万能細胞への熱き思い(山中教授講演会)
21日未明に日経ニュース、朝日新聞ニュースや読売新聞ニュースで早速、山中伸弥教授(京大再生医科学研究所)の画期的な研究成果がリリースされておりまして、おそらく全世界で同時にニュースが飛び交っているものと思います。あの韓国の黄(ファン)教授の捏造事件や、米国ブッシュ大統領の研究費予算に対する拒否権発動以来、世界的に注目されている万能細胞研究でありますが、再生医療の実用化に向けて、山中教授のIPS細胞の成果が遂に発表されることとなりました。おそらく21日の各紙でも、報道されているものと思います。
なぜニュース報道が真夜中になってしまったかといいますと、実はこの山中教授、つい先ほどまで、私たちと一緒に大阪の西天満にあります小料理屋で二次会にお付き合いいただいていたからであります。本日、大阪弁護士会館におきまして、山中教授による「万能細胞への熱き情熱」といったテーマでご講演をいただき、その後(お疲れのところ誠に恐縮だったのですが)11時すぎまで二次会にご参加いただいておりました。(報道時間が遅くなりましたのは、おそらく)ご講演の途中から、ひっきりなしに山中教授の携帯がバイブ鳴動していたのでありますが、「ちょっと気になりますので、切っちゃいましょうね」と、そのまま二次会終了時まで携帯の電源をお切りになっていたからであります。しかし生命医学の素人軍団である弁護士を相手に、たいへんわかりやすく最先端の再生医療の現場を解説いただき、また医療と生命倫理の関係にまで深くつっこんだお話を拝聴したことはたいへん貴重な経験でありました。
受精卵を使用するES細胞とは異なり、山中教授の研究しているIPS細胞はわずか数ミリの皮膚片から採取するものでありまして、生命倫理の観点からも抵抗がないわけで、皮膚片から採取した細胞から、バクバクと動く心臓が出来上がり、その動画を見た瞬間、弁護士一同、ビックリ仰天でした。(私の心臓や脳が、近い将来、そっくりそのまま目の前で作れちゃうんですよね。)
ただ私が一番ビックリしたのは、(たいへん失礼ながら)この天王寺(大阪)のコテコテの関西人の先生が、今年7月にバチカン市国から呼ばれ、「万能細胞の研究成果に期待をしております」と励まされ、ローマ法王と握手をしている写真でした。(うーーん、ローマ法王にバチカンに招待されて握手できる弁護士はおらんよなぁ・・・・)
ブッシュ大統領も、このIPS細胞研究には非常に関心を寄せておりますし、当然アメリカの大学からたくさんのお話が来ているようですので、私は、研究費に不自由しないアメリカで研究を続けてはどうか、と質問したところ、山中教授曰く
「やっぱり僕は日本が好きなんで。研究医として、人体への応用が可能となったことを見定めたら、また形成外科の臨床医に戻って、若年糖尿病で苦しむ日本の子供たちや、脊髄損傷や白血病で苦しむ日本人のために働きたいんですよ」
山中先生、きょうはお忙しいところ、本当にありがとうございました。たぶん、先生のスゴサについて理解していた人は、私を含めて、ほとんどいなかったと思います(笑)ノーベル賞を受賞したら、また大阪弁護士会で記念講演してくださいね。
※写真につきましては包括的な一次使用についてご承認を得ておりますが、二次使用につきましてはお控えいただきますよう、お願いいたします。
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コメント
ビビリました。凄過ぎる。
投稿: fuji | 2007年11月21日 (水) 19時21分
貴サイトのURLを私のブログに貼り付けさせていただきました。山中教授,素晴らしい方ですね。温厚そうに見えて,気骨も持っていらっしゃいますし。
投稿: でぶお | 2007年11月22日 (木) 23時14分
深くは存じ上げないのですが、私が山中教授とお話をした印象で、一番好感を抱いたのが「山中研究室」のほかのメンバーの方々を大切に思っておられるところでした。山中チームの一人ひとりの頑張りに感謝されているところが素晴しいなぁと。
しかし新聞報道はすさまじいですね。
どっかの社説では「国費を投じよ」とまで。
プレッシャーかけまくりです。
投稿: toshi | 2007年11月23日 (金) 01時48分