ジャッジ(島の裁判官)第3話への個人的感想
ひさしぶりに連続ドラマを欠かさず視ておりますが、本日の「ジャッジ(島の裁判官)第3話」も鼻水を流しながら涙して視ておりました。o(;△;)o
このドラマは一般人に戻って、その展開される人間ドラマと奄美大島の美しい風景に浸るのがよろしいかと思います。法律家として、本日のドラマをみておりますと、ちょっとビックリな場面がありました。
主人公(裁判官)曰く
「私はこれまでのあなたのお話や関係者のお話を聞いていて、まだ判決を書く自信がありません。」(殺人罪か嘱託殺人か)
(被告人に向かって真剣なまなざしで)
「どうか真実を話してください!」
ええ!!?( ̄□ ̄;)ガーン
だって裁判官は、裁判のはじめに「あなたには黙秘権がありますので、ここで、最初から最後まで黙っていてもかまいません。しかし、ここで話したことは有利にも不利にも証拠になりますので、そのつもりでお話してくださいね。」とおっしゃったではありませんか??
裁判官が被告人の黙秘権を侵害するとは前代未聞ではないでしょうか。これは裁判員制度が始まる直前に、国民に大きな誤解を与えるような気がいたします。
弁第1号証(被害者作成にかかるノート)の証拠提出方法についてもビックリでしたが、そんなことは専門的なお話でどうでもいいと思いますが、この黙秘権侵害はありえないのでは・・・・・・・・・・
あっ、でも次回は交通事故に関する刑事事件のようで、またたいへん興味深いテーマなんで、絶対に見逃しませんよぉ
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コメント
toshiさま
お、お父さん、そ、それは言わない約束よ・・・ちば(^^;)。
設定と仮想の許容限度のお話ということなんだろうと思いますので。
投稿: ろじゃあ | 2007年10月28日 (日) 11時11分
裁判員制度につきましては、きょうの各新聞でも上戸彩さんがニッコリ顔で広報されていましたし、とりあえず裁判官というものを親しみやすい存在として紹介しているドラマだということで・・・・これ以上のツッコミは差し控えますね(笑)とりあえずドラマ自体は大好きなんで。しかし検察サイドからみたら、かなり心外な点が多いようにも思えるのですが・・・
投稿: toshi | 2007年10月28日 (日) 22時25分
TVドラマにそんなに目くじらをたてなくも・・・というのもご尤もでしょうが、ご指摘のとおり、この第3話に関する限りかなりヒドイですね。思わず、最後に流れる「法律監修」ご担当の弁護士の方の氏名をしっかり記憶に留めてしまいましたよ。
裁判官が主人公なので(かつ、その主人公の私生活上の”課題”みたいなものとオーバーラップさせる意図があったようなので)致し方ないのかもしれませんが、同じ筋書を弁護人や証人に語らせる表現手法はなかったものか、と・・・。
あとそれから、最近の相場観が判らないんですが、こういう状況下の殺人事件なら、嘱託殺人と構成しなくても執行猶予は付けられるんじゃないんでしょうか? 記憶がちょっと曖昧ですが、左陪席の女性判事補が「人一人殺してるんだから実刑は免れない」っていうような主旨のことを吐き捨てるように言っていたようにも思いますが、そういうものなんでしょうか?
いずれにせよ、こういう点を”過少評価”することを潔しとしない立場からは、今後裁判員制度が始まるにあたって、あんまり好ましいこととは言えないのではないかと思います(サブリミナル効果っていうのもありますし・・・)。
投稿: 監査役サポーター | 2007年10月28日 (日) 22時37分
ずいぶんと鋭いご質問ですね・・・(^^;
このブログではお話したことはございませんが、いまから10年ほど前、私が担当した刑事事件(妻が長年介護してきた夫を殺害した事件・・・刑事事件進行中から読売新聞で特集記事が組まれましたので、判決日は抽選傍聴事件となりました)では、大阪地裁で、弁護人側の「傷害致死」の主張は受け入れられませんでしたが、「殺人罪の既遂」で懲役3年(執行猶予5年)の判決となりました。(検察側控訴せず確定)淀川の堤防を、ひなたぼっこしながら車椅子を押している被告人の情景を弁論要旨で陳述しながら、不覚にもこらえきれずに泣いてしまったことを思い出します。
たしかに、刑法199条の既遂事件で執行猶予付き判決というのはむずかしいのは事実でありますが、事案によっては可能であります。ぎゃくにいえば、3人を殺害しない被告人でも、事案によっては死刑を宣告されるような場合もありうるわけでして、199条を支える社会背景が微妙に変容していることも寄与しているのではないでしょうか。
投稿: toshi | 2007年10月28日 (日) 23時05分
上で言及されている事件はTVで拝見しました。
toshiさんが弁護人をされていたんですね・・・
「ジャッジ」の第三話で私が引っかかったのは、鹿児島から合議裁判官が繰るとはいえ、裁判官は家庭の事情で期日を延期してはいけないのか、ということです。
期日の設定に際して「差し支え」のひとことで遅延行為に近いくらいの期日の設定延期をする弁護士や、異動間近を悟ってあきらかに「一回休み」のような訴訟指揮をする裁判官が散見される中で、主人公は過剰に真面目なような感じがするのですが・・・
ところで上のコメントでも言及されていましたが、「量刑の相場」というのは裁判員制度導入後においてはどういう位置づけになるのでしょうか?
アメリカの陪審制度とは違い裁判員も量刑に関与するので、裁判員が相場からはずれた量刑を主張した場合に、裁判官は相場観を説明して是正するように動くのか、それとも従前の相場は無視しても「市民感覚」(これは軽重両方にふれると思いますが)を優先するのでしょうか?
投稿: go2c | 2007年10月28日 (日) 23時48分
go2cさん、おひさしぶりです。そちらのブログでは時々コメントさせていただいております。
>上で言及されている事件はTVで拝見しました。
toshiさんが弁護人をされていたんですね・・・<
たしかテレビドラマ化のときはお酒の名前がタイトルについていましたが、なぜ酒の名前がついているのか、という点は事件を詳細に知らないとわからなかったと思います。
期日延期の件ですが、あの島に数名の裁判官がいらっしゃるのであれば、延期も可能だったと思うのですが、私が第1話から気にしておりました「令状当番」の件がひっかかりますね。もし、数日、島を空けるとしたら、あの島で逮捕令状や勾留状が発令されなくなってしまいますよね。もちろん「どうしても」という場合には、おそらく鹿児島の本庁へ連絡をして、填補裁判官に来てもらうことになると思いますが、お母様の入院手術という時点で、鹿児島から数日間あの島に宿泊する裁判官の補填をお願いできるものかどうか・・・・、このあたりが微妙なところではないかと思います。
あと、量刑の相場ですが、たしか実務の運用では、裁判官が裁判員に対して「量刑相場表」に基づく示唆をされるのではないでしょうか?量刑相場表自体を裁判員に開示することはないらしく、裁判官による説明がなされる・・・と聞き及んでおりますが(もし、間違っておりましたら、どなたか訂正をお願いいたします)
投稿: toshi | 2007年10月29日 (月) 00時28分
あのー、「いろんな裁判官がいますよ。いろんな裁判がありますよー」と
いうようなことをネタにした書籍がいくつか刊行されてますが、
そういうのを(ちらっとですが)読む限り、
このドラマの判事の言動はぜんぜんノーマルではないかと(笑)。
ご指摘の点は私も「あっ」とは思いましたが。
皆さまは大ヒット中の映画版『HERO』などをご覧になったかたは
おられますでしょうか?
あくまでも純粋なエンターテイメントですし、作り手の側が「分かってて
曲げていること」も多いので、それこそ目くじらを立てるのも馬鹿馬鹿
しい限りですが、『ジャッジ』のまだ比較的真摯なプロットにさえ驚いて
おられるようですと、この映画をご覧になったらたぶん皆さまは
発狂されるかもしれません(笑)。
でもね、それを何百万人もの人間が観てるんですよ。TV放送時も
考えると何千万人です。
裁判員制度のことを気にされているのなら、例えばこういう映画に対して
こそ法曹関係者として批判をされていくべきではないかと
例によってエラソーに思うものであります(笑)。ごめんなさい。
裁判員制度とドラマといえば、先日放送された『相棒』(テレビ朝日)の
新シリーズの第1回目は「裁判員制度が先行試行された」という設定で
ありました。石橋凌演じる担当裁判官が実は裁判員制度に内心反対して
いてそれが事件に結びつくという展開でした。
投稿: 機野 | 2007年10月29日 (月) 09時34分
機野さん、ご意見ありがとうございます。
そういえば、今朝のニュースによりますと、沖永良部島で2名の変死体が見つかったとのことで、捜査本部が設置されたようです。いま、管轄を調べたところ、これも舞台となっている島の裁判官の管轄なんですよね。(和泊町、知名町)
捜索差押令状や逮捕令状など、裁判官がいなければ捜査も進まないようなところで、もし裁判官が病欠しちゃったらどうなるんだろう、捜査員は鹿児島本庁まで出向いて、令状をもらうんだろうか・・・などと考えてしまいました。
投稿: toshi | 2007年10月29日 (月) 12時40分