内部統制を語る人との出会い(その2)
さて、先月のまるちゃんこと丸山満彦さんに続き、今月も「内部統制を語る」ブロガーとして、行方(なめかた)洋一弁護士と本日(6月8日)お会いしました。昨日、行方先生は大阪で金融財政事情研究会主催のセミナー講演をされたそうですが、そのまま大阪に滞在され、夕方より食事をご一緒させていただきました。(第一印象・・・年齢よりも「見た目」かなり若いですね。。しかし、この「きんざい」さんのセミナー予定を見て驚きましたが、行方先生は、文字通り北海道から沖縄まで、全国ツアーの真っ最中だったんですね。どうもご苦労さまです。)
任期付公務員(金融検査官)を経験されても、元の事務所に戻ってくると、また普通の弁護士としての職務に忙殺されてしまい、なかなか経験を生かす機会がない・・・とは、よく聞く感想でありますが、この行方先生の場合には、(メリルリンチでの経験も含めて)ご自身の経験をそのまま専門性の高い業務(金融機関の内部統制コンサル)に生かそうと努力されているところにたいへん関心を持ちました。(うーーーん、私もあと10才若かったら、そういった経験を積みたかったんですけど、かなりうらやましいですね)金融機関も、そして監督する行政庁も、まだまだ縦割りに近い組織運営が残っていると思いますので、こういった外部第三者的な人間が、横串を刺すように問題を提起することはかなり貴重かもしれません。内部からみてきた矛盾点などを認識しているからこそ、そういった問題提起が金融機関等に受容されるんじゃないかと思います。たとえば、金融機関に限られるものではありませんが、公認コンプライアンス・オフィサーといった資格があるわけですけど、一般事業会社におきましても、こういった縦割り組織の活性化を自由な発想で考える立場とか、そういった資格者がいれば向いている分野かもしれません。(このあたりはまた別エントリーで考えてみたいところでありますが)
行方先生は、まるちゃんのように「濃いーぃ」方ではいらっしゃいませんでしたが、予想以上に「外向き」ですね。宴席の途中で、若い仲居さんが「おだし」をすこしこぼしちゃったんですけど、女将さんといっしょに平身低頭謝る仲居さんに対しても、おもしろい話を持ちかけて、雰囲気を和らげて、すぐに仲居さんと仲良くなっちゃうところなんか、さすが「ソフィア出身」(?あんまり関係ないですかね?)などと思わず感心してしまいました。(笑)
3時間半ばかりの短い意見交換ではありましたが、金融機関独特の「内部統制構築上の悩み」も聞けましたし、内部統制システム支援機構の活動なども参考になり、たいへん有意義な時間を過ごさせていただきました。今後の行方先生の活躍にますます期待いたしますし、また東京でも意見交換の時間をいただきたいと思っております。(しかし、うまく帰れたんですかね?)
お知らせ
さて、この「内部統制を語る人との出会い」シリーズ、来月もある方を東京からお招きして、いろいろと意見交換をさせていただこうかと思っておりますが、そろそろお約束どおり、「ビジネス法務の部屋」オフ会をやりたいですね。このブログをご覧の関西人の方々は、おそらく6月いっぱいはお忙しい(って、私もそうですが)と思いますので、7月初旬ころに大阪キタあたりでどうでしょうか?いや、もう少しディープに天満あたりでおいしい韓国料理を食べながら・・・というのもいいかもしれませんね。(あっ、もちろん会費制ね(^^;))また、このブログで広報させていただこうかと思っておりますので、どうか気軽にご参加いただければ・・・と思っております。(最小催行人数は私含めて3人くらいで・・・笑)
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コメント
日本を代表する法律事務所の合併パーティーに行ったら、超一流ホテルの催事場で開催され、正装の美人コンパニオンが山のようにいて驚きました。
来賓は東京大学法学部教授で「日本の知的エリートが集結し、日本の法務レベルが飛躍的に向上して、世界へ・・・」などと挨拶されてました。。。
『痴的エリートの集結か、知的エリートの終結かいな????』
プロは銀座や北新地での宴会や接待が似合います。
田舎の民間人は、そんなとこ行かないし、一生行かずにすみそうです。。。。。
学生時代の法律サークルでは、ブスに冷たく、美人にお世辞を振りまく同級生連中を、うす汚い連中だと感じました。。。。
(平等とは、法律の中しか存在しないのか?)
昔ある新聞記者が「この世の中に戦争と貧困がある間は、俺は風雅の道を行かない!」と述べたそうです。
内部統制を語る人の本質を余すところなく顕現したエントリーを、どうもありがとうございました。。。。。
投稿: プロは銀座・北新地 | 2007年6月 9日 (土) 10時23分
ご意見ありがとうございます。
残念ながら昨日は北新地ではなく、裁判所近くの行きつけの小料理屋でした。この商売(とりわけコンサル業務)は自費で北新地を飲み歩けるほどの収益には結びつきません。むしろ投資といえる出費のほうが多いのではないでしょうか。
ただ、たしかに弁護士団体の会合などではホテルを利用することは多いですね。コンパニオンさんは一切お願いすることはなくなりましたけど。しかし東京と大阪では、やはりスケールが違いますね(^^;;
投稿: toshi | 2007年6月 9日 (土) 11時36分
こんにちは。ご無沙汰しております。(雷雨がすごいですね)
たしか5月ころにオフ会をやりましょう・・・とのお話だったと思いますが、やっと実現しますね。ぜひ参加したいと思いますので、できれば早めに日程を教えてもらえますでしょうか?
あと勝手な希望なのですが、会費制でしたら「土筆んぼう」での宴会などはいかがでしょうか?(私、まだ行ったことがないんです)
投稿: あすくる | 2007年6月 9日 (土) 11時49分
Toshi先生
昨日はありがとうございました。
先生も、また、小料理屋の方々も(朝の連ドラじゃないですけど)「おもてなし」の心で迎えてくださり、有益なお話を、とてもリラックスした雰囲気でお伺いすることができました。
縦割りの弊害もそうですが、現場での運用を念頭に置いたシステム構築ができているか、ということでも、(大)組織における本部と現場の間の課題は、ある意味、行政と業者との関係の縮図ではなかろうか、と最近感じます。
これらのことは、むしろ普通の(?!)弁護士に復帰して、行政と業者の双方から等間隔を置いてから見えてきたことです。その意味で、私みたいな奇異な経験なぞなくとも、多くの弁護士にも、弁護士としての立ち居地と見地から、活躍していただきたい分野だと思っています(確かに、「スケールの大きい」ことは収入面からも無理ですけどね)。
やはり見かけほど若くないのか、実家で、リラックスを超えて単に”どべーっ”としていますf(^^;) ちなみに、こちら(名古屋)もすごい雷雨です。
投稿: なめかた | 2007年6月 9日 (土) 14時33分
いわゆる中小企業に毛の生えたと言った企業で監査に携わっています。内部統制構築以前の愚痴かもしれませんが。
1、経営者が法令遵守というが、監査部長は具体的に「法令等」を条文まで特定できず、経営者も経験的かつ道徳習慣的に秩序維持と認識しており、従って従業員に対して行政の規制が無ければ心底認識させられない。企業の自主性に任せて機能するのは上場会社のごく一部だけで、上場会社全社にトップダウンアプローチ・リスクを自社で認識させるというのは監督機関の責任放棄ではないか。
2、会計士の監査は形式的で会計基準の指導・是正勧告なし。(これでいいのでしょうか、大いに疑問)
3、東証が代表者に宣誓書を出させた後なのにこれだけ内部統制システムの構築にバタバタしていることは、宣誓書が空文であった証拠。
4、企業の自主性を尊重するよりも、各証券取引所で企業内容開示義務を拡大、具体的ガイドラインを提示したほうが、法令遵守・開示内容の適切性を確保できる。
と言った無力感にさいなまれています。場違いな書き込みですが、会計士・弁護士の方々と距離のある企業で内部統制の構築と監査を担当していますと、ダスキン・カネボウ・雪印・加ト吉などの事件は教訓になっていないようです。
投稿: うだつあがらず | 2007年6月 9日 (土) 18時54分
こんにちは、丸山満彦です。本人は春風のように爽やかな気まんまんなのですが、濃いですか。。。
7月のオフ会、是非是非参加させてください。。。
投稿: 丸山満彦 | 2007年6月 9日 (土) 20時14分
うだつあがらずさんのご意見については、とりわけ中小規模の企業さんにとっては共有している問題かと思いますし、こちらも真剣に検討しなければいけないところだと思います。宣誓書の問題については、アメリカではこれがあるからこそ内部統制システムの整備が進んだと言われているようですし、たしかに日本では空文化している(また今後も確認書制度がそうなる可能性はある)といえそうです。財務報告の信頼性を確保するためには、確認書は内部統制報告書制度と同等レベルに重要性があると考えているのですが、あまり開示統制が話題になることはないようです。
このあたりは、これまでもエントリーで少し検討してきたところでありますが、また何度もとりあげていきたいと思います。
丸山さんへ
たしか週末は白浜へお越しだったのではないでしょうか。
また広報させていただきますので、もし日程が合いましたら、大歓迎ですのでご参加いただければ・・・と思っております。
投稿: toshi | 2007年6月11日 (月) 01時43分
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070626AT2C2600G26062007.html
金融庁は26日、新興企業などが上場するジャスダック証券取引所に対して業務改善命令を出す方針を固めた。システム上の事故が起きた場合の備えが徹底していないなど内部管理体制に重大な不備が見られるためで、事態を放置しておけばトラブルが起きた場合に投資家の利益を損なう恐れがあると判断した。今夕にも発表する。
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金融庁は投資家を保護するために、意欲的な行政指導に取り組んでいます。
ところで、日本銀行の公表資料によれば、国内の金融機関が国民から集めた預金の総額は1,000兆円であり、一方貸し出しに回っているのは448兆円です。
金融庁の説明によれば、銀行が資本市場で投資の主な出し手となると、銀行が損をしたときに国民経済に与える影響が大きいという問題があります(レバレッジ=てこ効果)。これを避けるために、家計が貯蓄から投資へ動くことが必要だと述べています。
これは、投資の損を金融機関ではなく、個々の家計で負担せよということです。この論理が投資家保護とどのような関係にあるのでしょうか?
なお、投資の専門家である機関投資家の方が、一般人よりリスク回避の能力に優れていると考えるのが、常識です。
http://www.jsri.or.jp/web/lecture/sijou/index.html
「バーゼルⅡと証券市場」をお読み下さい。
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さらに、日本国内で500兆円も資金があまっている=国内の投資機会がない事実を国民へ説明することなく、「貯蓄から投資」や「国際金融市場の創設」を政策に掲げることの合理性も検証する必要があります。
投稿: 投資家の保護 | 2007年6月26日 (火) 16時15分
証取委「情報の流布」で初告発 ネット上で「株価上がる」
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/nation/CO2007062801000643.html
大証2部上場の「川上塗料」株の株価操縦事件で証券取引等監視委員会は28日、ネット上に「来週以降、川上塗料の株価が上がる」などと書き込み、株価操縦情報を流したとして証券取引法違反(情報の流布)の疑いで東京都の無職中前祐輔被告(53)=同法違反罪で起訴=をさいたま地検に告発した。「風説の流布」として告発した例はあるが、株価操縦の情報の流布で告発したのは初めてという。
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証券取引等監視委員会は、コンプライアンス=法令順守をどのように考えておられるのでしょうか?
謙抑性が乏しく、高圧的かつ他罰的な性格の人間が主導している組織に、裁量の幅が広い行政罰を課す権限を与えれば、将来このようなことが頻発するでしょう。
刑法の講義では可罰的違法性という考え方を学びます。刑罰となるような要件に該当しても、法益侵害の程度がわずかなら、国家刑罰権の対象としないはずです。
投稿: ネットで証取法違反 | 2007年6月29日 (金) 12時22分
こんにちは。情報ありがとうございます。
この「情報流布」での告発、かなり興味あります。
この被告発者は6月初めに株価操縦の疑いですでに逮捕されている
共犯者のうちのひとりですね。
このネット上での情報操作のみ・・・ということであればたしかに
違法性の程度に疑問があるのですが、すでに実際の操縦行為があり
ますので、そのあたりとの関係も、もう少し整理してみたいと
思います。
いずれにしても、こういった告発が始まりますと、これが前例と
なって、今後も実効性が高まるとも思いますので、私もある程度
懸念しているところです。
投稿: toshi | 2007年6月29日 (金) 12時58分
ご指摘のとおり、告訴されている人は今月始め頃に相場操縦罪で既に逮捕されているので、本件に関しては余罪の追求になります。
問題は、告訴されている人が相場操縦罪だけで十分に犯罪が成立するのなら、どうしてこのような枝葉末節な行為=微罪を改めて別に告発するのか、ということです。本件をきっかけに(本件での犯罪成立は容易と推測されます)、今後は一般市民のインターネット上の発言や投稿も幅広く犯罪として追求する意図を感じます。
インターネット上の株価掲示板における、信憑性も全くなさそうで、普通の人からはどうでもいいと思われているような発言まで、金融商品取引法の犯罪になるのでしょうか?
「この株は上がるよ」「この会社は合併するかもね」「画期的な新製品が開発されたそうだ」
このような投稿はYahoo株価掲示板などにあふれていますが、そのうちのどの発言が犯罪になるのか、まったく分かりません。
ナチスドイツ、大日本帝国のような全体主義的国家ですら、権力者批判は取り締まっても、こんなつまらないうわさ話をいちいち取り締まらなかったと思うのですが・・・
投稿: ネットで証取法違反2 | 2007年6月29日 (金) 14時15分