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2007年12月30日 (日)

みなさま、よいお年をお迎えください。(ご挨拶)

今年1年、当ブログをご愛顧いただき、誠にありがとうございました。本業的には、うれしかった裁判もあれば、人に言えないほど恥ずかしい裁判もあり、またコンサル業務も本格的に開始した年で、なかなか刺激的で楽しい1年でした。

ブログ関連で今年一年を総括しますと、まずなんと言いましても、特徴的だったのが「著名ブロガー」の方々と、本当にたくさんお会いできたことです。とりあえず、大阪でお会いした方々は以下のとおりです。

① まるちゃん こと 丸山満彦先生(いやぁ、予想以上に濃いーぃ方でしたけど、頭の回転が速くて楽しい方でした。オフ会にも、東京からお越しいただきました。)

② 行方先生(金商法関連で、10月以降はたいへんな状況だったにもかかわらず、解説本を執筆されましたよね。)

③ 葉玉匡美先生(どんな質問をしても、ポンポンと答えが帰ってきますし、「ここだけの話」をたくさん聞かせていただき、たいへん勉強になりました。サービス精神旺盛なところが、日経ビジネス弁護士第三位の大きな要因なんでしょうね)

④ 大杉謙一教授(学者の先生のなかには、こちらから世間話を持ち掛けないと、なかなか盛り上がらない方もいらっしゃいますが、大杉先生の場合、いろいろな「引き出し」があるようで、楽しかったですね。といいますか、実務に関してもとても勉強熱心でいらっしゃるのが印象的でした。ちなみに、このときはneon98さんもご一緒でしたね。)

以下は東京でお会いした方々です。

⑤ ろじゃあさん(ろじゃあさんのことは、どこまで書いてよいのかいつも悩むところでありますが・・・。また、来年もお世話になると思います。どうかよろしくお願いします)

⑥ 中山龍太郎先生(いわずと知れた47thさんです。私がブログを書き始めるにあたり、もっとも影響を受けた方です。いやいや、ぶっとびましたです。ホント、優秀このうえない。その理由は、またの機会に)

⑦ 磯崎哲也さん(「さん」付けのほうが似合っていらっしゃるようです。アルファブロガーの大先輩で、こちらもやっとお会いできました。私が実は「クウォーターの東京人」であることをご存知なかったようで、たいそう驚いていらっしゃいました。ちなみに、私は井草幼稚園、杉並区立井荻小学校の出身なんです)

また、ブログ関連では、神戸のligayaさん、大阪のgrandeさん、澤村八大先生、東京のひまわりてんびんさん、Deaconさん、埼玉のよっちゃんさんともお会いでき、「リアルの世界」でブロガーの皆様方と対面できたことは本当に楽しい出来事でした。来年はぜひ、リアルの世界で「信託大好きおばちゃん」さんと、お会いしたいです(笑)また、もうおひとり、私のブログの「お師匠さん」であるbunさんにもお会いしたいのですけど、こちらはちょっと無理っぽいですね(^^; お会いしないところが「大人の楽しみ方」だったりもするわけで。

また、「リアルの世界」といえば、関西オフ会が楽しい思い出です。あの20人のオフ会をきっかけに、お越しになられた方々がお知り合いになり、いまもいろんな活動をされているのをお聞きしますと、望外の幸せです。関西あたりでは、あのような会合を希望されていらっしゃる方も多いようです。来年はぜひ金融機関の方々を対象としたコンプライアンス研究会をやってみたいと思いますので、できる範囲でまた検討してみますので、どうかよろしくお願いします。

ブログ記事との関連では、あの京都大学再生医科学研究所の山中伸弥教授の講演会はすごいタイミングでした。あの二次会の翌日から、山中先生は「世界のヤマナカ」になってしまったわけで、私なんかが「山中さ~~ん」なんて、声をかけられなくなってしまいました。あまりにも日本全国の期待が大きいために、いまは逆に少し心配になってきました。

また、いつもコメントをいただく論客の皆様はじめ、「お気に入り」やRSS登録されておられる方々、今年一年、お世話になりました。本業につきましては、どうしても守秘義務がありますので、エントリー内容には制限があるのですが、また来年もマイペースで頑張りますので、「ビジネス法務の部屋」をどうぞよろしくお願いいたします。

12月 30, 2007 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2007年12月29日 (土)

三洋電機粉飾疑惑と会計士の判断(その4)

帰省ラッシュが始まっているようでありまして、私のブログもアクセス数が減少傾向にあります。しかしながら、三洋電機社(オグシオ人気でのバトミントン6連覇おめでとうございます)の不正決算の件、もうすこしまとめておきたいので、ご自宅やご実家でもPCをご覧の方々はどうかおつきあいください。

さて、前回の(その3)におきまして、平成13年3月期ころの金融商品に関する会計基準・実務指針につき、果たして「三洋減損ルール」は公正妥当な会計慣行に該当しなかったのかどうか、といった問題点を検討しておりました。日本のトップクラスの監査法人(中央青山監査法人)が、平成13年当時「適切」と判断していたルールですから、現時点から振り返って「不適切」と判断されるのであれば、それはなぜなのか、個人的には非常に興味があるところです。もちろん、この金融商品会計基準の今年までの運用や、最近の社会情勢を考慮して「不適切」と判断することは許されませんよね。当然のことながら、平成13年当時の社会情勢や、上場企業他社における実務慣行、平成13年ころまでの取扱いなどを(当時にもどって)判断する必要があるわけでして(つまり、三洋減損ルールはおかしい、ということが平成13年当時において誰もが感じることができたかどうか)、おそらく「過年度決算調査委員会」のメンバーの方々も、平成13年当時に触れることができた資料および平成13年当時に集めることができた情報、平成13年当時の会計士さんの一般的な認識などを十分認識されたうえで、「三洋減損ルールは当時の状況からしても不適切だった」と判断されたものと推測いたします___

実は、本業含め、いろいろと忙しかったために、これまで12月25日に三洋電機社HPで公表されておりました(適時開示情報)「過年度決算調査委員会調査報告書について」(42ページあります)を読めておりませんでした。今日、これを熟読しましたが、(その3)でいろいろと書いておりました疑問もかなり解消いたしました。この報告書は今年の「外部第三者委員会報告書」のなかでも貴重な逸品ではないでしょうか。今年のクリスマスは、人にプレゼントをあげるばかりで、何ももらえませんでしたが、ようやく自分ももらえたような気分であります。三洋電機社の元役員さんには失礼ですし、我々監査役にとりましてはたいへん耳の痛い内容を含んでおりますが、外部監査人と監査役が「どのように連携協調していくべきか」といった疑問への具体的な解決を示すものでもあり、私自身、たとえば社外取締役ネットワークの関西での勉強会などで、ひとつの教材としてご提案申し上げようかと思いました。とにかく「過年度の会計処理が適切だったかどうか」といったあたりを、会計専門家の方を中心として判断していく過程は今後の参考になろうかと思いますし、証券取引法監査、会社法監査において、会計士の意見には「セカンドオピニオンはあるか」といったあたりを考えるモノサシになるかもしれません。

この調査報告書(要旨)によりますと、まずは平成11年に策定された金融商品会計基準および平成12年に公表された実務指針を平成13年当時には(異論はあるかもしれないが)旧商法32条2項の「公正な会計慣行」に該当する、としています。(6ページ)そこでつぎに「三洋減損ルール」も、この公正な会計慣行に該当するかどうかを検討するわけでありますが、この金融商品会計基準(実務指針)の策定に関与された方への聞き取りなどをもとに、①導入時における三洋電機子会社の財務状況、②重要性判断に基づく子会社選択の余地はあるが、実際には選択のための作業をしていないこと、③将来収益回復可能性判断はあくまでも経営者の主観的判断、ということを尊重しつつも、その事業計画案作成のための客観的な資料等がみあたらないこと などから、見事に三洋減損ルールの「公正な会計慣行」性は否定されております。また、これらの判断過程において、元役員らの主張と、この外部委員会の結論とでは対立している構図もうかがわれます。やはり、この委員会報告によりますと、平成13年当時の状況に立ち返って考えても、この三洋減損ルールは「公正な会計慣行」たりえない、といった結論に至ったようであります。

このたび三洋電機社は、こういった委員会の報告内容を尊重して、決算短信等の訂正を行ったものでありますので、配当可能利益(旧商法適用下)が存在しないにもかかわらず、多額の配当を行ったこととなるわけで、その結果各紙報道されておりますように「違法配当を認めた」ことになろうかと思われます。(ただし、法定準備金の取り崩しによって配当は可能だった、という論点もありますが)

ところで違法配当が故意によるものか、過失によるものか、という点が問題提起されているニュースをみかけますが、旧商法上の違法配当につきましては、故意過失に関係なく、取締役の損失補填責任が発生する、というのが判例の立場であります。(旧商法266条1項の解釈問題であります)たとえば、東京地裁決定平成12年12月8日(金融法務事情1600号94ページ以下)は、違法配当にかかる旧商法266条1項1号の取締役の損害賠償責任は無過失責任を定めたものである、としつつも、かりに法が理想とするような勤勉かつ有能な取締役であったとしても、取締役会決議に反対することが期待できないような事情がある場合には、取締役が決議に反対しなかったことについての違法性は阻却され、旧商法266条1項1号の取締役の責任は免れるとして、実際に取締役には法的責任がないとしたものがあります。(なお、この事案では社長の権限が絶大で、取締役会で反対の意見が言えなかった等によるものではなく、取締役に就任してまもなくの決議であって、その議案の内容を熟知していなかった、といった点に違法性阻却の原因があったようです。また、監査法人による承認があったことは、そもそもこの違法性阻却事由には該当しないようであります)つまり、よほどの特殊事情でもない限りは、決算承認に関する取締役会で承認をした取締役の方々の違法性が阻却されることはないわけですので、「違法配当」を認めつつ、その法的責任を免れることは至難の業ではないかと思われます。たとえば財務担当役員の独断で三洋減損ルールが適用されようが、全社的に財務会計的知見に乏しかったとされようが、監査法人が適正意見を出して承認していようが、あまり関係ないようにも思われます。また、会社としては、取締役の責任を追及することによって得られる利益と、訴訟提起に要する費用との「費用対効果」を考慮することで、損害賠償責任を追及しない、といった理屈についてもあまり説得的でないように思います。むしろ、(一般投資家保護のための)証券取引法上の「虚偽記載」を認めて減損ルールの修正をはかったことと、(会社債権者保護のための)会社法上の違法配当の基準となる会計基準の取扱いとを区別して考えるなどによって責任回避の理屈を考えるほうが妥当ではないかと思いますが、これは単なる思いつきにすぎませんので、また改めて検討してみたいと思います。

12月 29, 2007 三洋電機の粉飾疑惑と会計士の判断 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月27日 (木)

三洋電機粉飾疑惑と会計士の判断(その3)

朝日新聞ニュースの深夜版(12月26日深夜)「三洋不正決算 議事録『先送り』言及 意図的の可能性も」は、けっこう衝撃的な内容を含んでいるようであります。この三洋電機不正決算問題につきましては、今年2月ころの発覚当初報道の時点から、内部告発によって発覚したものとされておりましたが、私は三洋の関係者から証券取引等監視委員会へ告発があって、その事情を朝日が報道しているものと思っておりました。しかしこの朝日新聞の自信ありげな報道内容からしますと、実際に内部資料とともに、朝日新聞社に告発がなされていたようであります。

しかし、grandeさんもコメント欄でおっしゃるとおり、この不正決算は配当の違法性(違法配当か否か)が問題となっているだけに、2002年ころからの会計処理の違法性が論点となるはずでありまして、当時の三洋電機社における会計処理が公正妥当な会計慣行に従って処理されていたのかどうか、という点が今後大きな争点になってくるのではないでしょうか。(もちろん、朝日新聞ニュースのように意図的な先送りをはかった、ということについて、「違法と知りつつ、先延ばししてしまった」と当事者が認めるのであれば別でありますが、第三者委員会含め、故意による不正決算は認められないとされておりますので、事はそう簡単なものではないと思われます)つまり、02年当時に、公正妥当な会計慣行がいくつかあったのか、それとも当時の社会情勢などからみて、唯一のものだけがあって、三洋電機社がそれに従わなかったのか、そのあたりが問題になってくるのではないかと思われます。たとえ三洋電機社が、意図的に損失を先送りしたとしましても、損失引当金をすぐに積まなかったり、将来見通しとの関係で評価損をすぐには計上しなかったとしましても、そういった慣行が当時、実際に通用していたのであれば、「唯一の公正妥当な会計慣行」は存在しなかったわけでありますので、三洋電機社も、当時の会計監査人も会計慣行に従ったまでであり、セーフと判定される可能性もあります。(このあたりは、上記朝日新聞ニュースによりますと、三洋電機側と会計監査人側との長年にわたる協議議事録が残っているようでありますので、かなり詳細に事実認定が可能なのではないかと思われます。)

つまり、当時の事実関係からみて、会計基準の適用を誤っていたことが判明し、「虚偽記載であった」と認めることと、その会計基準を適用することが、社会の慣行として定着していて、それ以外の適用はおよそ間違いであることが当然とされており、今回修正適用した会計基準が「唯一」の処理方針であったと一般に周知されていたこと(つまり違法性を基礎付ける事実が認められること)とは別個の問題と解されます。このあたりは、私の過去のエントリーのうち「公正妥当な会計慣行」と長銀事件(その1)から(その5)あたりが参考になろうかと思われますので、お時間がありましたら、ご一読ください。このあたりは、法と会計の狭間の問題であり、私自身とても関心のあるところです。また「現場を知る」会計士の方や、経理担当者の方のご意見、反論等もいただけましたら幸いです。

そして、このように考えていきますと、「監査意見の相対性」なる概念を認めるのか、認めないのか、監査意見のセカンドオピニオンは存在するのか、しないのか、そのあたりの結論が、違法配当などにおける取締役、監査役の法的責任を論じるにあたって、きわめて大きな問題を提起することになるものと思われます。(詳細はまた続編のなかで検討してみたいと思います。)

PS 12月26日に金融庁のHPにおきまして、 「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」(監査報酬の開示・監査人交代時の開示に係る部分)が公表されております。たとえば監査人の異動がある場合、会社側、監査人側いずれも、異動の理由を開示することになろうかと思われますが、会計処理についての意見が対立するような場合、またいろいろと問題が発生するケースも出てくるかもしれませんね。

12月 27, 2007 三洋電機の粉飾疑惑と会計士の判断 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2007年12月26日 (水)

三洋電機粉飾疑惑と会計士の判断(その2)

三洋電機株式会社の過年度粉飾疑惑につきまして、昨日(12月25日)過年度決算調査委員会より報告書が提出されたようでありまして、報告書を受領した三洋電機社が「過年度決算訂正に関する報告」を公表しております。過年度決算調査委員会報告では、監査役や会計監査人に対して、「有効かつ適切な監査をしたとは認められない」として、かなり厳しい回答をされているようであります。

代表者や財務担当取締役、監査役、会計監査人らの法的責任があるのかどうか、といった個別事例に関する意見は控えますが、とりあえず法的責任の有無について検討すべき視点をここに提供させていただこうかと思います。私が過去にエントリーいたしました「三洋電機粉飾疑惑と会計士の判断(1)」と「金融庁が三洋電機に課徴金納付命令見送り?」にそれぞれコメントをいただいた方々の意見であります。(いずれも、今年の3月ころに書いたエントリーでありますが、いま読み返してみますと、ずいぶんと恥ずかしいことを平気で書いています(^^;;このように恥ずかしいことを書いているにもかかわらず、非常に貴重なコメントをいただいているところに、改めて感謝いたします )

まず、元会計士さんのコメントでありますが、今回の三洋電機社の過年度決算訂正問題のどこが核心か、という点については、私もこの元会計士さんのコメント内容にほぼ同意見であります。(以下引用)

本件の争点は子会社株式の評価と言うことだと認識しています。子会社株式の評価は原則として、当該子会社の財政状態(純資産)及び今後の事業計画により判断します。通常はこの純資産から算出される実質価額が取得価額の50%程度を下回った場合には、財政状態が著しく悪化していると考えられます。

しかし、著しく悪化している場合でも、事業計画等で回復可能性が十分な証拠によって裏づけされる場合には、減損処理を行なわないことが認められています。本件は、おそらく財政状態の著しい悪化は明確になっていたが、事業計画等の評価の判断の問題であったと思われます。事業計画の評価は毎期行なわれるので、時点が異なれば当然評価が変わり、ある時点で減損処理を行うという判断になります。
問題は事業計画の評価を監査法人が適切に行なえるか?と言うことだと思います。一般的には、会社が公式に作成した事業計画を監査法人が否定することは、非常に難しいです(否定できる根拠が無い)。

1~2年経過した時点で、当該事業計画が達成できていないなどの明確な根拠が無ければ、事業計画を受け入れて減損処理を見合わせるのは、監査人として止むを得ない判断だと思います。すなわち『監査法人が主体的に立証』というのは、不可能であり、仮に投資家がこの立証を求めるのであれば、すなわち投資家が監査の限界や性質を理解していないのだとも言えます。保守主義の原則については、企業会計原則に記載されていますが、一方で過度な保守主義にならないようにということも明示されています。『過度』の定義は無く、その境界は曖昧であるため、保守主義の原則で論じることはなじまない気がします。しかし監査法人の対応策としては、子会社への投資損失引当金の計上が適切な処理として考えられます。この処理を行なっていれば、減損処理をしたことと実質的には同じ効果が得られるため、監査人はこの措置を要求することは可能であったと思われます。この点において監査法人としての判断に疑問はあります。監査法人自身のリスクに対する感覚が鈍っていたと言われても仕方ない気がします。(後からの意見ではなく)。直接本件監査に携わっていたわけではないので、近いところにいた一会計士の私見として書かせていただきました。おそらく他の方は、また別の意見をお持ちだと思います。それが監査というものだと思っています。

(引用おわり)

つぎに、課徴金を三洋電機社に課すべきかどうか、に関する以下のAYさんのコメントにも参考となる点があると思います。(現実には、証券取引法における課徴金制度につきましては、いまのところは行政に裁量権が付与されておりませんので、自主的な決算数値の訂正がある以上は「虚偽記載があった」ものとして課徴金命令は出すことになりますよね。今年3月ころの読売ニュースでは「悪質とはいえない」として、課徴金賦課が見送られるのでは、といった記事が出ましたが、よく考えてみますと、虚偽記載について課徴金を課すのは、故意過失の存在は不要なわけでありますので、現状では見送りはないですね。  以下引用)

証券取引等監視員会が理由を明示しなければわかりませんが、三洋を行政処分するには以下の理由で酷です。
①子会社および関連会社のいわゆる関係会社株式は、国際基準では、関係会社の持分を反映する「持分法」を適用することで連結純利益と一致するが、日本の会計基準「金融商品に係る会計基準」では、原則、取得原価で表示し、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をなし、評価差額は当期の損失として処理しなければならない。 日本の会計基準は、実務上、会社にとっても監査人にとっても、非常にあいまいな基準であること。国際基準では、三洋のケースは起きない。
②上場会社の投資家に対する情報開示では、個別財務諸表を開示するのは日本だけ。海外では、通常、連結財務諸表のみを開示する。海外では、個別財務諸表を開示しないので三洋のようなケースは起きない。

(引用おわり)

いずれにしましても、法的責任を問題にする場合、平成12年、13年当時の状況に戻って、果たして「関係会社株式減損(未公開会社の株式)」の処理については、会計基準によって一義的な判断が可能だったのかどうか、いくつかの選択肢があったのかどうか、経営者や監査人(監査法人)が子会社の業績に関する「見積もり」を行う場合、その根拠となる資料(収益事業計画等)は合理的な見積もりを行うに足りるものであったのかどうか、配当政策を決定するほどの「赤字か黒字か」を分ける会計処理であるにもかかわらず、経営トップなどがまったく知らなかったということが普通にありえたのかどうか、などいろいろと検討すべきところが多いと思います。時間がありましたら、もう少しゆっくりと検討したいところであります。

12月 26, 2007 三洋電機の粉飾疑惑と会計士の判断 | | コメント (6) | トラックバック (2)

2007年12月25日 (火)

(総合解説)内部統制報告制度(その2)

3年前のクリスマス・イヴの日(平成16年12月24日)、金融庁からディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応(第二弾)なるリリースが出され、内部統制報告制度なる基準作成の必要性と、そのための具体的な制度作りが開始されました。ちょうど3年前でありますが、果たしてその当時、金融庁の立案者の方々は、このような内部統制ブームが到来することは予期しておられたでしょうか?また、先日ご紹介したような「(総合解説)内部統制報告制度」なる書物を著して、誤解されないための内部統制報告制度を声を大にして解説しなければならないような事態に至ることを少しでも想像されていたでしょうか?そもそも「経営管理手法」であったり、試査範囲決定のための監査論の世界のものであった「内部統制」なる概念が、突然、証券取引法の世界で議論されることとなり、内部統制に関する様々な意見や憶測が様々な業界において飛び交うこととなりました。そしていよいよ法施行の年を迎えようとしております。すべての上場企業におきまして、文書化(業務プロセスの「見える化」作業と、プロセス評価、監査のための記録保存方法策定作業の両方を含みます)や、具体的な運用方法、検証方法などの確定に忙しい毎日かとは思います。しかし今一度、この3年前の内部統制報告制度導入の契機となりましたリリースを読み返してみて、法としての「内部統制報告制度」が何を目的としているのか(あるいは、もっと高度な目的のための手段として位置付けられているのか)を改めて検討してみることも意味があるのではないでしょうか。

12月4日のエントリーにおきまして、金融庁立案担当者の方々によります上記解説書をご紹介いたしましたが、この本を読みますと、やはり①確認書制度との関係、②四半期制度との関係、③会計基準の整備との関係、④会計監査の充実・強化との関係、⑤連結決算重視の流れ、⑥コーポレートガバナンスとの関係など、それぞれの関係を考えるなかで、経営者評価、監査人監査の基準をどのように解釈すべきか・・・といったことを考えるヒントがいろいろと詰まっているように思います。「金融商品取引法における内部統制報告制度の導入は、開示・会計・監査に加えて、ガバナンスということが、適正なディスクロージャーを支える第四の要素として確立しつつあることを如実に示しているのではないか」なるフレーズが、非常に印象的であります。

ただ、いろいろと読んでおりますと、また疑問も湧いてくるところでありまして、内部統制報告制度とともに、義務化される確認書制度(金商法24条の4の2第1項)の運用について、少しばかりわからないところがございます。この代表者(および財務最高責任者)による確認書というものは、もし内部統制に「重要な欠陥」があり、有価証券報告書提出時点において欠陥が存在する場合でも、「有価証券報告書(または四半期報告書)の記載は正しいものである」として提出することはできるのでしょうか?それとも提出できないのでしょうか?もしくは、有価証券報告書等の記載内容について十分な確認を行うことができず、確認を行った記載内容の範囲が限定されているとして、その旨及び理由を付記することで対処すべきなのでしょうか?そもそも、財務諸表を含めた、有価証券報告書のすべての開示事項について、その真正を担保するために、確認書と内部統制報告書が並列的にその実効性が期待されているものと(私は)理解しているのでありますが、やはり確認書が有価証券報告書自体の信頼性を確保するためのものである以上は、内部統制報告制度との関係につきましても、統一的な理解が必要かと思われます。たしかに「確認書」なるものは、虚偽記載であることを隠して、真正なものとして報告しているものではない・・・ということを代表者が宣誓する ところに意味があることは承知しておりますが、もし内部統制評価において、重要な欠陥が修復されないままである、ということになりますと、虚偽記載があるとまでは確定的にはいえませんが、「有価証券報告書の内容において虚偽記載が存在する可能性がある」ことまでは認識しているはずであります。そういった状況のなかで、果たして「確認書」は提出できるのでしょうか。経営者が確認書を提出するにあたりましては、財務諸表の確定作業のプロセスや内部統制評価、そして開示統制などに関する確認作業が前提となっているのではないかと思いますので、内部統制評価に関するところも重要な内容になってくるのではないかと考えられます。したがいまして「内部統制評価においては重要な欠陥はあるが、それ以外の部分から判断して有価証券報告書に虚偽はないものと認め、確認した」と果たして言えるのかどうか、このあたりの整理につきまして、ご存知の方がいらっしゃいましたら、またご教示いただけましたら幸いです。(ひょっとするとパブコメ回答集のなかに、金融庁の考え方のようなものが記載されていたかもしれませんが、私自身は記憶がありません。また、日本の制度の場合、内部統制報告書自体に対する確認書制度はありませんので、今回の確認書制度は、「確認に至った理由のひとつ」として、経営者が内部統制を有効と評価した経緯についてもとりあげざるをえないのではないかと思っております。したがいまして、これまでの任意に提出する確認書の作成過程はそれほど参考にはならず、まさに「内部統制報告制度と確認書制度との関係」をどう理解するか、にかかっているのではないかと思います)

おそらく確認書も提出をしない場合には、30万円以下の過料(四半期報告書に係る確認書の不提出については10万円以下の過料)に処せられることとなりますので、どんなことがあっても「確認書」は提出しなければならないと思います。また、一般的には、内部統制報告制度におきまして、「有効ではない」と経営者が評価した場合であっても、その欠陥が虚偽表示リスクを及ぼす項目について、試査の範囲を拡大する、サンプル数を増やす等によって、財務諸表監査では適正意見をもらうことができる、とされておりますので、ひょっとすると経営者自身が「確認した」と宣言することもできるのかもしれません。このあたり、上記(総合解説)を読みましても、よくわかりませんでしたが、けっこう重要な点ではないかと思い、ここに疑問を付した次第です。

12月 25, 2007 本のご紹介 | | コメント (7) | トラックバック (0)

2007年12月24日 (月)

労働者派遣業のコンプライアンスはむずかしい

通りすがりさんからご質問を受けたグッドウイルグループ子会社の行政処分問題でありますが、個別企業(もしくは役員個人)の法的責任に関するご質問につきましては、また別の機会に検討させていただくとしまして、すこしばかり「労働派遣事業における法令遵守体制」に関する感想を述べさせていただきます。

大手労働派遣業社としましては、フルキャスト社に続き、グッドウィル社が年明けにも事業停止命令を受けることとなりそうであります(ニュースはこちら)。本日(23日)のグッドウィル・グループ社の適時開示情報によりますと、行政手続法に基づく弁明において、GW社は行政の指摘内容については認める方向のようでありまして、(ただし違法性の認識については概ね否定されているようです)今後の社内体制の強化策についてもリリースされております。そもそも派遣労働者の安全を十分に確保できるだけの体制が整っていない以上は、親会社の取締役に関する法的責任の有無にかかわらず、派遣事業者(派遣元企業)が行政処分を受けることは当然のことでありまして、そこに労働関連法に対する「違法状態」が認められる以上は当分の間、事業停止の措置を受けることにつきましてもやむをえないものと思われます。

ただ、労働派遣における「法令遵守体制」の構築は、たいへん困難な作業を伴うものであり、果たして一企業の内部統制システムの構築によってどこまで防止できるのかは未知数ではないか と感じております。たとえば、ヘルパーさんを派遣する、いわゆる介護事業につきましては、ヘルパーさんが(要介護者やその親族のために)好意でお世話しているとしましても、介護士の職務内容として行政に届けている職務内規に反している行動であれば、その所属している介護事業者が処分対象になってしまうおそれがあります。そうしますと、手の届くところで要介護者が困っていることでも、「留守番は『モノがなくなった』といったトラブルに巻き込まれるのでダメ」など、いろんな制約が出てきて、行政に正直に報告をすればするほど処分の対象になってしまうような事業性を本質的にもっています。同様に、地域や親族とヘルパーさんとの交流のための懇親会などにもヘルパーの方々が参加することは控えることとなりますし、利用者側からしますと「あのヘルパーさんは冷たい」「あそこの事業所は何もしてくれない」といった評価になってしまいます。もちろん、親族への説明責任を尽くすことで理解が得られるケースもあるかとは思いますが、介護事業者からすれば「法令遵守体制」を強化することで、利用者側からは「冷たい業者」と言われ、利用者からは「もっと心のこもった介護をしてくれる事業者を探そう」といったことにもなりかねません。

ましてや、今回問題となっております「港湾作業」ともなりますと、なおさら法令遵守体制の構築には困難が伴います。たとえば、「港湾倉庫」(埠頭から幅500メートル以内に存在する到着荷物の保管倉庫)内におきまして、輸入業者が検品作業をするために派遣労働者を使いたいと思いましても、荷物の「はい替え」(ダンボール箱を下ろしたり、また積みなおす作業)は「港湾作業」に該当するために、別途「港湾作業員」を雇用する必要があるようで、十分な検品作業にも支障が生じる可能性があります。「検品だけのために荷物を上げ下げするだけでも、正社員や派遣労働者に頼むことはできないのか」とも思えますが、こればっかりは法律で定められているので、「法令遵守体制」を構築するためには、派遣先に重々説明をする必要があります。もちろん、派遣先にはそういった費用を負担してもらうことにもなりますが、派遣先としましては、そのような費用負担を要求されるのであれば、経営問題にかかわりますので、もうすこし融通のきく派遣元を探すことになるかもしれません。

こういったことを考えますと、労働派遣業者に法令遵守体制の確保を求めてみましても、その一事業者だけでやれることには限界があるように思えますし、業績向上のための活動と、法令遵守体制の確保との調和点を求めることは非常にむずかしいところだ、というのが個人的な感想であります。(ただし、誤解のないよう申し添えますと、だからといって派遣事業者の法令遵守体制の構築は放置していてよい、といったことを申し上げているわけではありません。「法令遵守体制」というのは、言葉で語るには容易でありますが、リスク管理という面からとらえますと、そのPDCAはかなりムズカシイ問題を含んでいることに留意すべき・・・というのが主題であります。)結局、業界団体において自主ルールを制定して、説明責任を尽くすためのルールの策定や、派遣先のコンプライアンス向上策の共有、ルール違反業者への厳格な罰則適用等、ひとつの企業の社内管理体制の枠を超えて、業界全体としての取り組みが必要ではないかと考えております。

12月 24, 2007 コンプライアンス経営はむずかしい | | コメント (0) | トラックバック (0)