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2007年9月13日 (木)

コンプライアンス経営はむずかしい(やぶへび編)

ひさしぶりの「コンプライアンス経営はむずかしい」シリーズであります。(って、別にシリーズ化しているわけではないのですが)これまでのエントリーは、下のカテゴリーのところをクリックしていただきますと、ご覧になれますので、またお時間のあります方はご参照ください。

本日、私の自宅近くにあります(大阪府堺市の)遊戯施設のエレベーターが落下する、という事故が発生しました。またシンドラー社製のエレベーターだそうであります。(日経ネット関西版ニュースはこちら)「またこの会社のエレベーターか・・・。怖いなぁ・・・」と一般の方々はそちらに関心が向くと思うわけでありますが、私がもっと「コワイなぁ・・・」と感じましたのは、「なお、エレベーターに乗っていた9名のうち、数名の負傷者は18歳未満であり、夜10時以降、ゲームセンター等への出入りを禁じた大阪府青少年保護育成条例に違反する可能性があり、大阪府警は関係者より事情を聴いている」とのくだりであります。ちなみに、14歳から17歳までの少年が5人乗っていた、ということですから、保護者同伴でも遊技場(ゲームセンター)に午後10時以降は立ち入ってはいけない(16歳未満)少年がいた模様であります。(16歳以上18歳未満の少年の場合は、保護者同伴でない場合に営業者に規制違反が認められる可能性あり)

本来ならば、営業店舗側としましては、エレベーター事故発生ということで、おそらくエレベーター運営管理会社の問題として処理したいところではあります。しかしながら、たとえ営業店舗側にミスが認められないような突発事故が発生したとしましても、その事故を機会としてそこに「言い逃れできない不祥事」が突然発覚してしまう事態となってしまうことにはゾッとしますね。警察のほうも、単なる青少年保護育成条例違反といいましても、比較的軽微な営業規制に違反するような事態といいますのは、おそらく日常茶飯事でしょうから、なかなか手が回らないところではありますが、「目の前で見ちゃった」以上は事情聴取せざるをえないでしょうし、当然のことながら、行政処分にも発展する可能性があると思われます。もちろん、店舗側としては、きちんと条例を遵守して、目に付くところに青少年の立ち入りに関する規制を掲示して、なおかつ指導しなければならないことは当然でありますが、ひょとして心のどこかに「エレベーター事故のせいで、運の悪いことになっちゃったなぁ」といった気持ちも出てくるかもしれません。

おそらくこの営業店舗は上場企業による運営店ではないと思いますが、これが上場企業の場合ですと、コンプライアンス違反ということでマスコミにも叩かれるかもしれませんし、また業績への影響が軽微であったとしましても、とりあえず開示情報としてリリースしなければならないかもしれません。企業のなかでの「責任者探し」も始まるかもしれません。こういった行政取締法規違反の事実というものは、その違反事実だけを捉えてみますと「どこでもやっている」「どの会社でもこれくらいのことはやっている」「件数が多すぎて処分の対象にならない」などと軽くとらえがちでありますが、本日のシンドラー社製エレベーター事故のように、予期していなかったような突発事故をきっかけとして、行政庁が「見てみぬふりはできない」状況に至ってしまうケースがあります。まさに「やぶへびコンプライアンス」の事例であります。企業不祥事はリスク管理の一種である、とよく言われますが、こういった違反事実のリスクを企業としてどのように評価するのか、こういった事件が発生する可能性を認識しているか、していないかによって、ずいぶんと評価の程度が変わってくるのではないでしょうか。ふだんの小さな法令遵守の心がけが、企業の社会的信用を守ることにつながる好例だと思います。とりわけ新規事業へ進出される場合には、どういった行政法規による取締対象となるのか、十分調査することも必要でありますが、その法規違反がどういった企業リスクとなるのか、といった点につきましても、よく吟味されたほうがよろしいかと思います。

9月 13, 2007 コンプライアンス経営はむずかしい |

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コメント

コンピュータ屋です。
おはようございます。

まずは、リンクを張っていただきましてありがとうございます。
ちょっと雑多なブログで恥ずかしいですが

今回のテーマ「コンプライアンス」について具体的にコメントできる力はまだありませんが、例の「コンプライアンス・オフィサー認定機構の参考書」で勉強中です。

ざっくりですが、
これからの仕事としても興味があります。
コンプライアンスの確立、本気化、定着、収益への貢献など、ご支援することできないかなと考えています。

コンピュータ屋がこんなことを言うようになってきたのです。
ビジネスサービスの究極は、企業のコンプライアンスUPに貢献することなのではと思う、今日この頃です。

投稿: コンピュータ屋 | 2007年9月13日 (木) 11時10分

コンピューター屋さん、こんばんは。
いつもコメントありがとうございます。

私は企業におけるコンプライアンスの問題は、法務部の問題ではなく、また外部専門家のコンサルでもなく、ましてや経営者だけの問題ではないと思っています。いわば、「総合力」の問題です。なぜかといいますと、それはまたエントリーでも書かせていただこうかと思っておりますが、とうてい法令遵守という枠組みでは捉えきれないものだからであります。最近、反社会的勢力との関係断絶に関するお仕事をさせていただきましたが、その手口は予想をはるかにこえるほど巧妙かつ悪質であり、どこかの部署が単独で対応できるようなものではありませんでした。

全社的対応を支援する横断的役割として、コンプライアンスオフィサーなども期待されるところだと思いますが、ぜひまたコンピューター屋さんのブログでも、そちらの立場で考察いただけますと勉強になりますので、またよろしくお願いいたします。(そういえば、10月12日の第四回のオフィサーフォーラムのゲストはあの眞田先生ですね。)

投稿: toshi | 2007年9月15日 (土) 19時06分

コンピュータ屋です。

コンプライアンスのご教授、ありがとうございます。
「全社的対応を支援する横断的役割として、コンプライアンスオフィサーなども期待されるところだと思いますが」
肝に銘じて勉強していきます。
この件は、自分一人では難しいことなので、仲間を募って勉強会の予定です。
これからもブログのご教授よろしくお願いします。

また、ここだけの話ですが、
かの先生、私たちの前から離れようとしています。
「俺は隠遁生活をするのだ」とのたまっていました。
10/12のテーマもそうですが、それだけのことを言うのなら、
実践しろよと言いたいですね。
もし会われたら、そんなこともお伝えください。

投稿: コンピュータ屋 | 2007年9月16日 (日) 15時09分

勉強会いいですね。コノテの勉強会はなかなか参加企業さんが事実を的確に公表していただけないので、運営が容易でないことが多いのでありますが、会員全員が高度の守秘義務を維持できるのであれば、関西でもぜひやってみたいと思います。コンプライアンスオフィサー資格をお持ちの方が増えてくると、それこそ「オフィサーやマネージャーの横のつながり」が必要ですよね。また、勉強会で成果がありましたらお知らせください。

気になるのが「あの方が離れる」というコメントです。
私はあの方の内部統制に関する考え方に共感するひとりですので、これからも隠遁生活などとおっしゃらずに、公の場でぜひぜひいろいろと発信していただけませんでしょうかね?(笑)

投稿: toshi | 2007年9月17日 (月) 13時06分

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