「吉兆」グループ会社に商品の偽装表示疑惑
(29日午後追記あり)
日曜深夜の朝日新聞ニュースで知りましたが、吉兆グループ会社の船場吉兆さん が消費期限の偽装表示で食品衛生法およびJAS法違反で調査を受けているとのこと。(こちらが朝日ニュースです。読売ニュースはこちら です。)本吉兆さんの高麗橋店は、ちょっと私のような者では、到底お昼さえ暖簾をくぐることはできませんが、船場吉兆さんのほうは、ときどき心斎橋OPA(オーパ)のお店は寄せていただいております。もちろん、関西におきましては、高級料亭の知名度はナンバー1でしょうから、このニュースはちょっと信じがたいところであります。匿名の通報に基づいて調査が開始されたようでありますが、これが社員の方によるものなのか、食品購入者等外部からの通報によるものかはまだ明らかではありません。また現時点での報道内容によりますと、従業員の一人が勝手に消費期限を偽装していたものであって、店長さんは知らなかったとのことでありますが・・・(?)
赤福社の消費期限切れ商品疑惑の第一報が報じられたときにも、同様のことを申し上げましたが、現場の担当者の判断による法令遵守違反行為が発覚した場合に、まさにこの第一報の時点こそ「これだけで事件が終結して、時の流れとともに消費者から企業不祥事の記憶が消えていくのか(たとえばホルスタイン牛を「和牛」と表示したいかりスーパーさんが典型的ではないでしょうか)」、それとも「別の不祥事が発覚したり、組織ぐるみの違反行為が判明することで、マスコミの標的となり、赤福社のような大きな問題に発展するか」の分水嶺でありまして、もしこのまま終結するということであれば、いったいどのような対応が功を奏したのか、といったあたり、企業の危機管理として注視すべきところであります。とくに最近の企業不祥事におきましては、たとえ第一報の不祥事報道疑惑に該当する事実だけが調査結果として認められる場合でも、その時点における行政機関やマスコミへの対応に不手際があった場合には、その「不手際」自体が「不祥事」と同等に評価されて、企業の信用を毀損するケースがありますので要注意だと思われます。
(29日午後 追記)
読売新聞ニュースによりますと、吉兆グループの創業家の方と、店舗の入っている百貨店トップの方お二人で謝罪会見を行ったそうであります。(大阪本店でも謝罪会見が行われた・・・とのこと)しかも、調査結果の数値も遡及性が認められるうえに具体的であり、現時点における偽装の原因事実も表明しておられるようです。今後のことはまだ流動的ではありますが、生命身体への消費者被害が報告されていない段階における不祥事企業の対応としてはほぼ100点満点に近いものではないでしょうか。「企業経営においてあってはならないこと」を企業自身が十分認識していることを、親会社のトップが(直ちに)自ら謝罪されたことで社会的にも誠意は理解してもらえそうです。しかし驚くべきことは、店舗のある百貨店の経営トップが同席されていることですよね。いままでこのような謝罪会見はありましたでしょうか?ちょっと私の記憶にはないのですが。岩田屋の経営理念に通じるところがあったり、「岩田屋で販売しているから信用しているのに・・・」と感じている消費者への謝罪の意味かもしれませんし、またほかの入店企業にも心してもらいたい・・・との気持ちからかもしれません。
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コメント
@niftyトップページ「旬の話題ブログ」コーナーにて、
本ページの記事を紹介させて頂きました。
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半年間、ご覧いただけます。
残念な事件ですね。。
こういう事件は、誰か1人が悪いというよりは、全体的なモラルの問題なのかなぁ、とあらためて考えさせられました。
「そんなことをしたら、消費者を裏切ることになるよ」言った人もきっと中にはいて、でもそういう声が売上げやノルマといった圧力の中で消えざるを得なくなってしまったのかもしれません。。。
企業として、お客様の立場に常に立って考えるという姿勢が本当に重要だと、自分達の身を振り返りながら実感しています。
大切なことを考えるきっかけをありがとうございます。
今後も旬な話題の記事を楽しみにしておりますので、
引き続き@niftyをご愛顧の程、よろしくお願い致します。
ありがとうございました。
@nifty「旬の話題ブログ」スタッフ
投稿: 「旬の話題ブログ」スタッフ | 2007年10月29日 (月) 14時37分
「こんなことが表沙汰になったらこの会社は潰れる」
から
「こんなことを実行したらこの会社は潰れる」に変わるのは、
果たしていつのことでしょうか。
前段の公表については、次第に公表する方向に流れている
ようですが・・・・。
投稿: Kazu | 2007年10月29日 (月) 22時04分
船場吉兆のグループ企業「京都吉兆」の21万円おせち、売り出して初日で完売。
「高くても料亭やこだわりの味が売れる」影なる努力でキャンセル急増の見込み。
”海老やからすみ”があやしい。
投稿: mkmk | 2007年10月29日 (月) 22時50分
どの報道が正しいのかすらわからないのですが、「報道ステーション」では、日付は販売者たる吉兆がラベルを貼り、製造業者は「世界の吉兆を信じて任せていた」といっています。
お孫さんは、「現場が勝手にやった」といい、突っ込まれそうな要素が残っています。
法令違反を正当化するつもりは毛頭ないのですが、「賞味期限」、「消費期限」の意味や妥当性について論じる方がそろそろ出てきてほしいものです。過剰な負担を強いているのでは?という観点です(原料偽装はダメと思いますが)。赤福食っておかしくなった人の話は表面化していないし。
お役所はあの農水省と厚労省でしょうから。その上で、過去の膿を出し切って、再出発を図るような制度作りをしないと、何もかもが疑心暗鬼になってしまい、金融で言えば、バブル崩壊後の投資環境のような事態になるとワーストシナリオかな、と。
こういう政策的リスクマネジメントがないのかなと感じました。このままでは「悪い、悪い」と発行部数目当ての社会部記者の餌食にしかならない事件が続出しそう。
投稿: katsu | 2007年10月30日 (火) 01時41分
皆様、コメントありがとうございます。
伊勢では三つ目のお餅の偽装表示まで出てきちゃいましたし、船場吉兆もお惣菜の使いまわしで「組織ぐるみの可能性」が浮上してきたみたいですね。どうも私の認識が甘すぎるような気がしておりまして、反省をしております。
いずれにせよ、行政の立ち入りとマスコミの報道の相乗効果によって、一度不祥事が出てしまいますと、そっから連鎖的に「あれもこれも」と信用を低下させる不祥事が芋づる式に出てきてしまいます。ほんと、企業にとってはたいへんな世の中になったものです。コンプライアンス経営というものは本当に難しいものだと痛感しております。
投稿: toshi | 2007年10月31日 (水) 01時26分