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2007年5月25日 (金)

委任状勧誘と議決権行使の助言

以前からたいへん尊敬申し上げておりました、ある企業の部長さんと夕食をご一緒させていただき、私の「ある事業」に関するご相談にのっていただきましたが、つくづく弁護士という仕事しかしたことのない人間にとってはビジネスはムズカシイものと思い知らされました。弁護士会への根回し(事前相談)といったあたりはなんとか大丈夫なんですが、マーケティングのセンスもありませんし、事業計画の中身も曖昧だし、組織の動かし方も不徹底・・・、そもそも今までは誰かがレールを敷いてくれて、そのうえで私は踊っていればよかったのでありますが、自分でレールを敷いたことがなかったもので、どうやってレールを敷けばいいのかわからないのであります。ホンマ、会社を経営しておられるオッサン方がみんな尊敬できるように思えてきました。(^^;;

さて、いつも拝読させていただいております先生方のブログは東証と大証の「上場廃止」ネタで満載でありまして、いろいろと勉強になりますが、そんななかでアデランス社の提案していた敵対的買収防衛策が総会における賛成多数で承認された件につきましては、あまりブログでは採り上げられていないようであります。スティール反対、ISS賛成、グラスルイス反対、日本プロクシーガバナンス賛成などなど、大株主や大手議決権行使助言会社の意見が分かれるなか、過半数を占める外国人株主の意向が注目される総会だったのではないかと関心を抱いていたのでありますが、どなたか詳しい解説をされているブログがございましたら、お教えいただけますと幸いです。

ところで、楽天とTBSの委任状争奪でも少し話題になっておりますが、この「委任状争奪戦」(ここでは議決権行使書への賛否呼びかけ事例も含む)につきましても、いろいろと考えてみますとツッコミどころがある論点のように思われます。事実関係はよく承知しておりませんが、たとえばISSがアデランス社に対して「賛同に値するようなガバナンス」を有償で指導した後に、委任状勧誘事例や議決権行使呼びかけ事例で、議決権行使助言を受託している機関投資家や、一般株主に対してアデランス社側への賛同を呼びかける・・・といった場合、(注 これはたとえば・・・ということですんで、実際にどうであったのか、という点につきましては、私は存じ上げませんが)けっしてISSは中立の立場とはいえないですよね。こういった議決権行使助言会社のご商売について、とくに法律上の問題は発生しないとしましても、委任状勧誘に関する内閣府令の規制対象に、誰のどこまでの行為が含まれるのか、という問題が残るのではないでしょうか。ちょっと勉強不足なものですから、また継続的に検討してみたいと思いますが、とりあえず問題点だけ備忘録程度に記載しておきます。(またお詳しい方、考え方のヒントなどご紹介いただけますでしょうか)

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コメント

山口先生、おはようございます。いつも拝見しています。
ISSの中立性への疑問については、NBオンラインの岩瀬大輔氏のエッセイに参考になる情報が含まれております。(ただ、こういった問題点はすでに1998年ころから、論点になっておりまして、平成15年の規則改正のころにも議論されたことがあります)

アデランスの防衛策については議決権ベースで54.7%の賛成を得て承認されたようです。外国人株主の比率が54.8%(スティール株を含みます)ですから、山口先生がおっしゃるとおり、助言会社の呼びかけが決議に大きな影響を与えていることは事実だと思います。また、これによって今後も助言会社の商売は興隆するのではないでしょうか。(個人株主にとっては、否決されたほうが高値で売り抜けられるわけですが。)

投稿: 太平 | 2007年5月25日 (金) 09時29分

太平さんもISSのコンフリクトについて書かれていますが、ISSはかつてはなんとウ
オーバーグ・ピンカスの投資先であり、その当時HPとデルコンピュータの合併に賛成
を推奨していたいきさつがあります。

とはいっても、機関投資家の「ご意見番」で、影響力がある事実が変わるわけでもな
いですが。

そういったM&Aが盛んになると儲かるビジネスモデルが大株主であったバックグラウ
ンドを考慮して各企業は対策を立てる必要性があることに留意するべきだと思います
(商事法務のインタビュー記事でもISSは「来るもの拒まず」の姿勢ですね。グラス
ルイスは潔癖を主張していますね。1795号にISS、1796号にグラスルイスにインタ
ビューした記事があります)。
こちらのサイトも御参考。
http://www.daiwair.co.jp/topics-old.cgi?filename=20050729&num=283

こういったことから潔癖を求める動きがグラスルイスですが、こちらも中国系の会社
が買収し、幹部の流失が続いております。

http://www.nytimes.com/2004/12/19/business/yourmoney/19glass.html?ei=5090&en
=5ad1a2ae704e43a4&ex=1261198800&adxnnl=1&partner=rssuserland&adxnnlx=1180066
235-9m8OpULqhs3icvfr9B7wiw


http://dealbook.blogs.nytimes.com/2007/05/22/senior-executives-quit-proxy-fi
rm/

(NYTの記事はすこしアクセスがよくないと思いますが)

ただし、商事法務の記事を読む限りでは、両社ともあらかじめ決めたルールに沿っ
た、防衛策であれば、賛成を推奨するようですね。

社外取締役や独立委員会の委員の「独立性」について両社とも潔癖のようです。日本
ではメインバンクや取引先の会長が社外取締役に就任するケースが多いですが、これ
に反対しているようです。
アデランスはこのポイントでは法律家・会計家で固めたようですね。

自らの独立性については脇が甘く、他人の独立性にとやかく言うのはいかがかと思い
ますが、政治家にしろ経済人にしろ潔癖な独立性のある存在はないですね。司法の世
界ぐらいでしょうか。

したがって私はマスコミにISSやグラスルイスのよい情報も悪い情報も流してもらっ
て、世間の方がきちんと彼らの存在を認識できるよう「インフォームド」してもらい
たいと思っています。

投稿: katsu | 2007年5月26日 (土) 00時14分

委任状勧誘府令では「勧誘」の定義も「交付」の定義もないそうですね。ビジネス法務の7月号で、いちごアセットの委任状合戦でいちご側代理人を務めた寺田弁護士のインタビュー記事が掲載されておりますが、前例のあまりないなかでの奮戦ぶりが印象的です。ISS問題とは少しはなれますがご参考になるかと思いますよ。

投稿: 荒尾 | 2007年5月26日 (土) 02時21分

皆様、お返事が遅れましてすいませんでした。
このエントリーにつきましては、いまだ勉強不足のために、有益なお返事を返すだけのストックがございません。ただ、ご意見はいろいろと今後の本格的なエントリー(今回は本文中に記載しましたとおり、備忘録程度)を書かせていただく際の参考にさせていただきます。
なお、荒尾さんがご紹介くださったビジネス法務7月号のインタビュー記事、日曜日に読んでみました。なかなか面白いですね。委任状勧誘のことだけでなく、取締役らに対して敵対的な株主が総会に望む際の詳細な準備事項などについても参考となるところが多かったように思います。

投稿: toshi | 2007年5月28日 (月) 01時01分

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