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2007年2月23日 (金)

IXI社の粉飾決算疑惑

ろじゃあさんがフォローされているアイ・エックス・アイ社(民事再生中)の粉飾決算のお話でありますが、これは私が関係会社に近い立場におりますので、詳細はお話できませんが、一般論としてひとことだけ付言させていただきます。

朝日新聞ニュースが詳しく報道されておられますが、この事件を全体的に考えますと、架空循環取引(宇宙遊泳よりももっとすごいかも。モノがそもそも存在したのかどうかすら不明)から脱退声明を出す「勇気のある企業」の存在もさることながら、「これはおかしいのではないか」と声を上げた監査法人の存在も特筆すべきだと思います。(これは、たとえば・・・のお話ですが)協力企業間の決算期のズレを利用して、納品、買戻しを繰り返している実態を監査法人間で積極的に協力して解明したり、エンドユーザーに対して、納品の確認を求めて、モノの存在を検証したりと、監査法人が徹底した「独立第三者」ぶりを発揮したことで、(にっちもさっちもいかなくなった循環取引参加企業のひとつにおきまして)問題が表面化したものでありまして、監査法人の「あるべき姿」が垣間見えた特徴的な事例であります。なお、ここでいう「あるべき姿」といいますのは、なにも刑事事件の捜査活動をする、という意味ではなく、内部管理体制に裏付けられたお金の流れが明確にならないかぎりは「適正意見」を出さないといった断固たる対応のことを意味しております。たしかに、監査法人がこれまでの架空循環取引の継続を「見抜けなかったのか」と非難することは簡単かもしれませんし、途中で監査法人が交替していることから、なにか特別な事情もあったのかもしれませんが、時代が変わり、みすず監査法人さんが解体移管、というところまで来てしまった現在、「監査法人が(守秘義務に悩みつつも)その気になれば、公開企業も変われる」ことを実務において示した貴重なケースではないか、と思います。(ただ、監査法人さんが事の重大性を指摘してもなお、「バレなければいいのでは?」と呑気なことをおっしゃる役員さんがいらっしゃいますと、これも困り者であるわけですが。。。)以前「粉飾の論理」という新刊をご紹介させていただきましたが、このケースにつきましても、あと何年か先に事件が落ち着いてから、どこかの記者さんが、その一部始終をドキュメントとして公表することには大きな意義があると考えております。(もちろん、私は守秘義務がございますので、お話はできませんが)

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コメント

TBさせていただきました。ろじゃあです。
この一件は、会計の枠組み発で、ある複数の分野のビジネスモデルといわれるものを陳腐化させることになったのだろうとは思うのですが(^^;)、一般論としての商取引における信用仲介の機能まで薬が効きすぎるのかどうかが、今のろじゃあからすると気になるところです。
とはいえ・・・金融法務に続き、商社法務とかいわれた分野の一部も変容を余儀なくされてきているんだろうかなあ・・・とかしみじみと思う反面、実はそういうもののかつての伝統的な商慣行というか「しきたり」みたいなものの理解に欠ける(というか無思慮な?)当事者によりまったく違った目的で、実務から形成されてきた何らかの意味ある枠組みが「濫用される」という形で蹂躙されているのではとも思うのですね。
それへの対応として、抗生物質で善玉菌まで殺してしまうような枠組みが形成されなように配慮することも重要だと思うんですけどねえ。
ところが・・・(以下自己規制(^^;))。
う~ん、守秘義務かぁ・・・ちょこっと別件で相談があったんですけどねえ(^^;)。
引き続きよろしく。

投稿: ろじゃあ | 2007年2月23日 (金) 04時29分

>ろじゃあさん

あまり詳細なお話ができず、舌足らずのエントリーになってしまいまして、どうもすいません。
ろじゃあさんが気にされているところは、まさにご指摘のとおりです。
外から「商慣習を知らない」第三者がやってきて、いままでの慣行に異議を述べる、コンプライアンス的には望ましいと思いますが、その分、情報の円滑な伝達などの長所は減殺される、という図式があると思われます。商社の一部の方は、いまでも(もちろん表立ってではありませんが)信用供与に関する有効性について述べる方もいらっしゃいますね。いっぽう、ベンチャー企業など、それほど大きくない上場企業におきまして、(本来機能すべき)内部監査や監査役制度というものが、今後どこまで機能するのか、どうしたら機能するのか、そういったことを関西のほうでは研究会を立ち上げて検討を開始しているところです。

投稿: toshi | 2007年2月23日 (金) 11時11分

今回の件で、周辺に位置する関係者として一言。

ろじゃあさんは、何らかの意味ある枠組みが蹂躙されることを懸念されておられるようですが、架空循環取引に、そうした意味ある枠組みがあるとはとても思えません。あるとすれば、見かけ上、売上を増強するための相互扶助組織のようなもので、収益と結びつかない売上が何の意味もなさなくなっている今日では、前世の遺物と言っても差し支えありません。IT会計の見直しが進められ、スルー取引が今年の4月から禁止されようとしている今日でも、なおかつこうした取引が横行していることに義憤を感じます。

投稿: 酔狂 | 2007年2月23日 (金) 11時29分

酔狂さんへ
コメントありがとうございます。
toshiさんも商社の方のお話を引き合いに出して触れておられるように、ろじゃあが伝統的枠組みといっているのは、今回のような売上高をかさ上げするような今回のような取引ではなく、昔だと商社が担っていたような商社金融的な取引のことです。
昔だと「つけ取引」とか言う範疇で論じられてた取引のうちの「善良な」部分のことなのですが(表現がむずかしいなあ)、これはこれで商社の金融機能としてビジネスの分野では結構商慣習としては一定の評価を得ていたのではないかと思います。
どちらかというとまだ手形の機能があったころのお話と言えばお話なんですけどね。
これが手形レスの流れの中で金融面でちょい変化(というか銀行から見ると進化かもしれないですが)したのが一括決済システムかなあとろじゃあは勝手に思ってるんですけど、これらの取引を行うには審査部門と債権管理部門がそれこそ専門的に充実していなければならないのですが、今回の一連の取引を色々と調べていきますと、一連の取引の中の特定の主体は、どうもこの手のかつての担い手とは違う目的で、酔狂さんがおっしゃるように売上高だけを膨らませることをもっぱらの目的として取引が行われていた感じがするのですね。
その辺の違和感を表現したつもりだったので、架空循環取引自体に何らかの意味があるという意味で懸念を示しているわけではございませんのでその辺はご理解いただければと。
まあ、その辺をご理解いただいたうえでろじゃあの一連のエントリーもお読みいただけると幸甚でございます、はい。
(別エントリーでこの件は書こうと思ってたんですが、まあ行きがかり上の流れということでtoshiさん、お許しくださいませ)

投稿: ろじゃあ | 2007年2月23日 (金) 12時10分

前のコメントを見直したら「つけ取引」になってますね。
すいません、「つけ売買」の誤りです。
訂正させてくださいませ m(_ _)m

投稿: ろじゃあ | 2007年2月23日 (金) 12時16分

ろじゃあさん、有難うございます。

早とちりをして、申し訳ありませんでした。今回の架空循環取引と、商社の金融機能とには、雲泥の差があるように感じます。

ところで、toshiさん、ベンチャー企業に内部統制や監査役制度がどこまで機能するのかと言うテーマは、私にも大変関心があります。出来ましたら、これから、情報の一端でもご披露いただければと思います。宜しくお願いします。

投稿: 酔狂 | 2007年2月23日 (金) 12時30分

山口弁護士さま
先日は不躾なコメントで申し訳ありませんでした。
酔狂さんの申されていることに賛同いたします。
信用供与的な架空取引は、もはや長所でもなんでもなく、
過去の遺物そのものであります。
ただ、その精算をどうするかによって、新たな粉飾を
生み出す原因になりうるわけでありまして、ソフト
ランディングに苦慮することになるのではないでしょうか。
報道では「不正会計」とか「粉飾決算」とかいわれますが
クロかシロかという問題ではなくて、実際には
価値判断の部分が多いと思いますし、監査法人さんも
同じような意識ではないでしょうか。
同じ会計処理をみても、ある人は粉飾といい、ある人は
会計基準に基づくという価値判断もあるのではないでしょうか。
とくに最近のエスティメーション重視の会計においては。

こういった架空取引が社内で明るみになった場合、
ほかの企業さんではどういった対応をとられるのでしょうか。
セクションでは、ほとんど当たり前の慣行だったりする
わけですが。
こういった話題は非常に興味があります。
私は関西ではありませんが、山口弁護士さんがいわれる「研究会」
というものも関心があります。

投稿: 久々宮 | 2007年2月23日 (金) 12時41分

アイ・エックス・アイ社の粉飾決算について一言述べさせていただくと、従業員数が連結ベースで130人で変化がないにも拘わらず、売上が毎年倍々増となってきていた。私が、1月24日に自分のブログhttp://aruconsultant.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/ixi_d2a7.htmlで書いたグラフを見ていただけると、その伸びが解りますが、やはり異常に感じます。(粉飾があるのではないかと)

異常な好成績については、疑いを持つことも重要だと思います。それと、結局コンピューターソフトウェアというのは、中身がなくても分らない。悪意があれば人をだませる品物であり価値評価も困難だからビジネスとして評価する場合は、ゼロと評価することが安全と感じます。でも、架空循環取引の最後はババ抜きゲームと同じで誰かが潰れて終わる(それ以外に幕切れの方法が困難な)取引と感じます。

投稿: ある経営コンサルタント | 2007年2月23日 (金) 23時52分

旧中央青山監査法人の監査関与先の粉飾決算が相次いでいますが、
どう考えたら良いのでしょうか?

投稿: 法事茶 | 2007年2月24日 (土) 00時23分

ろじゃあさんが問題点をかなり詳細に整理されたようですので(詳しくは「法務の国ろじゃあ」のブログまで)、論点はそちらで確認されたほうがいいみたいですね。ちなみに、私が少し関与している会社名もちょっとそちらには出ておりますので、これ以上のコメントは差し控えさせていただきますね。m(_ _;)m

たとえIPO時において、オーナー社長の保有株数が多いといいましても、やはり他人資本を投下する以上はガバナンスへの意識を向上させる必要があると思いまして、公開準備企業への内部監査、監査役制度の充実、開示統制のあり方などを支援する実務的な方策を研究している会合であります>酔狂さん
単に理想論ではなく、リスク管理の具体的な方法を採り入れてみようと思っております。また、ときどきエントリーのなかでも、成功例や失敗例などを紹介していきたいと思っております。

>久々宮さん
いえいえ、まじめな正論であると思います。粉飾決算と会計基準への考え方の相違との関係については、まさにおっしゃるとおり、かなり境界があいまいではないかと思いますね。おそらくどこかに「ここから先は粉飾である」といった価値判断があると私も思います。そういった価値判断はどこから来るのか、一度エントリーで考えてみたいですね。
また、よろしかったらご意見、お待ちしております。

>経営コンサルタントさん
いつもコメントありがとうございます。
ソフト商品といえば、収益認識時期をどう考えるか、ということも会計処理のうえで重要といわれていますね。(これは会計基準についてたしか公表されているかと思います)架空循環取引の道具として用いられますと、経営コンサルタントさんのおっしゃるような問題も発生するそれがありそうですね。ごく一部の社員による架空取引だったのか、それともトップ主導の粉飾のための取引だったのか、このあたりも、いろいろと問題になるかもしれません。

投稿: toshi | 2007年2月24日 (土) 01時49分

>法事茶さん
三洋電機の1900億円に上る粉飾決算疑惑も浮上しており、これも旧中央青山さんですよね。どうして続いてしまうのでしょうかね。ここまで続きますと、単に解散移管で問題を収束させるのではなく、また以前金融庁による行政処分で問題となりました「パートナーレビューのあり方」等とは別に、更なる原因究明の必要性も出てくるのではないでしょうかね。

投稿: toshi | 2007年2月24日 (土) 01時59分

>法事茶さん
>toshiさん
今回の事態について皆さん、危機管理の発想ってどの程度あるのかろじゃあは危惧してました。
会計監査についての担い手のキャパが有限であるところに一時期にボトルネックが生じる事態が出てきているわけで、会計士の先生方のミクロベースの負荷の問題とサービス提供主体の総量についてのマクロ的な需給関係のアンバランスが生じかねないところに皆さん決算と総会のヤマ場を迎えてしまってるわけで。
いくら自分のところが法令順守していて体制整備していても取引先とか取引先グループのグループ企業でことが起きると玉突きがどうしても出てきてしまうわけですよね。
この辺のことまで視野に入れておかないと監査法人の先生方だってキャパと時間の制約(というか期限の問題)で、一部、お手上げの部分って出てくる場合がありはしないかと・・・。
政策ベースのバランスを大局から考えてもらわないといけないところもあるんじゃないかと思い、少し論点整理を始めたところがあるったりするのですね(^^;)。
まあ、例によって余計なお世話の老婆心で、既に手当てはされておられるのでしょうが。

投稿: ろじゃあ | 2007年2月24日 (土) 02時30分

>ろじゃあさん

TBありがとうございました。
本件につきましては、あまり詳細に述べることは差し控えますが、ごく一部の方は、相当以前から(つまり、ろじゃあさんはお気づきですが、例の東洋経済社によるレポートよりもずっと以前から)「危機」を感じておられたことは事実です。しかしながら、それを「危機」として受け入れることができるかどうか、といったところがその企業の「管理能力」ではないでしょうか。循環架空取引には、中小の新興上場企業や未公開の企業などもからんでくるわけでありますが(これは一般論として)、そういった企業の役員クラスのなかにも、経理に詳しい役員さんや、営業担当役員さんもおられるわけですし、また社外監査役なども薄々感じるわけです。「これはヤバイ」と。しかしながら、そのことを役員会で指摘しても、それをどれだけ「危ない」ことと共有認識として対応できるかどうか、意外に思われるかもしれませんが、そのあたりが「関係企業の民事再生」などといった「お尻に火がついた」状態にならなければわからないのが現実のようであります。

投稿: toshi | 2007年2月28日 (水) 23時29分

toshiさんへ
御意(^^;)。
その辺の含みも込めて今後いろいろ書いていこうかと思ってます(実は組織論としての一般論についてはもう以前から遠まわしには書いてきた部分もあるのですが)。

投稿: ろじゃあ | 2007年3月 1日 (木) 14時05分

いつもは、名前を名乗っているので、分かる方は、分かるとおもいますが、今回は、匿名的にさせていただきます。
なぜなら、サイバーファームが関係しているということで、この会社には、知り合いが働いているので、そうさせていただきました。アイ・エックス・アイ社については、あまり良くは知らないのですが、このサイバーという会社・・・・・です。あまり深くかかわらない方が良い事件だと思いますが、Toshi先生は、そういうわけにはいかない立場なんでしょうね?くれぐれも気をつけて下さい。

投稿: 官僚嫌い | 2007年3月 5日 (月) 10時44分

>官僚嫌いさん

了解いたしました。
本日も朝日放送さんより、この件でニュースへの出演依頼がございましたが、守秘義務の関係からお断りさせていただきました。(まったく無関係でしたら、ホイホイ出ていたかも・・・・(^^;))

投稿: toshi | 2007年3月 6日 (火) 02時42分

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