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2007年10月17日 (水)

続・「赤福」からコンプライアンス経営を考える

昨日の皆様方からのコメントに返事を書くだけで、いつものエントリー以上の時間を費やしてしましました。(@_@;; 安鳴りさん、ちょうど時間的にコメントがかぶってしまって、ゴメンなさいです。。。ひとつ申し上げたいことは、昨日の私のエントリーは(エントリーのなかにも書いておりますとおり)企業の持続的成長のためにはどう考えるべきか、といった視点を盛り込んでおりますので、有事対応という点(特にマスコミ対策)には触れておりません。そのあたりは一応、整理して考えておく必要があろうかと思います。

もし赤福社の問題をクライシスマネジメントという視点から捉えた場合、m.nさんへのコメントにも書かせていただきましたが、赤福社が不二家さんや石屋製菓さんと同じ道を辿るかどうかは、いわゆる「やぶへびコンプライアンス」にかかってくると思いますし、ここからが本当の正念場だと思います。要は①製造年月日、消費期限の不適切な表示以外の「不祥事」がこれから赤福に発覚するかどうか(この点で、マスコミの力を甘くみてはいけません)②マスコミの騒ぎを沈静化させるほどの「赤福頑張れ」コールが、一般市民から聞こえてくるかどうか、この2点につきるように思います。社長さんのキャラがツッコミどころ満載!のほうが、マスコミネタとしてはウケがいいですよね。だとすれば、こういった有事対応としましては、社長はまずはきちんと謝罪会見を行ったうえで、あとはあまり露出されないほうが好ましいかもしれません。(ただし、不祥事によって、国民の生命、身体、財産への被害が拡大しているような場合はまったく別でありますよ)

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コメント

赤福餅は私も大好きで、かつてはよく食べました。

今回は、製造日表示上の問題のみで、その他には、今のところ不都合は出ていません。冷凍保存した製品で、食中毒や風味上の問題も出て来ていません。

冷凍保存解凍した製品を出荷してもいいかどうかについては、本来相当なる試験を実施し、確認した後にすべきものでしょう。しかし、今からそれをやる必要もないでしょう。30年の実績から、それは実証済と考えてよいのではないでしょうか。

赤福餅の場合、成分からして、保存中腐敗するより前に風味が落ちるでしょうから、食中毒は起こらなかったのではないでしょうか。

とすれば、表示が不適切であったとして、謝罪の上、今後表示をどうするかということでしょう。

社会の要求水準は時代と共に変わります。30年前に冷凍保存のことが世間に知れたとして、何も問題にならなかったのではないかと想像します。しかし、今では問題であるとすれば、いつの時点で表示を変えればよかったかという問題ではないでしょうか。多分、製造日を表示しなくてよくなった時ではないでしょうか。

かつて、医薬品で実際にあった事例。外国で瓶詰製造された上、国内に輸入し、検査、包装、出荷していましたが、当局から認めれれた保存期限が短かったため、外国で製造・瓶詰めした時点ではなく、国内で検査・最終包装した時点を製造日、それから起算して、使用期限としていました。そのために、安全性上の問題は生じませんでしたし、患者の貴重な生命も救われたと考えていますが、道義上、良心の呵責を感じないわけではありません。

投稿: yoshi | 2007年10月17日 (水) 10時54分

先生、昨日のコメントありがとうございます。

確かに仰るとおり、今回の赤福事件については、他の食品会社不祥事のようにマスコミはあまり取り上げていないですよね。やはり人命に拘わることがなかったり、社長さんのキャラが薄かったりすると叩きがいもないから、大きな追加の不祥事がない限りこのまま収束するのかもしれませんね。

となると、今回の赤福の偽装事件というのは何が一番の問題だったんでしょうか?コンプライアンスの問題なのか、CSRの問題なのか。

両者は確かに密接不可分の関係にあるので、どちらの問題なのか、というのはあまり意味がないのかもしれませんが、今回の場合はコンプライアンス上の問題があったとはいえ、その違法行為が消費者に被害を与えるものではなかったです(もしかしたら、冷凍・解凍をする際に何回もテストをして風味・ばい菌の量ともに問題がないことを証明した上でやり始めたかもしれませんし)。

しかし、CSR的に(倫理的に)「いくら安全性に自信があったとしても虚偽記載をしてお客様を騙すことは駄目」と考えるべきなのにしなかったというのが大きい問題なのではないかと思います。

投稿: m.n | 2007年10月17日 (水) 21時57分

yoshiさん、m.nさん、コメントありがとうございました。
なるほど、医薬品に関する事実をお聴きしますと、今後の赤福社の対応等にも参考になりそうですね。形式的な法文や基準の解釈の問題と、(たとえ形式的には法令違反が認められても)実質的な非難可能性の問題とに分けて考えることも可能かもしれません。
本日の読売新聞ニュースでは、品質表示に関する告発がものすごく急増しているようで、行政も対応に追われているとのことであります。これまでは新聞ネタになることが少なかったために、発覚すれば大問題として扱われ、統廃合にまで追い詰められてしまった「表示偽装問題」でありますが、次から次へと品質表示疑惑が報道されれば、近時の「個人情報紛失問題」と同じで、誠意をもって謝罪すれば「おしまい」(すくなくとも表向きには)となってしまう「不祥事類型」に変わっていくのかもしれません。それが良いのか、悪いのかは、また議論してみたいですね。

投稿: toshi | 2007年10月18日 (木) 17時17分

新たな事実が出てきたようですね。

県(食品衛生法)と国(JAS法)の関係? 
単なる表示の問題?

・・・じゃないよね、という方向です(それにしても内部告発は恐ろしい)。

先回の「まき直し」に続いて、今度は「むき餡」「むき餅」ですか・・・
今だから言うわけではないんですが、「まき直し」というネーミング(コード・ネームとでも呼ぶべきでしょうか)を聞いたとき(あともう一つ、冷凍・解凍商品の「製造」日付のアトに「.(点)」を付記するというやり方も)、これは善意じゃないな、となんとなく胡散臭いものを感じました。

こういうちょっとふざけた、あるいは茶化したような、またはキャッチィな(それだけに言い得て妙だったりするんですが)社内用語を使う場面って、結構色々な意味で「まずい」場合が多いんですよね・・・。

続報を見守りたいですね。

投稿: 監査役サポーター | 2007年10月19日 (金) 00時16分

http://news.www.infoseek.co.jp/search/story/18yomiuri20071018i315/%25C0%25D6%25CA%25A1/

出てしまいましたね。売れ残り品の回収後再出荷事件。

亀田ではないですが、手のひら返しのような事態になるのでしょうか?


もちろん決められたことを守らない、顧客をだましていた、ということが最大の元凶ですが、ルールそのものが厳しすぎないのか、妥当な範囲の拡大がありえないのか、といった面もバランスをとってマスコミも問題定義してほしいものです(今回の赤福の件が、該当するか専門的にはわかりませんが)。ややyoshiさんに近い意見ですが。

http://plaza.rakuten.co.jp/gonchan02/diary/200708080000/

厚労省では、輸入食品の残留農薬問題などでは

「食べても健康被害が及ばないものの、ちょっとキモいので、とりあえず、輸入禁止にする」

みたいな面もありますから。

C型肝炎問題や年金問題のあの体質ですし。

しかし、サブプライムでも危機管理においても「ごめんなさい、もうありません」とクリアに出来ることが、一番望まれることのような気がしました。

欧米の銀行株は悪材料が出尽くしたような印象があるようです(もっともあちらの経営者は常にクラスアクションと戦うため、誠実なインセンティブが働きやすい側面がありますが)。

日本人が何かと得意とする「小出し、小出し」はよくないですね。

投稿: katsu | 2007年10月19日 (金) 01時03分

監査役サポーターさん、katsuさん

残念ながら出てしまいました。
私は、「いかりスーパー」の件と赤福とを並べて、危機管理の成功例としてエントリーする方向で検討しておりましたので、本当に残念です。

投稿: toshi | 2007年10月19日 (金) 03時34分

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