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2007年6月 1日 (金)

内部統制システム構築・運用ガイドブック

昨日ケーリッヒさんより、コンプライアンスや内部統制を勉強するための適当な書籍はありませんか?とのご質問を頂戴しましたが、きょうご紹介するのは、法務担当者の方に向けてお勧めしたい一冊であります。(もうご購入されていらっしゃったらゴメンなさい)

どちらかといいますと、私のブログでは実際に内部統制構築支援をされている方や、内部統制監査に関与される方、またそういったシステム構築や支援に疑問を抱いていらっしゃる方々のご意見が多いようですが、本日ご紹介する新刊(5月25日発売)は、実際に上場企業で内部統制システムの構築に携わっていらっしゃる方々によって作成されたガイドブックであります。

1431 「内部統制システム構築・運用ガイドブック」(商事法務 経営法友会 法務ガイドブック等作成委員会編 1、800円税別)

実際に執筆されたのは、22社22名の法務、総務担当者の方々で、これまで会社法および金融商品取引法上の内部統制システムの構築運用に関与されてこられた方であります。執筆を担当された方のなかには、私も存じ上げております方もいらっしゃいまして、本当に昨年、一昨年あたりから、法務部やコンプライアンス部において真剣に悩み、勉強し、現場で動いてこられた方による珠玉の一冊であります。いまからきちんと内部統制の概要を整理しておこうとお考えの方には前半部分(基本解説編)が適しておりますし、他社はいったいどの程度のことをしているのか・・・といった実際の統制システム構築運用の現状を把握されたい方には後半部分(実務運用、対応編)がオススメです。私も後半部分のみ拝読いたしましたが、さすがに日々システム構築の現場を担当されておられる方が執筆されているだけありまして、中期的目標、中期計画の設定や予算配分、海外子会社のモニタリング、リスク分類方法、ISO27000等による情報セキュリティマネジメントなどの視点がコンパクトに記載されており、また実際に役立つ参考書籍などの紹介もありまして、たいへん貴重な一冊ではないかと思われます。内部統制システムの導入を命じられた担当者が、実際の現場でどこまでのことができるのか、その悩みも伝わってくるようであります。

ただ、本の性格からはやむをえないとは思いますが、経営陣がどれだけの熱意をもって、担当者にシステム構築を命じているのか、担当役員とはどのように接したらいいのか、外部コンサルタントはどう活用すべきなのか、経営陣にどのように導入を説明すべきなのか、監査役との対話なども含めて、人的資源の活用あたりまで紹介していただければ・・・と、少し物足りないところもございます。また、「物足りない」という問題ではございませんが、会社法における内部統制システムの構築といったあたりがメインの記述となっているような印象を受けましたので、詳細な財務報告に係る内部統制の「評価」といった視点はそれほど記載されていないようですんで、そのあたり書店で確かめてからご購入されたほうがよろしいかと思います。

なお、私がお勧めいたしますのは、この本をひとりでお読みになるのではなく、現場レベルでいろいろと議論の「たたき台」として皆様方でいろんな書き込みをしながら、「自社における内部統制システム教本」をお作りになることです。いわば、この本をまっさらな「ぬりえ」のノートとお考えいただき、ここに御社特有のいろんな色を塗りこんで、御社独自のマニュアル本を作成するといったイメージで活用されるのがよろしいかと思います。

6月 1, 2007 本のご紹介 |

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コメント

http://www.iiajapan.com/system/CIAFORUM.htm
日本内部監査協会のHPの中にあるCIA研究会の報告書も、一部の会社の実践例として、参考になると思います。もっとも、相当な費用と工数をかけて実行している会社の例なので、各社の取捨選択は必要です。

投稿: 紹介 | 2007年6月 1日 (金) 19時15分

TOSHI先生

私もその本をすぐに買いたいと思っていたところなので、書評をみてすぐにでも本屋に走りたいと思っております。

ところで、TOSHI先生が少し物足りないと指摘された点ですが、それは実務担当者が読んで参考になるものでもなく、経営者の自覚が必要で、いそがしい経営トップ向けの1時間くらいの話でエッセンスを伝えられないものかと悩んでいる次第です。

そんな経営者にぜひ読ませたいのは、金融ファクシミリ新聞に今年4月から5月まで20回にわたり連載された池田唯一金融庁企業開示課長の「内部統制報告の留意点」です。ずばり、現状の懸念、すなわち①経営者の適切な理解と支援が得られず、単に形を整えるということに終わらないか、②監査人が企業会計審議会の実施基準等の考え方を十分理解せず、過度に保守的な対応が行われないか、③コンサルティングやITなど関連サービスの提供者の方々の情報提供が、かえって無用な不安等を招くこととならないか、に直裁的にきりこんでいった実にシャープな論考です。これなら経営者も30分で読めます。しかし③の点は、私も7月3日にセミナーの講師をするので自戒しなければ.......

投稿: とも | 2007年6月 1日 (金) 21時02分

紹介さん、ともさん
早々に情報ありがとうございます。
ぜひ、それらに目を通してみます。(金融ファクシミリ新聞は、ともさんとこみたいに立派な事務所でないために、いつも知人の会計士さんとこで読ませてもらっています・・・(~~;)

「ガイドライン」のほうは、現場の作業指針のようなものが非常に参考になりました。担当者と外部第三者との役割分担などを自分で考えるきっかけになりそうです。

投稿: toshi | 2007年6月 2日 (土) 01時26分

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