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2007年7月17日 (火)

内部統制ルールの実質緩和(続編)

先日のオフ会でも「続編を書きます・・・、といいながら、なぜ続編を書かないのか?」とのご意見をいただいておりますので、例の「内部統制ルール実質緩和」の続編を少しばかり書かせていただきます。

結論から言って、あの土曜日の日経朝刊一面記事は、どうも根拠に乏しいものではないか、と推測しております。①二日ほど経過してから、金融庁が「施行前の基準緩和などありえない」と発表している記事があったこと、②緩和策のなかには、あまり真新しくない(つまり、実施基準の発表の時点で緩和されることが決まっていた事情まで含まれていた)ものが含まれていたこと、③あれから何名かの立案担当者の方の解説をお聞きしましたが、「私もあの日経の記事にはビックリしています。あまり雑音は気にせず、これまで企業のなかで進めてきたプロジェクトを、これまでどおりに進めてくださって結構です。金融庁Q&Aは出るのか出ないのかは不明ですが、実施基準の内容の詳細を補足する程度であって、新たに実施基準の内容を厳格にしたり、緩和したりするものではありません」とほぼ同一のお話をされていることなどが理由であります。ちょっと、先日のエントリーでは、この「実質緩和」を当然の前提とした意見などを書いてしまいましたが、人の意見を拝聴したりしながら、冷静に考えてみますと、たしかに5%ルールの緩和などを一律に定めてしまいますと、私が社外役員を務めているような居酒屋やレストランチェーン店などは、どこの事業所も評価の範囲外になってしまう結果となりますし、私としましては少し思い直したところであります。(また何かこの実質緩和シリーズにおきまして、情報等お持ちの方はお知らせいただければ、と思っております)

7月 17, 2007 未完成にひとしいエントリー記事 |

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コメント

どうもでございます。

日経の記事はまさか記者の捏造ではない(と思いたい)でしょうから、
金融庁の広報担当者ではなく内部統制関連で金融庁に出入りされている
学者さんの誰かが語ったことではないかと想像いたします。

金融庁もQ&Aを出すかどうか躊躇しているというところではないかと
思うのですが、
私がいま一番気にしているのは「日本公認会計士協会」の動向です。


7月に入り、つまり3月期決算の企業の株主総会が終わった今、
各会計事務所と企業との間で新年度(7月~来年6月)の監査について
契約更新の交渉が始まっているはずです。
来年の6月まで、ということは、いわゆるJ-SOXの適用時期に
いよいよ入ってきているわけで、内部統制監査要素も加味した監査計画を
前提とした契約交渉になっているのではないかと思います
(当社に関しては交渉につき現状報告を受けてませんが)。

さて、内部統制監査については各(末端の)会計士にはどこまでやれば
よいのか判断がつくはずもなく(というか勝手につけられない)、
逐次いちいち会計事務所の内部統制総括部署にお伺いを立てるはずです。
で、その部署で判断がつかないような場合、つまり、相手先企業によって、
会計事務所によって、「監査の質」に大きな差が出てきては拙いと
思われるような場合、各会計事務所はおそらく公認会計士協会に
問い合わせるのではないでしょうか。
日本公認会計士協会はそのための「センター」(?)を設置し、
外部には非公開のQ&Aを作成し問い合わせに備える、と
勝手に思っておりますし、またそうであるべきだと考えます。
そこでも判断が付かない場合は協会から金融庁に聞くんでしょうね。
金融庁も明言は出来ないでしょうが(何といっても官僚ですから)、
示唆ぐらいはするのでしょうか?


この辺、どこまで対応が進んでいるのか、それとも進んでいないのか、
ご存知の方がいらっしゃればご教授いただきたくお願い申し上げます。

とともに、
いろいろ積極的能動的自主的創造的に身動きが取れない状況にあるとしても
協会にはこの制度の片棒を担ぎ、そもそも会計不安を増長させてしまった
責任があるわけで、J-SOX適用に混乱が起こらないよう企業側に過大な
負担が掛からないよう、何卒差配されますことを切に願うばかりで
ございます。


CIAフォーラムガバナンス委員会(真田さんとこ)の
「JSOX費用対効果分科会」のレポートを読みつつ。

投稿: 機野 | 2007年7月17日 (火) 10時35分

山口先生はじめまして。
いつも勉強させてもらっております。

企業のコンプライアンス関係で、山口先生に
個人的に相談させてもらいたい件があるのですが、
弁護士として、相談を受けていただける可能性はあります
でしょうか?

いきなり不躾かと存じますが、よろしくお願いします。

投稿: MASA | 2007年7月17日 (火) 23時21分

以前の速報版の時にもコメントさせていただきましたが、自分として評価範囲というあたりがあまりよくわかっていない上に、さらによくわかっていないのが例の5%の扱いです。

平均的な製造卸売業の企業を例にとって、実施基準の通し69ページの「①重要な事業拠点の選定」以下の通りにいきますと、

1)仮に売上高2/3とすると、該当する事業拠点で、売上、売掛金、棚卸資産の各勘定科目につながる業務プロセスを文書化して評価することになります。
2)次に「重要性の大きい業務プロセス」を個別に評価対象に追加すると、該当する業務プロセスに係る勘定科目が抽出され、その勘定科目に至るまでの業務プロセスを文書化し評価することになります。

以上、実施基準の通りに評価範囲を選定したところ、1)と2)での評価対象とならなかった勘定科目で税引前利益5%以上のインパクトのある虚偽記載が発生してしまったらどうなるのでしょうか。例えば、重要な拠点でない方の売上高1/3に係る売上プロセスにおいてとか、重要性は大きくないと判断した販管費に係る業務プロセスにおいてとか。

こういったリスクを心配すると、連結財務諸表の勘定科目の金額が税引前利益の5%を超えそう(変動しそう)な勘定科目については、それにつながる業務プロセスはできる限り文書化しておいた方が、という気になってきます。

結局、重要な拠点でなく、かつ企業の事業目的にも大きくは関わらず重要性も大きくない業務プロセス(勘定科目)でも、評価範囲に入れてしまうことになりかねないので、2/3が1/2になったところで直ちに緩和になるとも言えないのではと思ったりするわけです。(この考え方間違っていたらご指摘いただきたいのですが)

ただ、5%は実施基準の通し65ページのロ.のa.では、重要な欠陥の金額的な重要性の判断基準として挙げられており、しかも、前のページにあたる通し64ページの「②重要な欠陥の判断基準」に続く説明書きの第2パラグラフには、"Ⅱ.2.(2)②「評価対象とする業務プロセスの識別」において個別に評価対象に追加する業務プロセスを決定する際に用いる指針として示したものではない"とはっきりと明記してあるわけですが。

山口先生のブログをお借りするようで申し訳ないですが、皆さんこの5%の扱いといいますか、あるいは重要性の大きい業務プロセスや勘定科目の選定は、どうされているのでしょうか。大変興味あります。

それから余分かもしれませんが、税引前が損失の場合はどうなるんでしょうか。勘定科目の金額がマイナスってことでしょうか。

投稿: 内部統制右往左往 | 2007年7月18日 (水) 01時25分

>機野さん

いつも有益な情報ありがとうございます。
私も、その疑問につきましては、どなたかご教示いただければ、と思っております。
会計士協会のほうで、詳細な監査指針ができるものであれば、対象企業にとりましてはひとつのソフトロー的なものになるでしょうし、また議論が進化するのではないかと思っておりますが(本当に出るんでしょうかね?)「税経通信」8月号の座談会記事などをチェックはしているのですが、なかなかヒントになるような内容ともいえないようであります。
また、機野さんご自身でなにか情報がございましたらお知らせくださいませ。

>MASAさん

はじめまして。
コンプライアンス分野に関するご相談につきましては、
直接メールにてお問い合わせください。
受任できるかどうかは、ご相談のうえで判断させていただくこととなりますので、あらかじめご了解願います。

投稿: toshi | 2007年7月18日 (水) 02時48分

えー、丸山先生のブログに寄稿したことを重複になりますが、
ここにも書かせていただきます。


細かい誤りを予防するような内部統制を識別することは重要ではない、
ですとか、公認会計士のかたやこのあたりについてお詳しい弁護士がたは、もっと「大声」で言っていただけませんでしょうか?(笑)
単にそういうことは「不要」なのではなくて、有限の監査資源を無駄に使用してしまうという意味で「有害」であると。
網羅的な識別(「グループ全社の業務について、こと細かい書類を作れ」とか…)がされないと監査できないと示唆するような会計士、監査法人があれば、警告を発するぐらいできませんでしょうか。

各企業の内部統制担当は弱者です。「経営者が自ら自信を持って表明すればいい」とか言われてますが、そんな自信、初年度からあるわけがないじゃないですか。経営者も怖い。担当者も怖い。そして会計士も怖い。皆んなこわごわやっていて、怖い(つまり「重要な欠陥」があったら怖い、残ったら怖い、結果的に虚偽表示になるのが怖い…)から、極限まで細かくやろうとする。

いっそ初年度はいわゆる3点セットはいらない!と。経営者に、ほとんど頭の体操レベルで全社的な内部統制という"思想"に慣れてもらう、ぐらいでいいんじゃないかと。
まず、各経営者をトップダウン・リスクアプローチ型の思考に切り替えさせるのが第一だと思います。これは日本企業のカルチャーの大改革であるわけで、これが出来ないと(日本オリジナルだのなんやかんやいってところで所詮アメリカのコピーである)J-SOXなど画に描いたヘンテコな形の餅で終わってしまうでしょう。


投稿: 機野 | 2007年7月18日 (水) 09時36分

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