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2007年6月13日 (水)

スティール、ブルドックへ法廷闘争開始(速報版)

リヒテンシュタイン代表が来日して、ブルドックソースの代表と面談して「物別れ」に終わった直後の仮処分申請ということのようですね。買収防衛策発動差し止めの仮処分(新株予約権発行差止め)と、株主総会決議の差し止め仮処分、取締役の違法行為差止め仮処分を合わせて、とのことだそうです。(読売新聞ニュースによるもの。ただし朝日が最初に報道していたようですね)差別的行使条件の付いている防衛策が株主平等原則に反する、という理由のようですから、これは真っ向勝負ですし、経済産業省の企業価値研究会においても議論されていた大きな論点が裁判上の争点になるかもしれません。

スティールの代表が日本に来て記者会見に臨むというのは、私の予想では、ブルドックも天龍製鋸も、おんなじようにいろいろと質問が続くので、「もう他社は、なんべんも同じこと聞かんといてくれる?」といった意味でマイクの前に立ったのかな・・・と思っていたのですが、今朝のワイドニュースで野村教授(中央大学)は「あれはおそらく、裁判官に印象を良くするためのパフォーマンスでしょう。」と解説されておられました。(さすが、野村先生、予想どおりであります)ちなみにリヒテンシュタイン代表は、5月21号の日経ビジネス誌で「世界初の単独インタビュー」を受けておられ、サッポロHDとの今後について熱く語っておられましたが、そっちはどうなるんでしょうかね?とりいそぎ、速報版ということで失礼いたします。

関連エントリー ブルドック買収防衛策の素人的分析

(追記)経済産業省の次官による定例会見では、「スティールの主張はまったくの事実無根」と憤慨されているようであります。私が思うに、スティール側が指摘したかったのは、企業価値研究会の提唱した「事前警告型買収防衛策」における「差別的行使条件」のところが株主平等原則と抵触するのではないか・・・といったことかと思います。当時のエントリーにも書かせていただきましたが、私もちょっと疑問に感じていた部分ではありますが、会社として特定の株主に対して平等原則違反の扱いをしていいか、といった問題と、多数決によって一部の少数株主の議決権行使に影響を与える決議をしてもよいのか、といった問題点があったかと思います。

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コメント

スティールTOB価格引き上げましたね。
会談が物別れになったとき、米国流に 「では一体いくらならいいのか?」と思ったのでしょうか。
ますますブルドック側は窮地に陥りましたね。

そこで、最初のTOB価格1582円(だったかな?)からブルドック側は新薬予約権の行使価格を1700円に変更できるのでしょうか?
私どもは、会社のものと、そもそもブルドック側が行使価格=TOB価格とすることで自社の株価を1582円と認めたようなモノではないか? したがって1700円だとSP側に経済的毀損を与えることにならないか?
などと議論しておりました。
ブルドック側が行使価格の変更をするとどのような議論が起こりえるのでしょうか?(出来るのでしょうか)
本来株価を1円でも高く引き上げるべき取締役会が、あっさり自社の株価を自白したような気がしました(米国では「うちの株価はこんなものじゃない」的な発言が主流です)。

私は法的根拠に乏しい素人ですが、最初の行使価格を公表した時点で、ブルドックは善管注意義務の観点でジ・エンドだと感じたのですが。
それとも、議論の中心は、まだまだSPが 「会社を食い物にしようとする買収者」 か否か という点なのでしょうか?

リヒテンシュタイン氏が日本の買収防衛策は世界で遅れていると誤った発言をしてしまったため、政府まで敵に回してしまい、話が混沌としてまいった感があります(株式の持合のことを指したとは思えない発言でした)。

日本株式会社のコーポレートガバナンスのためにはSPにがんばってもらいたい反面、ブルドックのふがいなさにがっくりきます。別にSPが好きなわけではございませんが…。

TBSの独立委員会の独立性が問われたり、敵対的買収はいよいよシステムが試される局面に来ましたね。それにしても、なぜ楽天の帳簿閲覧を司法は却下したのでしょう? 確かに見なくとも、情報開示の範囲内で事足りると思われますが、では株主の権利はどうなのだ、支配権をないがしろにするのか? と思ってしまいました。TBS側も「見せたって減るものではない」はずですし、正々堂々と向き合わないところが残念です。

投稿: katsu | 2007年6月16日 (土) 01時46分

katsuさんがご自身のブログで展開している議論はたいへんおもしろく拝読させていただいております。(いくら場末の法律家のブログでありましても、実際に裁判が開始されておりますので、なかなか今後の見込みまで突っ込んで意見を述べるのはちょっとマズイかもしれませんので、また感想じみた話題として、来週にでも採り上げたいと思っております。)

なお、TBSの会計帳簿閲覧の問題につきましては、仮処分特有の要件(保全の必要性)のところで却下されたようですので、楽天側としましても、それほどダメージはないと思います。ただ、満足的仮処分(つまり仮処分といっても、それが認められると、本訴訟で勝訴したのと同じほどに満足する結果が得られる仮処分)でありましたので、本訴に至っても、結論がどうなるかは会計帳簿閲覧の目的と、その議決権行使の時期的な問題などから、結論は不透明な気がします。

投稿: toshi | 2007年6月17日 (日) 03時01分

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