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2007年9月28日 (金)

続・COSO「モニタリング・ガイダンス」と内部監査人

今週は「保全」という、きわめて弁護士チックな仕事に忙殺されましたので、ブログのほうもきちんと調べもせずに書き下ろしておりまして、不正確な内容のエントリーや、問題提起に終わっているものばかりのようで、常連のみなさま、どうもすいませんです。(言い訳ここまで)

さて、COSO「モニタリング・ガイダンス」と内部監査人のエントリーには、たくさんの実務家の方々のご意見をいただき、ありがとうございました。とりわけ技術屋の内部監査人さん、そしてのらねこさん、熱いコメントを頂戴し、現場で奮闘されていらっしゃる姿が垣間見えるようで興味深く拝見いたしました。こういったコメントを読ませていただいた後に、あらためて企業会計審議会の「実施基準」を読み直しますと、平板に見えていた「なにげない文章」にも、創意工夫の痕跡があるように思えてきますので不思議です。機野さんのコメントで紹介されておりましたCIA資格保有者の急増とも関係すると思うのですが、内部監査人という法律上ではお目にかかれなかった立場の人が、金商法に基づく「実施基準」のなかでいきなり登場し、にわかに注目を浴びるところになったわけでして、だからこそ金融商品取引法といった法律の世界で、この内部監査人をどう位置づけて考えたらいいのか、いまだ世間的には戸惑いがあるに思います。

内部監査人が経営者評価における(独立的評価の部分において)、実際の評価主体とみるべきかどうか・・・といった問題、ふたつほど論点の整理をしてみたいと思います。ひとつは、(内部統制の有効性に関する)最終評価の責任者は当然のことながら経営者にあるわけですが、評価プロセスの一部を内部監査人が代行してもいいのかどうか、といった問題。つまり法律上の用語を利用して恐縮ですが、「擬制」ということですね。内部監査人による実際の独立的評価をもって経営者評価と考えてよいか、といった問題であります。もし「擬制」ではないとしますと、評価プロセスは経営者自身ものでなければいけないけれども、そこに内部監査人の独立的評価を「参考」にすることができる、ということになりましょうか。これは現実の評価主体を経理担当者・・とみた場合にも同じ問題が出てくるはずであります。経営者からみれば、「擬制」とみたほうが楽かもしれませんが、もし内部監査人や経理担当者のスキルに問題があったとなりますと、評価プロセスそのものに大きな不備があったと解釈される可能性が出てくるのではないでしょうか。

そしてもうひとつの論点は、実施基準によりますと、比較的規模の小さな(組織が比較的単純な)上場企業の場合には、全社的内部統制の有効性の評価内容によって業務プロセスの評価範囲を決定することができるとのことでありますが、そうしますと、取締役会が十分な機能を果たしているかとか、監査役と経営者に対するモニタリング機能を果たしているか等、内部監査人が評価できるかどうかはかなり疑わしいところの判断内容によって内部監査人の本来の評価範囲が決定されてしまう、という大きな矛盾を抱えてしまうのではないか、との疑念が拭いきれません。(このあたりが、のらねこさんのおっしゃっている独立性の限界とか、機野さんが指摘されている「実施基準の不明瞭な点」といったことになるのでしょうかね?)この矛盾を解決するためには、経営者は評価プロセスにおいては経理担当者や内部監査人(もしくは外部専門家)に代替させることはできないのであって、「実施基準」にいうところの「補助させることができる」というのは、代行させるのではなく、あくまでも参考意見を報告してもらうための「補助」にすぎない、と理解する以外には方法がないように思えますが、いかがでしょうか。

ほかにも、実施基準によりますと、内部監査人は独立的立場から、内部統制の有効性を評価し、改善事項を報告する役割があると記載されておりますが、改善事項はあくまでも内部監査人の意見でしょうから、その改善をはかった場合にこれを評価するというのも、やはり自己監査に該当するように思います。皆様方のコメントを拝読しながら、やはり内部監査人と経営者評価との関係については、いくつか解決すべき前提問題があるのかなぁと少し疑問に思った次第であります。(今回も屁理屈のような内容かもしれませんが、やはり経営管理の世界での「内部監査人」は、すでに金商法施行とともに、法律の世界に片足を突っ込んだ重要な役割を担う人たちと理解しておりますので、こういった論点整理も必要なのではないか、と思ったものですから・・・・・)

9月 28, 2007 内部監査人と内部統制の関係 | | コメント (15) | トラックバック (0)

2007年9月27日 (木)

上場審査厳格化ルールの実効性

独禁法コンプライアンスの話題や、COSOモニタリングガイダンスの論点へのコメント、たくさんいただきまして、どうもありがとうございます。きちんと問題点を整理したうえで、あらためてお返事させていただきますが、まだまだコメントのほうもお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。

ところで、たしか今日(9月26日)はモック社の株主総会ではなかったでしょうかね?もうすでに27日に日付が変わっておりますが、会社のHPにも適時開示情報のほうにも総会の結果についてのリリースが掲載されておりません(^^;; yahoo掲示板で、どなたかが「可決された・・・」との情報を書き込んでおられますが、決議内容につきまして、いずれのマスコミでも報道されておりませんので、なんとも不確定な状態であります。(追記 27日の日経朝刊に「議案すべて可決」との記事あり。総会は2時間半に及んだ、とのことであります。)今朝(26日)の日経新聞でも採り上げられておりましたし、株価変動をみましても、それなりに注目されておりましたので、なんらかのリリースは必要だと思いますが。。。(会社側提案に賛成する立場で委任状を提出されている株主さんへの結果説明はどうされているのでしょうか?)

出来高が昨年の半分以下となり、株価も低迷を続けております新興企業向け市場にとりまして、上場後も健全に業績を伸ばす新興企業にこそ上場してほしいと願うところでありますが、やはり「上場はやりたいことのための手段ではなく、目的」と捉えている企業が目立ちますと、どうも回復基調の兆しがなかなか見えてこないような気もいたします。そのような状況のなか、以前から話題になっていたところではありますが、東証はIPO企業の主幹事証券向けの引受審査ルール策定の意向を表明されたようであります。(26日の日経朝刊7面の新聞報道参照、またフジサンケイビジネスニュースはこちらです)証券取引所の上場審査基準のうち、適格要件(実質基準)の判断にあたっては、主幹事証券会社が上場申請企業の経営内容等に関する推薦書を提出することになるわけでありますが、①その推薦書に様々な企業情報を盛り込み、②引受審査に関する社内監査体制をルール化し、③証券会社の営業部門と調査部門に厳格なチャイニーズウォールを設置する等を主な柱としております。本年12月ころからのルール施行を目指す、とのことでありますが、実際に上場引受業務をされる証券会社さんの場合、すでに内部統制調査などを含む体制整備に関する審査事項へのチェックルールは策定されているはずであります。おそらく15から20項目程度のチェックポイント(細分化されれば、その4倍程度)があると思われます。もちろん、そのチェック項目のなかには、公開企業にふさわしい「株主、投資家に対する適切な情報開示の社内態勢」チェックも含まれております。

そういえば本日(26日)パブコメを経て正式公表されました金融商品取引業者等検査マニュアル(証券取引等監視委員会のHPよりパブコメ回答集とともにダウンロード可能です)におきましても、第一種金融商品取引業者の態勢および引受業務に関する確認事項として「引受審査態勢の整備」が掲げられておりまして、引受主幹事証券会社の取締役会および引受審査部門の重い責任が記述されております。このように、証券取引所そして金融庁から「引受審査部門の充実」を期待されている証券会社もたいへんではありますが、なんといいましてもたいへんなのは上場を目指す一般事業会社であります。証券会社および監査法人からの厳しい目で経営を監視されるわけですから、公開企業にふさわしい経営管理体制を構築するためのコストもけっこうかかるんじゃないでしょうか。ただ、審査基準を厳格にするといいましても、どの企業にも一律に適用されるような判断基準があるわけでもないと思いますので、その実効性を左右するのは、やはり各企業の創意工夫によるところが大きいものと思っております。

9月 27, 2007 証券業界の自主規制ルール | | コメント (4) | トラックバック (1)

2007年9月26日 (水)

COSO「モニタリング・ガイダンス」と内部監査人

(9月26日午前 内容を修正いたしました)

最新号の「経営財務」では、「信託の会計処理に関する実務上の取扱い」の公表記事がたいへん参考になるところでありますが、9月17日に公表されましたCOSO討議文書「内部統制システムのモニタリングに関するガイダンス」に関する記事も目に留まりました。すでに丸山満彦先生や眞田光昭先生のブログやHPでも、このガイダンスが紹介されておりましたのでご存知の方も多いと思います。米国SOX法のもとでの内部統制報告制度との関係で、今年1月からモニタリングに関する新たな指針作りが進められてきたものであります。どうも最近、アメリカでも日本でも、内部統制報告制度における内部監査部門の重要性が力説されるようになったように思われます。

私自身、よく理解していないところでありますが、こういったモニタリングに関するガイダンスの盛り上がり(ブーム?)というものは、やはり米国SOX法404条の実質緩和方針と関係があるのでしょうかね?たとえばダイレクトレポーティングが二本(直接監査と報告書監査)だったものが一本(直接監査のみ)に変更される、といったことから、能力ある内部監査部門によるモニタリングシステムがきっちりと機能していれば、直接監査の多くを内部監査人の恒常的かつ独立的な監査への信頼に依拠できるし、またトップダウン型のリスクアプローチも採用できる、といったような関係に立つのでしょうか?すくなくとも、アメリカの中小規模における上場企業へのSOX法適用(同時に費用対効果の検討)と歩調を合わせたように、最近はこういった「内部監査人」の役割が重視されるようになった気がしております。

しかしながら、もしそうだとしますと、内部監査人の「内部統制報告実務」における位置づけというものは、日本とアメリカとでは同じに考えていいのかどうか、さらに疑問が湧いてきます。差が曖昧だとはいえ、日本は米国のようにダイレクトレポーティングを採用しておりませんので、こういったアメリカのモニタリングガイダンスをそのまま日本の制度にあてはめてもいいのでしょうか?つい先日、ある内部統制コンサルティングをされている会計士さんにお聞きしましたが、内部統制報告制度におきまして、実際に「経営者評価」の主体となるのは、(内部監査人とは別の)「経理部」の方と「内部監査人」の方と、現在までのところ、企業によって半々くらいに分かれているようです。経理部、財務部等の担当者が評価する、というものであれば理解しやすいのでありますが、内部監査人が評価をする、ということになりますと、このアメリカのモニタリング指針というものは(モニタリングに関する評価については)自己評価になってしまいますよね。このあたりがどうも、私自身うまく理解しきれていないところがあります。

いずれにしましても、内部統制報告制度におきまして、その運用が現実味を帯びるにしたがって内部監査人の占める地位が次第に大きくなってきたように思いますし、また内部監査人の適格性にも、そのうち焦点があてられてくるのではないかと考えております。たとえば、会社法監査や金商法監査といった外部監査人によるものであれば、法律上の企業情報開示制度と結びついているわけですから、開示情報が正しいことに関する「合理的保証」といった帰結もわかりますが、そもそもそういった法律上の制度と(現状として)結びついていない内部監査制度の場合、主たる目的が「評価やコンサルタント」であったとしましても、たとえば企業によっては不正発見の責任まで認められてもいいのではないでしょうか。一般に内部監査人に「コンサルティング機能」を認める以上、管理執行的な役割を認めて、不正発見の責任まで負担していただく、というのもひとつの方法ではないかと思うのですが。(このあたりは、まだ思いつきの段階ですが。)

9月 26, 2007 内部監査人と内部統制の関係 | | コメント (9) | トラックバック (0)

2007年9月25日 (火)

買収防衛策と独禁法コンプライアンス

今週以降、M&A関連の話題として盛り上がりそうなのがヤマダ電機、ビックカメラ、ベスト電器による事業提携話のようであります。(ヤマダ電機の株買い増し、防衛策発動も辞さず・・・ベスト電器 読売新聞ニュース)ビックカメラとの事業提携に邁進しようとするベスト電器社に対して、業界ダントツトップのヤマダ電機社が持分法適用会社(20%超)とした後、事業提携を持ちかける意思のあることを表明されたとのことです。本年5月の株主総会で勧告型決議によって事前警告型買収防衛策を導入(正式には継続)しているベスト電器としましては、今後ヤマダ電機が買い増しを続ければ、防衛策ルールに則った対応を予定しているようであります。

もし独立委員会(社外取締役2名、社外監査役1名の合計3名)による評価手続きが開始されるとなりますと、私的に一番関心がありますのは、ベスト電器の企業価値をき損するかどうかの判断において家電量販店特有の独禁法コンプライアンスといった問題をヤマダ、ベスト双方がどのように考えているのか、明らかになるのではないか、といったあたりのことであります。先日リリースされておりましたTBSの企業価値評価委員会の報告書におきましても、楽天社の企業としてのコンプライアンス問題が判断対象になっておりましたが、とりわけ家電量販店におきましては、平成18年6月発表されました家電量販店ガイドライン(公正取引委員会)にもありますように、地域小売事業者との競争関係確保や、不当廉売(不当表示)、優越的地位の濫用等、コンプライアンス上の問題点が山積している状態ですので、支配権取得までいかなくても、事業提携としても気を遣うところではないでしょうか。

とりわけこの5月にはヤマダ電機社の場合、メーカー社員を無償で派遣労働させていたとして公正取引委員会より調査を受けておりますし、九州地区におけるベスト電器とヤマダ電機との店舗数の比率が極端に違うことから、小売事業者への量販店の及ぼす影響度も違ってくるかもしれません。今後、買収防衛ルールによる事前交渉が行われるならば、そういったコンプライアンス問題について双方の現経営陣がどのような説明を果たすのでしょうか。これまで敵対的買収の話題のなかで、あまり独禁法に関連する論点が出てこなかっただけに(ニッポン放送事件では少しだけ話題になっておりましたし、意見書も出ておりましたが)、コンプライアンス問題と絡めて法的観点からの議論がなされることに期待しております。(とりいそぎ備忘録程度のみ)

(9月26日追記)関西の者にはなじみがありませんが、キムラヤを子会社化するといった話題や、ベスト電器の株式を一気に買い増すなど、M&Aに向けたヤマダ電機の動きが活発化したようであります。ベスト電器の株価もストップ高のようで。

9月 25, 2007 ヤマダ電機vsベスト電器 | | コメント (9) | トラックバック (0)

2007年9月22日 (土)

懲戒処分の実体調査(労務行政研究所)

昨日(9月21日)はセミナーに多数ご参集いただき、ありがとうございました。3時間半という時間は聴講される方からしますとずいぶんと長い時間かもしれませんが、お話する側からしますと、お伝えしたいことが多すぎたせいか、あっという間でした。(時間の関係でレジメの最後に添付しておりました「具体的事例から考える」の部分まで完了できず、ご迷惑をおかけしました。)

さて、企業コンプライアンス関連の調査レポートとして、財団法人労務行政研究所より、「企業内の懲戒処分の実態に迫る」が報道関係者向けとしてリリースされております。(なお、詳細は労政時報9月28日号に掲載されているようですので、本誌をごらんいただける方はそちらをご参照ください。)4年ぶりの実態調査とのことでありますが、リリースされているものを読むだけでもなかなかおもしろい内容であります。

他の会社では、こんな従業員の不祥事が発生した場合に、どれくらいの処分を選択するのだろうか・・・・といった人事労務担当者の方のご関心があろうかと思いますが、単純比較は禁物でしょうね。企業にはそれぞれの行動規範、倫理規範がありますし、またステークホルダーを大切にするための優先順位もあるでしょうから、(また後述しますように、各企業によって、懲戒対象事実の認定能力にも差があるでしょうから)その処分の程度は企業ごとに違うのが当然だと思います。たとえば「社外持ち出し禁止のデータを独断で自宅に持ち帰っていた」というのが、この調査結果では半数以上の企業が「注意処分以下」で済んでおりますが、これが顧客情報管理や営業秘密管理に厳しい会社の場合でしたら、「解雇処分」に該当してもおかしくないと思いますので、単純に「会社はこんな場合はけっこう厳しい」などと一般的な傾向を結論付けるのは困難ではないでしょうか。(ひょっとしますと、本誌のほうでは業界別の集計結果なども掲載されているのかもしれませんが)

ただ、あえて一般論としての意見でお許し願いたいのでありますが、「事故は起こさなかったが、酒酔い運転のために検挙された」場合、解雇処分とするのは30%程度の企業(懲戒解雇、諭旨解雇の合計)であり、その他60%の企業では自宅謹慎などの社内処分で済むんですね。(10%程度の企業が「判断できない」とのこと)これはちょっと意外でありました。これだけ酒酔い運転に関する厳罰化(たしか3日前から改正道交法が施行されましたよね)の機運が高まっているわけですし、また同乗者や酒類提供者も犯罪者になってしまうわけですから、酒酔い運転によって事故を発生させた社員の企業名は報道される可能性が今後も高まりますよね。昨日、飲酒事故によって3人のお子さんを亡くされたご夫婦に新たな命が授けられたニュースが大きく報道されていたことからも、世間の風潮が読み取れる気がします。酒酔い運転の常習性とか、新しい法律の施行によって他の社員を犯行に巻き込む可能性が高まったことや、マスコミにとってのニュースソースとしての関心の高さという観点からみて、「事故さえ起こしていなければ検挙されても社内処分でOK」といった感覚は、企業のリスク管理として、会社の常識と世間の常識との間にブレが生じていないかどうか、確認をしておく必要があるんじゃないでしょうか。(せめて「原則解雇処分、ただし情状により救済措置あり」といったルールにされたほうが、リスク管理としては適切な気もいたしますが)

「労働法の解釈との関係で回答がしにくいケース」(たとえば配転のケース)を抜きにしますと、もっとも企業において処分のバラツキが大きいのが「妻子ある上司が、部下と不倫関係を続けていることが発覚した」とのケース。(事例として最近は「夫のいる上司が部下と不倫関係をしているケース」もけっこうありますが、そちらも含むんでしょうね)経営トップの方の行動自体が、こういった社内処分のあり方に影響を与えていたりして・・・(^^;;  ただ、相思相愛の状態にある「不倫関係」って、一体社内の誰が公式に「事実認定」なさるんでしょうかね?(笑)不思議です。「不倫」であることの要件事実と、その事実確定のための証拠とはいったいナンなのでしょうか?とても興味があります。また、このケースでは不倫の双方に同じ処分が下されるのでしょうかね?この「不倫関係」の判明というのは、私が推測しますに「もつれ」が原因でしょうから、ほとんどの事例では「つきまとい行為」か「セクハラ、パラハラ」のケースに該当するんじゃないでしょうか。つまり、そっちのほうで処分をすれば、もはやそれ以上に「不倫関係」で処分する必要がないケースがほとんどのように思います。要は事実認定に問題が出ないようなケースでは解雇処分まで進めるけれども、社内で事実認定に曖昧さを残すようなケースの場合には、自信をもって解雇処分とはできないために、社内処分で済ます、もしくは不問に付す・・・といった傾向が強いように思われます。なお、私が過去に取り扱った案件で、上司の奥様が、会社に「うちの人、おたくの会社の○○さんと不倫してるのよ!」と怒鳴り込んでこられたケースがありました。ちなみにその奥様は「悪いのは○○さんだから、即刻やめさせてちょうだい!」とのことでした。こうなりますと、もう会社としては対応に困りますよね。

合わせ技(複数ケースに該当する場合に、処分内容が重くなるのかどうか)に関する記述が見当たりませんが、複数の懲戒事由に該当するケースも多いので、そのあたりも悩むところであります。その他、マスコミに実名や社名が公表された場合には、懲戒処分の程度に差をつける、との企業が40%もあるとのことですが、そうなりますと、懲戒事実を別の社員が知ったときにはどうされるのでしょうか?(そもそもマスコミ報道されることで懲戒処分に差が生じるといった問題には、どうも法的な問題に発展しそうな匂いも感じられますが・・・)今のご時世、内部告発は当たり前になっていますから、そのあたりで従業員が別の従業員の「クビ」を握るケースも出てくる、ということなんでしょうかね?いやいやオソロシぃ世の中になってきたものであります。

9月 22, 2007 コンプライアンス経営はむずかしい | | コメント (6) | トラックバック (0)

2007年9月21日 (金)

イマドキの独立第三者委員会

9月19日に名古屋の某会社にて、事前警告型買収防衛ルールにおける独立委員会の正式会合に出席してまいりました。社外監査役(某上場企業の役員の方)、東京の会計士資格を有する財務コンサルタント会社の社長さん、そして私の3名構成なんですが、委員会の要請で防衛策を設計した法律事務所の方にもお越しいただきました。会社との委任契約上、委員会での内容はあまり詳しくは書けませんが、やはりみなさん、ブルドック最高裁決定や、原審、原々審の内容など、けっこうよく勉強されていて、独立委員会の位置づけだけでなく、そもそもの防衛策の建てつけについてもご意見をお持ちのようであります。

2時間ばかりの会議だったんですが、「望ましい独立委員会のあり方」というのも、どうやら最低でも3つくらいの視点によって違った形になりますね。ひとつは、そもそも全体の防衛策スキームが違法と判断されないための独立委員会とは?といった視点、ふたつめは機関投資家や議決権行使助言会社からみて望ましいと判断される独立委員会とは?といった視点、そして三つめはといいますと株主や第三者から損害賠償責任を負わないような活動をする独立委員会とは?といった視点であります。とくに三つめにつきましては、そもそも取締役会からの諮問によって活動する委員会であって、どんな結論(勧告)を出したって株主や第三者に責任を負担しないでいいのではないの?といった考え方もあろうかとは思いますが、よく考えてみますと、平時の防衛ルールには有事における取締役会の行動が記載されておりませんので、有事の際、独立委員会はおそらく具体的な取締役会の執行予定(たとえば防衛策発動の場合には、買収者の経済的損失をどの程度補完する予定なのかとか)を聞く場面が出てくると思いますし、発動を勧告する場合には多くの会社資産が流出することを容認するわけですよね。長期的にみれば、これは株主共同利益を守るための手段であるともいえそうですが、短期的にみてこれは損害賠償責任を負担しないでもいい、といった保証はあるのかどうか、ちょっと不明であります。社外監査役さんなんかも、こういった独立委員会の委員として就任されているケースも多いとは思うのですが、これは社外監査役の職務との関係って、どうなんでしょうか?独立委員としての職務は、社外監査役の職務とまったく別個と考えていいのでしょうか、それとも通常の社外監査役の職務のひとつである、と考えるべきなんでしょうか?(独立性といったことからは前者のように考えるのが望ましいとは思うのですが、実質をみれば後者のように思われます)いずれにしましても、この「独立第三者委員会」のあり方については、問題ごとに、先のどの視点からみたらどんな方法が適切なのか、問題意識を共有しながら検討したほうが妥当なように思います。

以前、買収防衛策・独立第三者委員会の役割とは? のエントリーでも書きましたが、ホントこの委員会って、防衛策発動の場面における違法適法の判断といった視点からみた場合、一生懸命職務をまっとうするわりには「司法判断においてはほとんど影響なし」とみなされる存在なのかもしれません。先日ご紹介したとおり、会社法立案担当者のA澤さん曰く

「社外の独立性のある者の判断といったところで、しょせん取締役から依頼を受けた者の判断ですし、株主総会で選任された者でもなく、その者自体、適切な判断をする保証もなく、会社法上の責任を負うものでもないわけですから、そのような者の判断が法的な意味があるわけではありません」(商事法務1807号29ページ)

とまで、軽視(無視?)されてしまっている存在ですから、せめて株主の代弁者といいますか、透明性、公正性にふさわしい人選と活動が要求されてしかるべきなんでしょうね。昨日の独立委員会では、こういったところをけっこうまじめに議論しておりました。(ほかにも課税関係とか、事業価値評価の視点なども検討されましたが)また、防衛策を見直すのかどうかはわかりませんが、今後発動の場面では株主総会にかならず提案するのか、それとも取締役会決議で発動できるものとするかのよっても、独立第三者委員会の活動内容も異なってくるのではないか・・・といった疑問も出ておりました。まぁ、だいたい年間3回程度、こういった委員会を開催する程度がよろしいんじゃないでしょうか。

9月 21, 2007 独立第三者委員会 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2007年9月20日 (木)

子会社の独立性と内部統制システム

IPO企業の支援業務をやっておりますと、本当に厳しい場面に出くわします。上場をめざす企業として、利害関係人と企業との取引をどう解消していくべきか、というところで経営者のエゴ(わがまま、というわけでもなく、企業に対する長年の愛着から・・・といったほうが適切でありますが)と、上場企業としての透明性、公正性を確保していくべき要請との衝突場面など、けっこう頻繁に発生しますね。とりわけ「特別利害関係者・関連当事者との取引(その解消方法)」といったあたりは、経営者の方々のご認識と、支援する方とではかなりズレが生じているようですから、「上場するということはこんなものなのか・・・、ここまでまじめにやってきた俺を信用しないのか・・・」といったショックをはじめて経営者の方々が味わう場面かもしれません。証券会社さんや、監査法人さんは、これまでの経験から保守的な意見を述べる傾向にありますが、それが経営者にとってはナットクがいかないことも多いようで、ときには代替案を提示したり、ときには監査法人さんの見解を法律的な面から解釈して経営者の方へナットクしてもらったりと、最近はけっこう弁護士を中心としたIPO支援業務にも、それなりの役割があるように思えてきました。

ところで、IPOにも既上場企業にも関係するテーマでありますが(このあたりの話題はkatsuさんや、辰のお年ごさんの関心分野だと思いますが)NECの子会社(70%保有)であるNECエレクトロニクス社の一般株主(ペリー・キャピタル)が、NECエレの業績不振が長引いているのは親会社による支配に一因があるとして、親会社であるNEC社からの独立を要求しているそうであります。(朝日新聞ニュースはこちら)NECエレの業績不振(2年連続赤字)の原因は、親会社であるNECの意向により、思い切った戦略に踏み込めないとして、具体的にはこの株主が、NECエレの25%の株式に、65%程度のプレミアムを付して約1500億円で買い取る旨意思表示をされているとのこと。これに対して、NEC側は一般株主側に対して、まだ何の明確な意思表示はされていないようであります。なお、これまでの経緯につきましては、katsuさんのエントリー(アクティビスト活動が本格化? NECエレクトロニクスの続き)あたりが詳しくて参考になります。(といいますか、katsuさんの9月18日の英国年金運用会社ハーミーズの話題、ホンマおもろいです。・・・笑)

現在、東証に上場している会社のうち13.5%程度が親会社を有するものだそうでありますが、親会社(支配株主)とその他の一般株主との間においては、親会社の意向にはなかなか子会社の取締役は異を唱えることができず、親会社の戦略に拘束されてしまうおそれを内包している、とのことで利害対立することが考えられます。東証では「親会社を有する会社の上場に対する当取引所の考え方について」と題するニュース(今年6月)におきまして、証券取引所としての考え方を公表しておりますし(「上場制度総合整備プログラム2007」参照)、また東大の神田先生を座長とする上場制度整備懇談会の中間報告書(本年3月リリース 15ページから17ページ)におきましても、少数株主と親会社との利益相反の関係があるために、かならずしも市場関係者にとって望ましい資本政策とはいえない、とされています。

問題はあるけれども、子会社上場にもそれなりの効用はあるので禁止されるものではなく、ただ「望ましい資本政策とはいえない」ということですから、これを「グレー」と表現することも適切ではないのかもしれません。そこで子会社上場を認めつつも、その弊害を防止するための措置といったものをどう考えるかがポイントになろうかと思われます。証券取引所にも上場審査基準としての「独立性要求基準」や、その後の独立性確保のための情報開示などの弊害防止措置があるようですが、それらは主に説明責任(アカウンタビリティ)を尽くすことに重点が置かれているようで、実際の防止措置の仕組み作りといったことは、上記中間報告書においても「今後の検討課題」とされているようであります。

ただ、ひとつ疑問に思いますのは、実際の防止措置の設置というのは「将来への課題」ということで済ませておいていいのかどうか、といったあたりであります。会社法362条4項6号、同施行規則100条1項5号によりますと、大企業の場合、内部統制システムに関する基本的な整備に関する決議を必要とするわけですが、そのなかに企業集団における業務の適正を確保するための体制確保に関する決議も必要になるはずであります。たとえばある上場企業がある企業の子会社となった場合には、その子会社側はガバナンス報告書のなかで基本方針をリリースするべきでしょうし、親会社が上場企業であれば、同じく親会社にも企業集団の業務適正確保のための整備に関する決議が必要なのではないでしょうか?もちろん、自分の会社は新たに体制を整備する必要はない、という決議も可能かもしれませんが、それではどういった体制が存在するので不要と判断したのか等、その「仕組みが存在すること」を説明する必要もあるのではないでしょうか?そういったことからしますと、たとえば先の例で一般株主から子会社の独立性に関する疑義が呈されたような場合においては、まずなによりもこの会社法上の内部統制システムの整備義務に関する法令上の根拠から、なんらかの法令遵守に関するリリースがあっても当然のように思えますが、いかがでしょうか。

ちなみに、「論点解説 新会社法(千問の道標)」(相澤・葉玉・郡谷編)では、その338ページにおきまして、親会社や子会社において、「企業集団の業務の適正を確保するための体制として」どのような事項について決定すべきか、といった例示がかなり豊富に記載されております。このあたりは、いままであまり議論されてこなかったところかもしれませんが、単に「将来的な課題」では済ませられない場面というものも、株主側からのアクションによって顕在化するものだと私自身は理解しているのですが。(また、どなたかお詳しい方がいらっしゃいましたら、ご教示ください)

9月 20, 2007 親子上場 | | コメント (5) | トラックバック (0)