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2007年10月 7日 (日)

NHK土曜ドラマ「ジャッジ」(島の裁判官)

(10月7日深夜 追記あり)

金融庁「Q&A」のエントリーには、たくさんのコメントをいただき、ありがとうございました。私自身、コメントを拝読して、新たに多くのことを学びましたし、また新たな疑問も湧いてまいりました。また、引き続き続編も書かせていただきますので、皆様の活発なご議論の「とっかかり」にしていただけましたら幸いです。なお、まだまだここ二日ほど、新たなコメントを頂戴しておりますので、私からも追って追加コメントを書かせていただきます。きょうは連休ということで、ビジネス法務以外の話題とさせていただきます。

さて、ろじゃあさんが試写会に行かれた、とのことで、私も楽しみにしておりましたNHK土曜ドラマ「ジャッジ(島の裁判官 奮闘記) 」の第1回(全5回)をビデオ録画(って、うちはまだVHSの巻き戻しのやつです・・・・・(^^;  )で視ました。これは間違いなく第5回まで、全部視ると思います。(笑)毎度、こういった法廷モノのドラマを視ますと、「ここが間違ってるぞ~」とか「こんなのありえねぇ~」といった視点で批判したくなるところでありますが、そんなことはまったく気にならないほど、人間ドラマの描き方がうまいですね。

しかしこの主人公の裁判官、シチュエーションはかなりリアルやわぁ・・・

大阪地裁の知財専門部(知的財産部)から「島の裁判官」って、これ、実際ありますよね。ご承知の方も多いかとは思いますが、知財専門部(ドラマでは3人でしたが、実際は6名ほどの裁判官が在籍。ただし、大阪には現在ふたつの知財専門部あり)の裁判官はかなり優秀な方々ですから、司法行政(最高裁事務局とか)を拝命される方もいらっしゃるでしょうが、こういった地方の支部長として赴任される方もなかにはいらっしゃいます。これまで双方に大手の法律事務所の代理人が就任している民事事件(特許、営業秘密、不正競争防止法関連等)を処理されていた裁判官が、いきなり本人訴訟を含む一般民事、保全、刑事、家事調停(離婚や相続、少年事件)、破産、令状そして支部行政と、なんでもこなさないといけないわけですから、これはたいへんな状況になってしまうのであります。(そういえば「当直」って、どうされているんでしょうかね?)ただ、たった2年ほどではありますが、こういった「島の裁判官」の経験が、今後のエリートコースを歩む裁判官にとっても、非常に貴重な体験になるわけでして、そこに「光」をあてたドラマの基本設計はかなり秀逸だと思います。一般の方には、そもそも裁判官の生活というものがあまり認知されていないところでありますが、このドラマはかなり現実の裁判官の生活に近いところで勝負しようとしておられるようで、今後の展開に大いに期待をしております。(しかし、裁判官の実生活に近いぶん、裁判官がご夫婦で視た場合に、かなり笑えないところもあるかも・・・)

さてこのドラマ、裁判官家族の人間ドラマが中心となって展開されていくものと思いますが、ぜひ一般の方に知っていただきたいのは的場浩二さんが演じる「家事調査官」「少年調査官」といった立場の方々です。漫画などではスポットがあたっているのかもしれませんが、家事少年事件にとって、実際、これほど重要な立場の方はおられません。私が少年事件の付添人(刑事事件における弁護人のような立場)に就任した場合、裁判官はほとんど意識せず、ただひたすら時間があれば調査官に会いにいきます。調査官をどこまで説得し、調査官とどこまで真剣に少年の将来について考えることができるか、というところが付添人の仕事のすべてだといっても過言ではないと思います。(もちろん、被害者等存在する場合には示談交渉も大切ですが、そういった示談交渉の進捗も、少年の家庭環境等にも影響します)さっそく、第1回から、裁判官と調査官の葛藤がありましたが、あれもけっこうリアルなところでして、おそらく実務では、もっと調査官の意見を裁判官は尊重する場面が多いと思います。

それから、傍聴席の家族に見守られながら、傷害事件の被告人が主人公の裁判官より懲役10月(未決勾留算入30日)を言い渡されるシーンがあり、子供から鬼のような目で見つめられるシーンがありましたが、もともと執行猶予中の犯行ゆえ、実刑は十分にありうる事案でしょう。(もちろん、ダブルで執行猶予がつく可能性はありますが)もし恨むのであれば、あの寺田農さん演じる「酒乱」弁護士です。執行猶予中の被告人の刑事弁護は、たとえ国選事件であっても、他の事件以上に神経を使います。おそらく最高裁までみすえた上で弁護計画をたてるはずです。(また、一審で実刑となっても、控訴審で被害弁償や家族の情状証人で執行猶予がつく可能性も十分にあります)したがいまして、裁判官から指摘を受けるまで、執行猶予中の犯行であったことを知らない、などといった弁護人はありえないと思いますが、「弁護人があの程度の弁護しかしない」といった認識を一般の方にもたれてしまうのではないか、というところがちょっと心配になりました。(あっ、すいません。最後はやっぱり「ありえねぇ~」になってしまいました。。。)

※ どうも私の予感では、あの「酒乱弁護士」さん、寺田農さんが演じているというところをみると、第3回とか4回あたりで、この若い裁判官に何かを教える・・・といった展開になるのではなかろうかと。。。

(追記)知財専門部といえば、今日の産経新聞ニュースによりますと、ピンクレディーのおふたり(ミーちゃん、ケイちゃん)が、「ウォンテッド」の振り付け写真を雑誌に勝手に使用されたとして、振り付けのパブリシティ権侵害を根拠として出版社を相手に損害賠償請求訴訟を提起されたそうであります。パブリシティ権は、人格権に基づく著名人の経済的権利との位置づけが通説判例でありますが、これは名誉毀損を扱う裁判所なのか、知財を扱う裁判所なのか、とすこし疑問を持ちますが、平成14年の馬名のパブリシティ権問題については知財専門部(東京地裁)が扱っておられたようですので、やはり知財部で扱われているんでしょうね。しかし、この著名人のパブリシティ権でありますが、これが頻繁に著名人個人の経済的利益として認められるようになりますと、今度は著名人の名義貸しについても、ぎゃくに著名人には厳しい責任が問われることになりませんでしょうかね?利益の帰属するところ、責任も当然に帰属するわけですから、L&G事件ではありませんが、自分の名前を商品販売に使用許諾しているようなケースでは、出演していた著名人自身にも商品調査責任のようなものが発生するかもしれませんよね。

10月 7, 2007 未完成にひとしいエントリー記事 |

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» 「法廷の窓」という記号:「ジャッジ」第一話いかがでしたでしょうか(2) トラックバック 法務の国のろじゃあ
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受信: 2007年10月 7日 (日) 11時01分

» ジャッジ トラックバック 私の記録(since 2004)
NHKドラマの「ジャッジ」という番組に何故かはまっている。 弁護士とか検事を取り扱ったドラマは多い。 しかし,裁判官をテーマにした番組はあまりない。 主人公の裁判官は鹿児島県の南に浮かぶ大美島(仮名)に赴任した。島でただ一人の裁判官であり,裁判所の支部...... [続きを読む]

受信: 2007年10月30日 (火) 21時57分

コメント

こんにちは、toshiさん
ろじゃあです。
ご指摘の通り、設定自体は結構よく練られてると思います。
的場さんの位置づけは確かに重要ですよね。この方のこのキャラ、サイドストーリーとして独立したお話が出来るのではないかと思うくらいの存在感があると思います。
寺田農さんは・・・まだ、どんな感じになるのか分からないですよね。
でもなんか、いい味出してますよね。
NHKはさすがにキャスティングについて裁量が大きいというか質的に豪華な状態になってると思いました。
「窓」の件で感じたエントリーもTBさせていただきましたんでご意見伺えればと。
それでは失礼いたします。

投稿: ろじゃあ | 2007年10月 7日 (日) 11時08分

私も、「リアル~!」と何回か叫びながらドラマを見ていました。
刑事事件の弁護については全く同感です。ただ、あのような弁護人も皆無ではないように思います。
家事事件に関しては、調査官が「子どもは母を嫌っている」との父の言い分を鵜呑みにして、子と母とを会わせることを渋るというのは、ちょっと疑問に思いました。ただ、調査官の意見に反対だからと裁判官が自分の考えだけで突っ走る、というのでは困りますね・・・。疑問点があれば質しつつも、調査官の考えの根拠もじっくり聞き、妥当な解決策を模索していくものだと思います。そもそもどちらが正しいか「勝ち負け」を決めるような問題でもないでしょうし。
何はともあれ、今後の展開も見逃せません。

投稿: curiousjudge | 2007年10月 7日 (日) 16時56分

>ろじゃあさん

最近の「ジャッジ」に関するエントリーは読ませていただいております。法廷の「窓」に関する ろじゃあさん の意見はなかなかおもしろいと思います。(現実には、法廷に窓のあるところは尼崎支部など、いくつか散見されますが)ドラマのなかでは、そういった意味も込められているのかもしれませんね。これからの展開のなかで、またきっと「窓」に込められた意味がわかるようなシーンが出てくるかもしれませんので、注意して視ておきますね。予告ですこし出ていましたが、第2回は少年事件がらみのようですね。少年事件と裁判官の関係など、なかなかいままでのドラマでは見ることができなかったところなんで、楽しみにしております。

>curiousjudgeさん

はじめまして。コメントありがとうございました。(40期代の判事さんがブログをお書きになっておられたとは存じ上げませんでした。エントリーのなかで、少し現役判事さんには失礼な言い方がされておりますが、ご容赦ください。しかし40期代とは、とても親近感が湧きますね・・)おそらく現役裁判官の方からみた「ジャッジ」というものは、また弁護士の立場からみるのとは違った印象を持たれるでしょうね。関心がありますのは、支部長として赴任されて、その裁判所のスタッフの方々と、どうやってコミュニケーションをはかっていかれるのか?人間どうしですから、きっと「合う人」と「合わない人」とが出てくるのはやむをえないとしても、そこでどう割り切ってプロ集団としての仕事をまっとうしていくのか、在野としてはとても興味があります。私が「ジャッジ」をみておりまして、そのあたりが「リアルか、そうでないのか」理解できないところであります。
そちらのブログも今後、拝見させていただこうかと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

投稿: toshi | 2007年10月 8日 (月) 01時54分

toshiさんへ
窓の件、他にもある裁判所あるのですか(@@;)。
知りませんでした。
NHKがこの番組を作ることに何がしかの意義があるのではないかというところから入ったこの番組への興味ですが、結構、はまってしまっているのが笑えるところでして。
他に書かなきゃいけないことも沢山あるのですがね(苦笑)。
またお邪魔します。

投稿: ろじゃあ | 2007年10月11日 (木) 09時45分

>ろじゃあさん

いえいえ、ドラマを拝見して、主人公が「窓のある法廷」にビックリしているシーンがありましたので、おそらくろじゃあさんのご推察は当たっていると思いますよ。ろじゃあさんのブログ経由で、いくつかのブログを閲覧できて、たいへん楽しいですよ。(笑)
一般の方にとって、裁判官の仕事がどのように映るのか、とても興味があります。また明後日の放映、楽しみにしております。

投稿: toshi | 2007年10月11日 (木) 13時33分

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