非常に重要と考えます。又、業種により意味は違ってくるでしょうが一般に社内規定を法律より厳しくするのは高い基準を設ける事により適法製品率を高めるためであり、社内基準外製品が即出荷停止とはならないしましてや公表など。特に自給率40%の食品に対し我々消費者は過剰な要求をしてはいけないと思います。世界で何人の人が飢えているかを思うと。

投稿: ハイド | 2007年2月 2日 (金) 23時58分

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