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2007年10月31日 (水)

法化社会と企業価値研究会のあり方

先週月曜日(10月22日)の読売新聞朝刊に、事後型買収防衛策のルール作りのために、10月末頃から経済産業省の企業価値研究会が新たな検討に入る・・・との報道がされておりました。先日のブルドックソース最高裁決定を受けて、これまで防衛策を導入している企業も、そうでない企業も、防衛策のスキームを検討しているところが多いと思われますが、導入や発動の手続きにおいて誤った認識がされないように・・・ということで(おそらく最高裁決定に過剰反応することを回避するために)、とりわけ事後型防衛策のあり方についても検討課題とされるようであります。

企業価値研究会のなかで議論される内容につきましては、また大杉先生のブログとか、経済産業省のHPで議事要旨等を読ませていただくことにしたいと思いますが、まずこのたび把握しておきたいことは、この経済産業省の企業価値研究会のお出しになるルール(防衛指針)といったものが、法化社会の実現を目指す日本の司法制度のあり方とどういった関係に立つものと認識すればいいのか、といったところであります。

まずひとつめは、この研究会の防衛指針そのものが規範的ルールとなることを目指しており、各企業がとりあえず指針にしたがった行動をとり、この指針に従う企業が増えることで指針そのものが「ソフトロー化」することに狙いがあるのでしょうか。そもそも、買収防衛策というものが「発動されるべきもの」ではなくて、交渉の道具である・・・という本来の防衛策導入の目的を考えたり、そもそも防衛策を導入してみたところで、敵対的買収に発展する可能性が著しく乏しいといった確率論から考えましても、「企業価値研究会がお墨付きを与えたルール」が存在すること自体が、アクティビストファンドあたりには「脅威」となることは確かであろうと思いますし、買収を仕掛ける競業他社からみると、誠実な交渉を余儀なくされるためのインセンティブにもなろうかと思われます。しかしながら、現実には(旧商法の時代であり、また想定されていたライツプランの建て付けも今とは少し異なるわけでありますが)、株主平等の原則に関する解釈とか、多数決要件(普通決議か特別決議を要するのか)とか、相手方への金銭補償の点など、裁判所の決定理由と指針内容を比較してみますと、予想していなかった点や予想に反していた点などが重要な部分に存在していたわけでして(少なくとも、一般人の目にはそのように見えたわけでして)、「本当に、この指針にしたがっておけば、いざというときにもだいじょうぶなんだろうか?」との不安感を(このたびのブルドック最高裁決定との比較におきまして)一般の企業担当者の皆様にも与えることになったのではないでしょうか。

次にふたつめは、先日のブルドックソース最高裁決定が述べているところを補充したり、敷衍したりしながら法解釈を行い、もしくは最高裁決定からみて、防衛策発動要件の解釈指針を提示する、といったような、つまり裁判規範としての防衛策の適法要件の定立(法解釈)にあえて経済産業省内の研究組織が踏み込むことに狙いがあるのでしょうか。以前はライツプラン発動に関する裁判例がなかったわけでして、今回こういった目的で「発動の合法的要件を最高裁決定から探る」といった規範定立方法を、企業価値研究会が構築することも十分考えられるところであります。とりわけ「事前警告型ライツプランのあり方」というよりも「事後防衛策のあり方」に重心を置いた議論がなされるのであれば、M&Aルールを規範化しようとするものではなくて、むしろ最高裁決定の射程距離というものを法や判例の解釈によって限定、拡大していこうとされているようにも思われます。しかし、この考え方は巷間よく説明されているところの「法化社会」のあり方とは矛盾するのではないでしょうか。事前規制から事後規制へと向かう社会のあり方において、そもそも法の解釈によるルール定立は裁判所における裁判規範を通じての政策形成機能に期待すべきであり、立法機能によって事前規制をかけることは可能でありましても、無限に存在する前提事実を抜きにして、法の解釈指針だけで事前規制をかけることはナンセンスだと思います。これはノーアクションレター制度をみてもわかるとおり、法の解釈指針を示すことで行政が事前規制機能を発揮できるのは、詳細な前提事実が存在する場合のみ(つまり、その前提事実が正しい場合限り)であります。

そして三つめは、企業経営者への「檄」といいますか、取締役の善管注意義務違反となるリスクを少しでも軽減する、つまり、ひょっとすると防衛指針に従って防衛策を発動してしまうと、裁判において現経営者側が敗訴してしまうことになるかもしれませんが、それでも、これだけ日本のM&A実務をリードされておられる方々が大いに議論をして世に公表したものに従ったわけであるから、違法な防衛策発動によって不当にTOBが妨害されたり、発動後に権利行使が不当に制限されて、金銭補償すらしなかった相手から現経営陣が訴えられたとしても、おそらく「経営判断原則」で免責されますよ・・・、だからリーガルリスクは乏しいわけですから、どうか現経営者の皆様、頑張ってください、といったメッセージを世に送ることが狙いなのでしょうか。企業経営者の立場からすれば、この「檄文」的効果が一番ありがたいわけでして、私自身も社外役員という立場からすれば、たとえば独立第三者委員会としては、こういった立場から企業価値を考えるべきである・・・といった行動指針が盛り込まれていれば助かるなぁと思ったりしております。しかし、そこで出された指針というのは、現在の会社法と金融商品取引法と、独占禁止法、法人税法、企業会計制度といった法制度が不変であることを前提として、また予想されるべき事態というのも、おそらくモデルケース程度ではないかと思いますと、果たしてどこまで重大なリスクとなる前提事実を検討されているのか、という不安はあります。いわゆる内部統制でいうところの統制上の要点ですよね。敵対的買収局面における取締役の責任負担可能性をどこまで予想できて、それに対応可能な指針が策定されることはおよそ不可能だと思いますね。そのことは、今回のブルドック事件においても、たくさんの税務上の問題などが噴出したことからも明らかだと思います。

「法化社会」というのは、社会事象としての「紛争」を解決するにあたって、なんでもかんでも裁判(もしくは裁判的機能)に委ねることではなく、法的ルールに合理性があるかぎり、そのルールにしたがって紛争が(自律的もしくは他律的に)解決されうる社会のことを指すものであります。したがいまして、原則論としましては、企業価値研究会のようなところでM&Aの効率的活用が図られるための合理的ルールが定立されることにつきましてはおおいに賛成するところであります。今後はMBO指針のあり方を含めまして、この企業価値研究会の活動には大いに期待をしておりますので、いま一度、この研究会の成果はなにを目指しているのか、わかりやすくどなたか解説をしていただければ・・・と考えております。

10月 31, 2007 企業価値研究会「MBO報告書」 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年10月30日 (火)

食品表示偽装と内部統制システムの整備

(30日お昼 追記あり)

昨日はニフティのトップページでも当ブログを紹介していただきましたので、7500アクセス(PV)を超える新記録となりました。(どうもありがとうございますm(_ _)m )ただ、当ブログはアフィリエイトもございませんし、ブログランキングにも参加していない、普通のマニアックな法務ブログでありますので、また平常どおりのアクセス数に戻るような話題で参りたいと思っております。

さて、いつも内部統制の最新情報を発信しておられる丸山満彦先生のブログで「食品表示偽装と内部統制」に関するエントリーがアップされておりまして、たいへん参考になります。なるほど、米国のCOSOではなくカナダのCoCo基準では、内部統制の重要な目的のひとつとして「財務報告の信頼性」ではなく「情報の信頼性確保」が掲げられているのですね。(私は存じ上げませんでした)食品の消費期限に関する表示につきましても、これを企業が消費者に向けて発信する情報だと捉えますと、その表示の信頼性を確保することも内部統制システムの整備運用に関する問題と言えそうであります。最近の企業不正事例からしますと、財務報告の信頼性確保というよりも、もっと広く企業の発信する情報の信頼性確保のための内部統制・・・と捉えたほうがイメージが連想しやすいですし、会社法上の内部統制との親和性も高いのではないでしょうか。投資家が安心して市場に参加するための企業情報、消費者が安心して商品を選択できるための商品情報(製品情報)、改正会社法が積み残した問題とされている企業結合に関する情報など、どれをとりましても「何を開示するか」といった開示内容(実体)に関する統制と、「どうやって開示するか」といった開示手続きに関する統制は、企業情報の虚偽表示リスクを低減するためには欠かせないシステムだと考えております。そうは申しましても、とりあえず、J-SOX(財務報告に係る内部統制報告制度)は待ったなしの状態になっておりますので、財務報告に係る内部統制の整備運用については各企業におかれましては監査法人さんと協議のうえで尽力されることとして、J-SOXを超えた開示統制問題につきましても、コンプライアンスの視点から検討していただきたいところであります。

CoCo基準 カナダ勅許会計士協会の統制規準委員会(Criteria of Control Committee of the Canadian Institute of Chartered Accountants)が発表した「CoCo-統制モデル」(1995年)

ところで、昨日の船場吉兆の商品表示偽装問題でありますが、創業者一族の方々がそれぞれ(福岡と大阪で)謝罪会見を行い、商品販売を委託していた百貨店の社長も謝罪されておりまして、かなり対応は評価すべきものだと追記をしておりましたが、どうも私のなかでは、追加報道された内容からみましても、その謝罪会見における偽装に関する原因事実について未だ疑問を抱いているところであります。会社側の説明では、消費期限偽装が行われた天神フードパークに勤務していたアルバイト社員たちが、一存でラベルの取替えを行っていた、とのことのようでありまして、社員たる店長ですら表示の改ざんは知らなかった、とのことであります。しかし、本当にアルバイト社員の方々だけでそのような表示偽装が実行されるものでしょうか?アルバイトという立場にもかかわらず、商品在庫をできるだけ抱えないように・・・といった本部からの意向がプレッシャーとなっていたことのようでありますが、はたして消費期限切れ商品へ2000回以上も偽装表示を繰り返すインセンティブはアルバイト社員のどこにあるのでしょうか?普通はありえないはずですよね。このあたり、まだマスコミからのツッコミの要因となるような疑問点が解消されていないように思えますが、皆様いかがでしょうか。

(追記)上記疑問に関連する記事が朝日新聞ニュースに掲載されているようです。販売責任者のアルバイトの方が、天神フードパーク店のすべてを任されていたようですが、ただこういった販売体制のなかで商品一個一個の管理まで要求することは果たして可能なのでしょうか。内部統制の構築は現場のプロセスに実現困難な作業まで要求するべきではありませんし、それで販売体制における法令違背を厳守できないのであれば抜本的な販売体制の見直し(これは赤福問題でも議論されるところですが)が必要になってくるはずです。

私の住む堺の町には、千利休の時代から何代にもわたって和菓子を作り続けている老舗が何軒かありますが、「売り切れゴメン」体制でして、ひどいときにはお昼すぎにお店に行っても「もう売り切れました」。「あいかわらず時代遅れの大名商売やね・・・」と皮肉を言って帰ってくるときもあります。お客様に迷惑をかけないように、在庫や配送に気を遣うのか、お客様に評判が悪くても消費期限を守り、在庫は残さない体制を守るのか、基本的には二者択一の世界なんでしょうか、それともその調和点をどこかで見出すことはできるのでしょうか。赤福餅の販売休止をうけて、追い風が吹いたかにみえた伊勢の「御福餅」さんにもJAS法違反と食品衛生法違反の疑いで調査が入った、との報道に触れますと、本当にどこも組織的な関与がなかったとはいえないような気がしてまいりました。そのうち、健康被害が認められなかった食品衛生法違反、JAS法違反に関するマスコミや国民の関心が薄れていき、報道する価値も薄れ、そのころになって我も我もと自主申告が始まるような時代が到来するのかもしれませんし、そのような時期をすでに待っている企業もあるかもしれませんね。

10月 30, 2007 相次ぐ食品表示偽装 | | コメント (5) | トラックバック (1)

2007年10月29日 (月)

「吉兆」グループ会社に商品の偽装表示疑惑

(29日午後追記あり)

日曜深夜の朝日新聞ニュースで知りましたが、吉兆グループ会社の船場吉兆さん が消費期限の偽装表示で食品衛生法およびJAS法違反で調査を受けているとのこと。(こちらが朝日ニュースです。読売ニュースはこちら です。)本吉兆さんの高麗橋店は、ちょっと私のような者では、到底お昼さえ暖簾をくぐることはできませんが、船場吉兆さんのほうは、ときどき心斎橋OPA(オーパ)のお店は寄せていただいております。もちろん、関西におきましては、高級料亭の知名度はナンバー1でしょうから、このニュースはちょっと信じがたいところであります。匿名の通報に基づいて調査が開始されたようでありますが、これが社員の方によるものなのか、食品購入者等外部からの通報によるものかはまだ明らかではありません。また現時点での報道内容によりますと、従業員の一人が勝手に消費期限を偽装していたものであって、店長さんは知らなかったとのことでありますが・・・(?)

赤福社の消費期限切れ商品疑惑の第一報が報じられたときにも、同様のことを申し上げましたが、現場の担当者の判断による法令遵守違反行為が発覚した場合に、まさにこの第一報の時点こそ「これだけで事件が終結して、時の流れとともに消費者から企業不祥事の記憶が消えていくのか(たとえばホルスタイン牛を「和牛」と表示したいかりスーパーさんが典型的ではないでしょうか)」、それとも「別の不祥事が発覚したり、組織ぐるみの違反行為が判明することで、マスコミの標的となり、赤福社のような大きな問題に発展するか」の分水嶺でありまして、もしこのまま終結するということであれば、いったいどのような対応が功を奏したのか、といったあたり、企業の危機管理として注視すべきところであります。とくに最近の企業不祥事におきましては、たとえ第一報の不祥事報道疑惑に該当する事実だけが調査結果として認められる場合でも、その時点における行政機関やマスコミへの対応に不手際があった場合には、その「不手際」自体が「不祥事」と同等に評価されて、企業の信用を毀損するケースがありますので要注意だと思われます。

(29日午後 追記)

読売新聞ニュースによりますと、吉兆グループの創業家の方と、店舗の入っている百貨店トップの方お二人で謝罪会見を行ったそうであります。(大阪本店でも謝罪会見が行われた・・・とのこと)しかも、調査結果の数値も遡及性が認められるうえに具体的であり、現時点における偽装の原因事実も表明しておられるようです。今後のことはまだ流動的ではありますが、生命身体への消費者被害が報告されていない段階における不祥事企業の対応としてはほぼ100点満点に近いものではないでしょうか。「企業経営においてあってはならないこと」を企業自身が十分認識していることを、親会社のトップが(直ちに)自ら謝罪されたことで社会的にも誠意は理解してもらえそうです。しかし驚くべきことは、店舗のある百貨店の経営トップが同席されていることですよね。いままでこのような謝罪会見はありましたでしょうか?ちょっと私の記憶にはないのですが。岩田屋の経営理念に通じるところがあったり、「岩田屋で販売しているから信用しているのに・・・」と感じている消費者への謝罪の意味かもしれませんし、またほかの入店企業にも心してもらいたい・・・との気持ちからかもしれません。

10月 29, 2007 相次ぐ食品表示偽装 | | コメント (5) | トラックバック (2)

2007年10月28日 (日)

ジャッジ(島の裁判官)第3話への個人的感想

ひさしぶりに連続ドラマを欠かさず視ておりますが、本日の「ジャッジ(島の裁判官)第3話」も鼻水を流しながら涙して視ておりました。o(;△;)o

このドラマは一般人に戻って、その展開される人間ドラマと奄美大島の美しい風景に浸るのがよろしいかと思います。法律家として、本日のドラマをみておりますと、ちょっとビックリな場面がありました。

主人公(裁判官)曰く

「私はこれまでのあなたのお話や関係者のお話を聞いていて、まだ判決を書く自信がありません。」(殺人罪か嘱託殺人か)

(被告人に向かって真剣なまなざしで)

「どうか真実を話してください!」

ええ!!?( ̄□ ̄;)ガーン

だって裁判官は、裁判のはじめに「あなたには黙秘権がありますので、ここで、最初から最後まで黙っていてもかまいません。しかし、ここで話したことは有利にも不利にも証拠になりますので、そのつもりでお話してくださいね。」とおっしゃったではありませんか??

裁判官が被告人の黙秘権を侵害するとは前代未聞ではないでしょうか。これは裁判員制度が始まる直前に、国民に大きな誤解を与えるような気がいたします。

弁第1号証(被害者作成にかかるノート)の証拠提出方法についてもビックリでしたが、そんなことは専門的なお話でどうでもいいと思いますが、この黙秘権侵害はありえないのでは・・・・・・・・・・

あっ、でも次回は交通事故に関する刑事事件のようで、またたいへん興味深いテーマなんで、絶対に見逃しませんよぉ

10月 28, 2007 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (8) | トラックバック (1)

2007年10月27日 (土)

監視委員会事務局長氏の論文

(27日午前 追記あります)

ひさしぶりに素晴しい論文を読ませていただきました。ひとつ前の旬刊商事法務(合併号1812号)冒頭の「金融市場・市場監視当局の現状と今後の課題」であります。この論文の著者でいらっしゃる証券取引等監視委員会事務局長の内藤純一氏という方が、どのような方なのかはまったく存じ上げませんが、「秀逸」のひとことです。自分もこのような文章が書けたらなぁと(もちろん才能的に無理ですが・・・)思いますし、できれば一言一句をすべて暗誦できるようにして、このスタイルを盗みたいとも思うほどであります。論旨明解、長い論文の至るところに個人的意見が述べられているおもしろさ、構成の巧みさ、文章の美しさ、それらの結果から生まれる抜群の説得力・・・・・と、数え上げたらきりがありません。証券取引等監視委員会を取り巻く金融商品市場がどう変わろうとしているのか、そのなかで監視委員会はどういった組織であるべきか、どういった優先順位でなにを守ろうとしているのか、非常にわかりやすく意見が述べられております。私のような法律家が書く文章は他人様からツッコミを入れられてもだいじょうぶなように、「なお」「もっとも」「ただし」といった条件や例外を説明する接頭語のオンパレードとなってしまうことが多いのでありますが、この論文にはそのような「但し書き」が一切ありません。これが読みやすさの第一歩でありますし、著者の意見の説得力の裏づけではないかと思います。

上場企業におけるコンプライアンス経営、内部統制、開示統制などに興味をお持ちの方でしたら、(かなり長い論文ですが)ご一読をお勧めいたします。私も、この論文は何度も読み返すつもりであります。

(27日午前 追記)備忘録のような内容でありますが、NOVAのエントリーのコメント欄にも書かせていただきましたが、やはりJASDACはNOVAのような有償による新株予約権発行についても対応を早急に検討する方向のようであります(27日読売ニュース)。上記事務局長氏の論文でも新興企業向けの市場の対応についてのご意見が記載されており、新興企業自身が持つリスクの問題と、新興企業向けの市場の健全性を確保する問題とは「貯蓄から投資へ」といった観点からは全く別個であり、これを分けて検討する必要がある・・・と述べておられ、強く共感するところであります。金融庁ができること(プロ専用市場の創設も含めて)、取引所ができること、証券会社やVCができること、投資運用業者や助言業者ができること、そして自己責任の基礎になるもの、それぞれをどう分けて考えるか、こういったNOVAのような事案をもとに考えていきたいと思います。

10月 27, 2007 課徴金引き上げと法廷闘争の増加問題 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年10月26日 (金)

迷走するNOVA(倒産手続へ)

Nobausagi001

(26日午前9時半 追記あります)

(ご承知のとおり、26日早朝にNOVA社より会社更生手続き開始の申立および保全管理人選任に関する開示情報がでております。また、深夜4時台には、取締役解任等に関するリリースもあったようです。以下のエントリーは、会社更生法申立前に書かれたものでありますことをご承知おきください)

ここのところ、日経新聞すらまともに読めないほど、諸事情で忙しかったのでありますが、やっと一息ついて「まとめ読み」しておりましたら、やっぱりNOVAの件、ずいぶんとたいへんなことになっているようであります。新株予約権の発行に関する「迷走」が水曜日の日経朝刊なら、木曜日には監査役3名全員が辞任届けを提出、とあります(日経ニュースはこちらこちら。新聞では10月初旬に監査役の皆様が辞任届けを提出した、とありますので、10月9日に決議されました新株予約権発行決議とも関係があるかもしれませんね。そういえばEDINETで開示されております新株予約権発行届出書に添付されておりました取締役会議事録に、監査役3名の記名押印がありませんでしたので、「おかしいなぁ」と思っておりましたが(会社法369条3項、会社法施行規則101条)、すでに取締役会にはどなたも出席されていなかったのかもしれません。なお26日には、監査役不在の件で、緊急取締役会が開催されるようであります。(注 25日の報道ではそのようになっておりましたが、26日時点の報道内容のとおりです)上場企業において、取締役と対立した監査役が全員辞任する、というのはクレイフィッシュ社の件以来ではないでしょうかね。あのときは、大株主の通信会社主導で役員派遣を行って事態が収拾されたわけでありますが、NOVAの場合は70%以上の株式を代表者(グループ)が保有しているわけですから、すこし状況が異なるようであります。(会計監査人も困ってしまうでしょうね)

なお、常勤監査役と社外監査役合計3名全員が辞任届けを提出されたようですが、ご承知のとおり、会社法上は監査役さん方は辞任をしたとしましても、後任の方が決まるまでは監査役としての権利義務を有するわけですので(会社法346条1項)、とりあえず職務は継続する必要があります。本日(25日)、第三者割当てによります新株予約権の払込も完了したようでありますし、また緊急の役員会等も開催されるでしょうから、監査役として出席して、意見を述べる機会もあろうかと思います。ただ、監査役さんの発言によりますと、役員会を招集するよう社長に求めていたにもかかわらず、これを社長さんが無視しておられた、ということですから、もしこれが本当だとしますと、会社法383条2項違反のおそれもありますし、かなりヤバイ状況になっているのかもしれません。(なお、これは私自身の憶測にすぎません。投資行動におきましては、皆様方ご自身の責任においてご判断いただきますよう、お願いいたします)

詳細はまた追って検討することとして、ひとつ気になることがございます。私がオックスHDのMSワラントに関するエントリーは書けても、こっちの新株予約権についてはちょっと書きにくかった理由は、こちらの経営改革委員会がNOVA社には存在するからであります。(6月28日付け経営改革委員会設置のお知らせ)今年春の四季報におきましても、今年こそNOVA社はコンプライアンス体制の改善に尽力をする予定、とありましたので、このお知らせを読みまして、「これはスゴイ体制だなぁ。本腰を入れるんだなぁ」といたく感心をしていた次第であります。(改革委員として名前があがっておられる方の面子がスゴイです・・・・・汗)こういった方々が目を光らせて、NOVAのコンプライアンス体制を支援している、ということであれば、私などが頭をかしげるようなファイナンスであったとしましても、「きっとスキーム自体にはなんら法的な問題が発生しないという自信があるに違いない」(のでは?)と心の隅で考えていたからであります。しかしながら、この「お知らせ」では中間報告書や最終報告書の内容を公表するとあるにもかかわらず、その後リリースされました2つの「改善報告書」を詳細に確認しましても、どこにもそのような報告書が上がってきた形跡がないのであります。さらに、この「お知らせ」によりますと、この経営改革委員会というのは、取締役会もしくは経営トップが委嘱するものではなくて、委員会の公正性を担保するために監査役会が委嘱をするものとされております。ということは、今回、監査役全員が辞任されてしまいますと、監査役会自体が構成できなくなってしまいますので、この経営改革委員会はほとんど「宙ぶらりん」の状態になってしまうわけでありまして、存在自体、曖昧なものになってしまっております。さて、この経営改革委員会は現状どうなっているんでしょうかね?こういった日本を代表する著名な方々の報告書をぜひとも勉強させていただきたいと思っているのでありますが。。。

このメンバーの方々の信頼性からみて、株主のなかには、NOVAがコンプライアンス体制を本気で構築しているものと(私のように)確信している方も多いでしょうし、それが株価維持にも関連しているところが大きいように思えます。しかしながら8月、9月ころに予定されておりました中間報告も最終報告もなされていない、といった状態は、どう考えればよいのでしょうか。少なくとも、今回辞任届けを提出されていらっしゃる監査役の皆様方には、この経営改革委員会を直轄する監査役会の構成メンバーとして、せめてこの委員会の活動状況だけでも、至急株主に対して公開して説明すべきではないでしょうか。これは特別にNOVA社特有の問題ではなく、上場企業における監査役の職責として検討してほしいところであります。

(26日正午追記)全国の教室が一時閉鎖される、とのことで、たいへん深刻な状況でありますので、NOVAを揶揄するような題名を変更させていただきました。

10月 26, 2007 迷走するNOVA | | コメント (10) | トラックバック (3)

2007年10月24日 (水)

「夜のお菓子」工場見学決定!!

さすがに、赤福ネタはもうそろそろ「ええんじゃないか?」・・・というところまで来たようですし、このブログも通常ネタに戻す時期ではないかと思われますので、とりあえずこのあたりで赤福社の件につきましては一区切りとさせていただきます。ただ、監査役サポーターさんがおっしゃるように、この程度の規模の会社には、検証の対象とすべき内部統制は必要ないのでは?とのご意見につきましては、たしかに鋭いご意見だとは思いますが、いちおう従業員さんは700名以上と「会社概要」には記載されておりますし、売上は100億円を超える時期もあったようですし、また本社、名古屋、大阪とそれぞれ工場を配置している企業でありますから、米国SOX法の適用会社のうち、「簡易版COSOのガイダンス」で想定されている程度の規模はあるんじゃないでしょうか?(私自身はもうすこし赤福社の内部統制に関心を持ち続けたいと考えております。)

ただ、それにしましても、机上の理屈であれこれと空想していてもよくわからないところも多いので、私、来週の金曜日(11月2日)、「白い恋人」「赤福餅」と並ぶお土産品の定番商品「うなぎパイ」の工場見学を申し込むことに相成りました。(ちなみにHPはこちらです)この春華堂さんも、創業100年以上の老舗でありますし、企業規模も赤福社とかなり似ているように思いますので、ぜひとも伝統あるお菓子製造会社の内部統制システムについて勉強させていただきたいと存じます。経営トップの企業倫理というものが、どのようにお菓子製造に生かされているのか、ぜひ担当者の方に、いろんな質問をさせていただこうかと思っております。夏の近江八幡めぐりのときのように、また工場見学の折にはご報告させていただきます。(もちろん、ブログのネタのために私が浜松まで衝動的に向かうほどヒマではございませんよ。なぜ私が11月はじめに浜松へ向かうのか・・・・・、それは同業者の方であればすぐにおわかりですよね。。。(^^;;  )

うなぎパイといえば 夜のお菓子・・・・・

しかしこのHPを読みますと、「家族だんらんのひとときにみんなで食べてほしい」と願う気持ちから「夜のお菓子」と銘打ったんですね。これは存じ上げませんでした。私はてっきり「☆あっちのほう☆」とばかり思っておりました。

10月 24, 2007 商事系 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2007年10月23日 (火)

赤福から考える平時と有事のリスク管理

(23日午後 追記あります)

投資信託協会が公表された平成19年株主総会議決権行使アンケートの内容や、昨日の三宅伸吾さんの新刊への感想のつづきなど、エントリーしたいことはあるのですが、これだけ赤福関連のコメントをいただいておりますので、もう少しだけ続きを書かせていただきます。(このたびは、たくさんのご意見ありがとうございました。それにしても、上記アンケートの結果につきまして、投信委託業者が監査役選任に対して多くの反対票を投じている結果は意外です。原因についてはまた別の機会に分析してみたいと思っております)

株式会社赤福の代表者である濱田氏は慶應義塾大学商学部を卒業後に、2年ほど大手百貨店に勤務した後、赤福に戻っておられますので、もうかれこれ20年ほど、赤福の経営に参画しておられるようです。おそらく赤福入社の頃は、いくら先代社長の御曹司(ご長男)といいましても、20代の若造ですから、現場での経験などは、おそらく積んでおられると思います。したがいまして、もし問題となっております「まき直し」「むきあん」「むきもち」が30数年前から現場で恒常化していたものであるならば、おそらく現社長の濱田氏は当時から社内の慣行については知っていたのではないか・・・とも考えられそうであります。ところで、今回の赤福社の不祥事の特徴といいますのは、この30数年前から・・・という非常に長期間にわたって繰り返されていたことなんでしょうね。こんなに長い期間となりますと、「なぜこういった消費者を騙すようなことをしたのか?」と問うことすら、なんだか空しい気もいたします。いまから30年も前ということになりますと、「食の安全、安心」ということが今とは比較にならないほどに軽んじられて当然だった時代だと思いますし、ひょっとしたら「どこでもやっていること」ぐらいに当たり前のことだったのかもしれません。消費者を騙す・・・といった感覚も、今の時代だからこそ言えるのであって、当時はまったく騙すような感覚すら覚えておられないのかもしれません。実際のところ「もったいない」程度の動機によって繰り返されてきたんじゃないかと思います。したがいまして、この赤福問題を論じるにあたりましては、「なぜまき直しをしたのか」と問うことはあまり意味がな