職場の人間関係と内部統制システム
総会準備のため、ブログ更新の時間もとれません。ただ、国民生活白書に関する報道ニュースを備忘録としてとどめておきます。
永遠の課題かもしれませんが、企業価値に関わる問題として、こういった職場の人間関係と内部統制システムの問題は避けて通れないと思います。以前もこのブログでたいへん盛り上がった話題に「コンプライアンス経営はむずかしい・・」がありましたが、楽しい職場だからといって、コンプライアンス経営にとってプラスとは限らないと思います。
私は職場での「成功体験」がぜひとも必要だと思います。それも、単独プレイでの成功ではなく、チームとして「勝つ味を覚えること」どうせひとりの人間として会社の仕事に貢献できる力など限られていますが、それが5人、10人集まったときに、横断的な意思疎通ができるかどうか・・・。やっぱりみんな自分が可愛いので、ダイレクトに自分の評価につながることは積極的でも、なかなか横断的意思疎通なんて、「成功体験」を味わってみないと「言うは易く、行なうは難し」だというのが、私の実感であります。これは職場が「楽しい」とか「和気藹々」といった単純な雰囲気とは別次元のものではないかと。一度、真剣に内部統制システムの構築運用と、職場の人間関係について、考えてみたいです。
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コメント
仰らんとする意味合いは理解いたしますが、
かなり飛躍しているように感じるのは私だけでしょうか(笑)。
だいたい「内部統制(システム)」という言葉自体、
百人いたら百通りの解釈(受けとめ方のニュアンスの違い)が
あるがゆえに、こんな心持ちになるんでしょうけどね。
一般名詞での「内部統制」
金商法での「内部統制」
会社法での「内部統制」
少なくともこの3つは全く同じものではありません。
いや、同じというひともいれば違うというひともいるし、
同じであるべきだというひと、違っていて当然というひと、
専門家(なの?)も色々いらしてよく分かりません(笑)。
ここで管理人さまが仰せになっている「内部統制」は
どちらかというと(とりあえずは)一般名詞的な意味合いだと思うんですが、
となると「構築(整備)・運用」という言葉は
安直に使って欲しくありません。今は特に「ややこしい」ので。
投稿: 機野 | 2007年6月26日 (火) 13時24分
部長:内部統制部にきてどうかな?
A氏:前の部署では毎日山のようにメールがきたけど、最近はほとんどこない。
B氏:夜の会合を設定したら、「俺たちの部署で何かあったのか?」とわざわざ聞きにきた。
C氏:夜の誘いがめっきり減った。たまに行っても当たり障りのない話ばかり。
D氏:お前は社内評価が悪いから、暇人の寄せ集め部署に適任だと言われた。
E氏:報告の際、くだらないことしか指摘しないと抗議された。
F氏:何をするか知らないけど、名前が秘密警察みたいと言われた。
財務報告に係る内部統制では、25件中1件の出荷指示書と出荷報告書の不一致があれば、原因を調査し、追求し、教育し、改善させる必要があります。
今後、内部統制に関わる人間関係はどんなものになるでしょうか???
投稿: 元気の出る内部統制部の宴会 | 2007年6月26日 (火) 13時26分
ご無沙汰しておりました。
この問題、先生と問題意識は共通かもしれません。内部統制を運用するのは、人ですから、職場の人間関係やそれに影響を受ける社員一人ひとりのメンタル面は、避けては通れない問題だと思います。以前も申し上げたかも知れませんが、内部統制の構築・整備には、組織論や社会心理学など、人の要素を加味した視点が必ず必要だと言うのが、実務に基づく感想です。運用するのは人である以上、その前段階の構築・整備の段階でも、人の要素を加味した視点は不可欠だと思います。
先生は、成功体験とおっしゃっていますが、成功体験は時として内部統制やコンプライアンス体制の構築・運用には大きな障害となる場合がありますが、一人ひとりの取り組みを尊重し、主体的に実行させる社風や職場環境という意味であれば、先生と同様、私も必要だと思います。内部統制の根本をなす統制環境として、このような社風や職場環境を作れるか、そしてその前提として、経営陣や管理職の意識を高揚・改革できるか、ここが内部統制構築・整備の大きな分岐点になるのではないかと考えています。
だからこそ、内部統制の整備・運用は一筋縄でいかないし、時間もかかるものです。J-SOX対応やIT統制のように、非人間的な無機質な仕組みのみを導入構築すればよいという内部統制議論には、私としては汲みできませんし、そのような内部統制は、構築できたとされる時点で、すでに形骸化されているのではと思ってしまいます。
他の方が、指摘偏重型の内部統制の問題点を述べておりますが、企業内での内部監査等を見ていても、指摘のみで、改善・改良につながる背景要因を抽出するということが少ないのではと、私も思います。この点についての問題点は、行方弁護士のブログにコメントとしてつけさせていただきましたが、それをそのまま下記に引用します(私のコメントですので、著作権はクリアしていますので、ご心配なく)。
「問題点の指摘にとどまる監査、多いですよね。でもこれって完全に、PDCで終わってしまっていますよね。PDCAになっていない。改善のための視点がない、監査のための監査でしかないと思います。
このような問題点指摘型の監査では、往々にして、「できていない」という結果のみをみて片付け、それを指摘するにとどまります。結果だけしか見ていないケースが多く、「できていない」要因や背景がほとんど抽出されていないということがよくあります。背景要因や原因が抽出できていないから、真の改善ができずに、いわば結果だけ、重箱の隅をつつくだけの、もぐら叩き的な監査になってしまいます。
ただ、「できていない」という結果にも2通りがあります。一つは、「やろうとしてもできない」ケース。二つ目が、「できるけどやらない」ケース。この2つでは帰責性がぜんぜん違ってきます。そして、「できていない」というケースは、前者の「やろうとしてもできない」ケースが意外に多かったりします。
これは要するに、
・やろうと思っても、部署間の調整が必要で、自助努力ではいかんともしがたい
・ルール等が十分に落とし込まれておらず、当事者が知らなかった
・ルールは知っていたが、落とし込みが悪く、正しく理解されていなかった
・インフラや実施のための環境整備がされておらず、実現不可能
・そもそも当該部署の責任者に実施できるスキルがない
こういうケースが企業の実務においては多いにもかかわらず、「できていない」原因がきちんと抽出・分析されている監査は、意外と少ないのではないでしょうか。
この点は、改善の効果だけではなく、人事評価にもかかわってきます。後者のケースは犯罪でいれば不作為犯ですから、マイナス評価をしてもいいですが、前者の場合はそもそも非難可能性が希薄であるケースが往々にしてあり、この状況で前者の方もマイナス評価をすれば、本人のモチベーションを下げ、会社への不満を増幅させ、かえって業務効率を落としたり、不正やエラーを誘発する要因になりかねません。」
これなども運用において、職場の人間関係等を考えながら行っていかなければいけない典型かとは思いますが、内部統制構築・整備・運用の議論や実務において、多くの場合、このような視点が導入されていない(もちろん、このあたりを加味されて緻密な内部統制の整備・運用をされている会社も存在しますが・・・)ことを、個人的に憂慮しております。
なお、成功体験が内部統制やコンプライアンス体制の大きな障害になるというのは、単なる成功体験ならいいのですが、それが社内では成功神話に昇華し、過去の古いしきたりを踏襲したり、特権意識を生むことにつながるケースも多いからです。これは、最近の社会情勢や業務の効率性等を加味して内部統制を整備・運用する際に、内部統制の無視や軽視につながり、あるいはコンプライアンスに関する社会情勢への不適応による、コンプライアンス違反を誘発しかねません。このようなケースは、特に急成長したベンチャー系に多く、そのような企業様には、実務を担当する際には、絶えず警鐘を鳴らし続けています。この点も、そんなに影響があるかという方も多くいますが、昔ながらのしきたりの中で一人ひとりの意識が感化され変化に気づきにくく、また排他的思考に陥りや水というのは、多くの社会心理学的研究や企業不祥事に関する研究が実証しているところです。成功体験というのは諸刃の剣であることは絶えず意識しておくべきだと思います。
長々とすみません。
投稿: コンプライアンス・プロフェショナル | 2007年6月26日 (火) 21時07分
>機野さん
こんばんは。
>ここで管理人さまが仰せになっている「内部統制」は
どちらかというと(とりあえずは)一般名詞的な意味合いだと思うんですが、
となると「構築(整備)・運用」という言葉は
安直に使って欲しくありません。今は特に「ややこしい」ので。<
こりゃ、えらいすんまへんでした。。(><)
内部統制という用語の使用についてはすこし軽率すぎましたね。
私自身も普段はどういった意味合いで使用しているのか、留意しているのですが、なんせ業務中に時間的余裕もなく、備忘録として書き留めておりましたので、不明瞭なものになっていまいました。ただ「構築、運用」といった用語は普通に会社法上も金商法上も使用されていると思いますので、そのあたりは安直かどうかはわかりませんが、今後も使用いたしますので、ご了解ねがいます。
投稿: toshi | 2007年6月27日 (水) 01時28分