« 2008年1月 | トップページ | 2008年3月 »

2008年2月29日 (金)

「弁護士の露出度」ってどうよ?

最近楽しみながら拝読させていただいている活字フェチ弁護士さんのブログに、「弁護士は露出が命?」なるたいへん興味深いエントリーがあり、私も実名ブログである以上は「露出フェチ弁護士」の部類に属するのであろうか・・・と真剣に考えております(笑)そういえば本日(2月29日)も含めて、2月はおかげさまで8回も講演をさせていただき(呼ばれるうちが華だと思いまして・・・)、アウトプットの時間ばかりでインプットの時間が相当に減ってしまった気もします。来週の講演がいよいよツアー最終(?)ということになりますが、法律会計雑誌への露出度も1月から3月、そしてまたまた5月(中央経済社の「企業会計」)とずいぶんと増えましたので(これまた誘われるうちが華だと思いまして・・・)、ひょっとすると私も「プチ露出フェチ弁護士」の部類に属するのかもしれません。ただ、活字フェチ弁護士さんがおっしゃるような弊害はおそらく私にはあたらないと思います。やはり弁護士といいましても、露出が依頼者にとって不利に働く可能性のある場合というのは、著作物の社会的影響度に依存するところが大きいことによるのでしょうね。私の論稿は「ブログの延長線」上のものでありまして、内容的にはかなりマジメなものでありますが、気にしなければならないほどの「社会的影響度」はないと思いますし、とくに将来的にも訴訟で議論の対象になりそうなものもございませんので、まぁまぁ大丈夫だろうと・・・・・(^^;;

それよりも、私が心配しておりますのは、三浦和義容疑者逮捕にあたって、ロス市警は3年間も三浦氏のブログを観察していた、という報道であります。(ニュースはこちら)ロス市警は三浦氏自身が運営するブログから、彼の生活情報を入手し、今回の逮捕に及んだということですから、けっこう実名ブログも「怖ぇ~~!Σ( ̄ロ ̄lll)
」とビビったりしております。「なにわの中年弁護士、『ブログ』で御用」とか、「法務の『部屋』から『牢獄』へ、そのトホホな人生」とか、なんかlivedoorニュースにでも書かれそうな、へんな夢を見そうな気もしてきました。。。(いえ、いまのところ、特に心当たりがある、というわけではございませんので、ねんのため・・・)

マニアックなテーマにつきまして、多数の常連の皆様方と「公共フォーラム」的なブログを目指しておりますので、まぁ観察されましても、とくに弊害はないと考えながら「ぷち露出」を心がけていきますね。(笑)いつまでも「身の丈」に合った、気負いのないブログでありたいと願っております。(それにしましても、2月はホントに疲れました。。。3月はまた訴訟活動を含め、本業に戻って精進します。)

2月 29, 2008 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年2月28日 (木)

サッポロHD買収防衛ルールの「解釈」と「予見可能性」

27日の日経朝刊記事によりますと、サッポロHD取締役会は、スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(オフショア)エル・ピー(以下、単にSPと表記します)からの買収提案について、これを拒否する旨公表したそうであります。(SPJSFによる当社株式の買付提案に対する当社取締役会の意見書2月26日付け)毎度のことでありますが、私はM&Aに詳しい専門弁護士ではございませんので、以下は大規模買付ルール終了までの経緯につきまして、「上場企業の一社外役員」という立場からの感想程度のものであります。

SPの買収提案につきましては、これまで通用していた事前警告型買収防衛ルール(サッポロHDの買収防衛旧ルール)が適用されることになっておりますが、2月20日に公表されました特別委員会の「追加意見書」などを読みましても、この買収防衛ルールの「当社株券等の大規模買付行為への対応方針」についてはスティール側とサッポロHD側との間に、大きな解釈の違いがあるように思われます。理屈のうえでは、サッポロHD社特別委員会の意見も首肯しうるところだとは思うのでありますが、素直にこの対応方針(4;大規模買付行為が為された場合の対応方針(1)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合)の「例外規定」を読む限りにおきましては、この防衛策は、大規模買付者が「濫用的買収者に該当する場合」もしくは、これと同程度の「濫用的な買収であると明らかに認められるほどの買収を行う場合」しか(ルールを遵守してきた大規模買付者への例外的措置としては)発動されることはないと解釈するのが自然ではないか、と思われます。少なくとも、SP側が買収防衛ルールを、自己に有利なように曲解して強引な主張をしているようには思えません。逆に私は、特別委員会にせよ、取締役会にせよ、ここまで事前警告型のルールにつきまして、最高裁決定の趣旨を取り込みながら広く「解釈」してしまっていいのだろうか・・・と、どうしても疑問を抱かざるをえません。

先のブルドックソース最高裁決定が、事前警告型防衛策をすでに導入している企業について、どの程度の先例的意味があるのかは不明な部分が多いと思われます。しかし防衛策を導入していない企業の緊急避難的な発動と比べて、発動の適法性要件が緩和される余地があるとするならば、それは導入された防衛策のスキームが株主の総意を反映したものであることや、買付予定者にとって、発動による損害の「予見可能性」を高めることに起因するのではないかと考えております。そうであるならば、すでに導入済みの買収防衛ルールの解釈につきましては、およそ理屈でどうか・・・というよりも、一般株主がどう解釈するか、買付希望者であればどう解釈するか、といった点も重要ではないでしょうか。サッポロHD社の特別委員会や取締役会の買収防衛ルールに対する解釈を前提とした場合、果たして一般株主も、同様の意味に解して承認決議を行ったものと判断することはできるのでしょうか。もしそうでなければ、その防衛ルールは「株主の総意を反映」したものではなく、また買付希望者に対して「予見可能性」を付与しうるものとはいえないはずであります。ましてや、サッポロHD社の防衛策の発動は、取締役会限りで行うものでありますから、その発動が多数株主による判断であることの正当性と相当性が認容されるためには、「株主の総意を反映したルール」であり「予見可能性のあるルール」であるかどうかは、きわめて重要なメルクマールであり、十分留意しておくべきポイントではなかろうか・・・と考えております。

ブルドックソース最高裁決定の理由4(2)によりますと、事前の対応策は、株主、一般投資家、買収をしようとする者などの関係者の予見可能性を高めることとなり、現にそのような定めをする事例が増加している、ブルドック社は(たしかに)事前の対応策の定めがないけれども、だからといって対応策を講ずることが許容されないものではなく、企業価値の毀損を防ぎ、株主共同利益の侵害を防ぐためには、多額の支出をしてでもこれを採用する必要があると判断されて行われたものであり、緊急の事態に対処するために行われたものであること、相手方に対してはその価値に見合う対価が支払われれることを考慮すれば、対応策が事前に定められていなかったからといって防衛策の発動が不公正は方法によるものとはいえない、とされております。このような決定理由の表現から、どれだけの買収防衛ルールの効用を認めるかは、まだ明確ではないかもしれませんが、権限分配原則や衡平の理念に照らしても、対応策に何らかの法的意味を見出すためには、予見しがたい解釈によって、そのルールの内容をあいまいにすることは回避すべきではないか、と思う次第であります。

2月 28, 2008 サッポロHDとスティールP | | コメント (5) | トラックバック (0)

2008年2月26日 (火)

監査役の役割と監査行動

日本監査役協会主催の研修セミナーにて、関西支部2回、中部支部1回の講師を務めさせていただきました。本日名古屋での最終のセミナーも終了いたしましたが、関西、中部合わせて延べ750社ほどの監査役の方々に聴講いただき、また遠方より多数ご参集いただきましたこと、厚く御礼申し上げます。(しかし東京本部では2000社を超えるらしいですね。)今回は「金融商品取引法上の内部統制報告制度と監査役制度」といった、まさに金商法と会社法の「狭間」の問題だけに、かなり私見も入りましたが、自社でのご議論、ご活用の端緒になれば幸いであります。

Kansakoudou さて、今回のセミナー講演にあたり、昨年改正されました「監査役監査基準」(日本監査役協会)の全体像を的確に捉えておきたいと思いまして、長年日本監査役協会で常任理事をされておられた鈴木進一先生の「監査役の役割と監査行動」(商事法務)を拝読いたしました。監査役の理想像を追い求めるのではなく、基本に「現実の監査役の姿」を据えて、この金商法と会社法が交錯する時代の監査役の行動指針を提案するものとして、読み応えのある一冊であります。会社法(および規則)の条文の引用等はほとんどございませんが、監査役の皆様方が、監査役監査基準の指針を基本として、どのように行動すべきか、たいへん参考になるものと思います。

この本の「監査役監査基準の逐条解説」のなかで、会社法および会社法規則への、とても興味深い問題提起(といいますか、ご感想)がございまして、会社法施行規則124条(社外役員を設けた株式会社の特則)が、現実の取締役会と監査役との関係にどのような影響を及ぼすか・・・といったあたりへの言及がとても新鮮であります。(ちなみに現在「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令案」が2月29日までパブコメ手続実施中であり、この124条も改正条文に含まれておりますが、今回のお話の点につきましては変更はございません)ご承知のとおり、社外役員を選任している株式会社(公開会社)の場合、事業報告の内容として、①社外役員の取締役会への出席状況、②取締役会での発言状況、③当該社外役員の意見によって会社の事業方針及び事業その他の事項に係る決定が変更された場合にはその内容(ただし重要でないものは除く)、④取締役の法令違反行為が発生した場合において、その予防のために行った行為や発生後の対応(の概要)などを記述する必要があるとされております。おそらくこういった規程の趣旨は、社外役員の活動内容を事業報告に記述することで、会社としての株主への説明責任を果たし、また間接的であるにせよ、社外役員の積極的な職務行動を促す意図があるものと理解しておりますが、この本の著者でいらっしゃる鈴木先生はこういった事項の開示について疑問を呈しておられるようであります。(なお、条文のうえでは「社外役員」とありますが、ここでは「社外監査役」に絞ってのお話であります)

1 社外監査役の取締役会への出席状況・・・・・会社と委任関係にあることとの関係でいかがなものか。社外監査役の発言状況・・・・・取締役会議事録の閲覧要件との関係で均衡を失するのではないか

私も同感であります。社外監査役の活動成績は「取締役会の出席状況」「発言状況」でははかれないものと思います。(もちろん取締役会への出席や意見陳述は会社法383条1項により法律上の義務とされているので、それをカウントする、発言を公表するというやり方もどうなんだろうか・・・とは思うのでありますが)たとえ取締役会に出席していなくても、重要な経営会議に出席していれば、監査役会を通じて監査役の意見形成に関与することは可能ですし、独任制としての監査活動にも影響はないものと思われますので、出席や発言の多少によって「委任の趣旨」に反するような事態にはならないと思われます。また、取締役会で発言することがなくても、経営会議や常務会で発言することで、そもそも取締役会への議案の上程が撤回されたり、修正案が上程される場合も頻繁にあるわけですから、取締役会での発言状況はなんら(期待するほどは)参考にはならないものと思料いたします。

2 予防のために行った行為や発生後の対応として行った行為の問題は、社外監査役の役割と捉えるよりも、まず執行役員(発生後の対応はとりわけ代表取締役)の問題として捉えるべきではないか

会社法上「執行役員」の位置付けが明確ではないので、執行役員の問題とすべきかどうかはわかりませんが、社外監査役が実際に「行動する」ということは、常勤監査役を飛び越えることにほかなりませんので、現実問題としては想定しにくいのではないかと思われます。たしかに「監査役会」の行動とは別に、社外監査役の行動というものの法的には期待されるところがあるかとは思いますが、そのような特別の機会が生じた場合には、おそらく「事業報告」を待つまでもなく、総会等において「個別の監査報告」のなかで説明されるところではないでしょうか。このあたりが現実論ではないかと。

3 取締役会での社外監査役の意見により、会社の事業方針その他の点で決議内容が変更されることはありえることだが、実際にそのようなことを開示するとなると、取締役が恥をかくような印象を持つことになるのではないか

もしこの規程を厳格に捉えて開示する、ということになりますと、ご指摘のとおりかと思われます。ただ、私見ではありますが、こういったことにならないよう、社外監査役が重要な決議内容に修正を与えるほどの意見を持っているのであれば、まず監査役会において協議をしたうえで、監査役会もしくは常勤監査役の意見として取締役会に提言することになるでしょうし、そもそも「決議変更」とはならないように、形の上では取締役会で意見形成がなされたうえで決議が行われた・・・とするのが、「大人の社外監査役」の姿ではないかな・・・・と思う次第であります。社外監査役が本気で決議修正を求める、という事態といいますのは、「あえて取締役に恥をかいてもらう」決意をもって臨むときだけである、と考えておりますが、いかがでしょうか。(以上のほか、まだまだ鈴木先生の傾聴に値するご意見が満載でありますが、とりあえずこのあたりで)

2月 26, 2008 本のご紹介 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年2月24日 (日)

心の痛むニュースですが・・・

大阪証券取引所の執行役員の方が「不慮の事故死」とお聞きして、たいへん驚きました。私はお名前しか存じ上げておりませんでしたが、たしか3月初めにキャスターの田原総一朗さんとご一緒に事務所近くの中之島公会堂で「金融市場と取引所の役割」に関するシンポジウムに出演される予定ではなかったかと思います。まだお若い方ですし、関西の証券業界のためにも非常に残念です。謹んでお悔やみ申し上げます。

(追記)毎日新聞ニュース

2月 24, 2008 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年2月22日 (金)

ついにパンドラの箱があいた「再生紙問題」

「ウソはいかんわ」さんに教えてもらいましたが、うーーーん・・・・・・・、ついにパンドラの箱は開いてしまったのですね。。。おそらく20日の行政庁(環境省および経済産業省)への各社最終報告書提出に合わせての報道ということで。(どこの企業とは申し上げませんが、各製紙会社の最終報告書提出の後、こういった内部告発が出るのでは・・・と予想されていた方はけっこういらっしゃったのではないかと。)

ダイヤモンドオンラインスクープ「認識時期も偽装」

取締役10名中、会長を除く9名が出席されていたということですが、監査役の方々も出席されていたのでしょうか?(ガクガクブルブル・・・)

(追記)「ウソはいかんわ」さんのコメント内容がやっと理解できました。(すいません、王子製紙さんの報告書をきちんと読んでおりませんでした。)この最終報告書を読みますと、取締役会議事録には、そうした発言内容は記録されていなかったようですので、別の重要な経営会議の議事録のようですね。しかし、こういったものが突然出てくるとなりますと、調査された社外監査役や社外取締役さんも、ビックリされたものと思われます。とりあえず速報版ということで失礼いたします。

2月 22, 2008 環境偽装事件 | | コメント (11) | トラックバック (1)

北越製紙調査報告書にみる「J-SOXリスク」

古紙配合率偽装問題は、各社が追加調査報告書を提出した20日の段階で、再び深刻化する様相を呈してきたようであります。ところで、いったんは「辞任しない」と表明されていた代表取締役の方が、この追加報告書の提出を転機として、ついに辞任されることとなった北越製紙社の調査報告書(追加)はなかなか興味深い内容であります。(再生紙製品の古紙配合率に関する調査報告について

この調査報告書の内容をそのまま真実として受け止めるのであれば(すこしアマいでしょうか?)、中間管理職の方々は、営業部門にあっては「再生紙シェアにおける自社の受注減はなんとしてでも食い止める」ため、そして製造部門にあっては、「製造原価を維持するためには、なんとしてでも生産効率の低下を食い止める」ために、配合率が適合していないことを知りつつ、生産を継続していた・・・、というところだったのでしょうか。そのように考えませんと、中間管理職の方々が、担当役員に相談もなく、このような偽装を続けてきたインセンティブが説明できないと思われます。経営トップから各部門への相当に厳しい指令(売上市場主義、利益第一主義)が飛んでいたのが実態だったのかもしれません。

さて、この調査報告書の記載内容におきまして、まず特徴的なのは、平成13年ころに北越製紙社の当時の監査役さんが最初に「どうもおかしいのではないか?」と(当時の社長に対して)疑義を呈したところであります。つまり当時の再生紙販売総数量から計算される理論値よりも、工場における古紙パルプの製造能力が劣っていることについて、疑問を呈されたようであります。このとき、当時の北越製紙社長は、総量において古紙パルプの量が不足していることを認識した、とのこと。その後、工場における古紙処理設備が増強されたことで、「すべての疑義が解消された」ように記述されておりまして、現社長さんも、技術本部長だった当時「問題は解決した」と認識されていたようであります。しかし、先のような疑義が呈されたのであれば、「配合率に問題があるのではないか」と考え、すぐにでも配合率に関する検証をするのが自然であると思われますし、なにゆえ現場の検証がなされなかったのか、疑問が残ります。この監査役さんの発言内容からしますと、平成13年ころまでは組織ぐるみでの偽装はなかったことが判明いたしますが、逆に平成13年以降につきましては、組織ぐるみではなかったか、という疑惑が拭いきれないのではないかと思われます。この監査役さんが「どうもおかしいのではないか」と疑念を抱くに至った過程とか、なぜ配合率を検証しなかったのか、といった事情については、もう少し深く知りたいところであります。

さて、もうひとつ特徴的なのは、「内部統制リスク」というものが調査報告書に登場したことであります。この報告書を読みますと、平成18年4月に「内部監査室」が新設されたようでありますが、この内部監査室が、このたびの偽装発覚のために機能しなかった理由として「金融商品取引法の下での、財務報告の信頼性確保を目的とする内部統制システムのチェックに主眼を置き、業務全般にかかわるコンプライアンス遵守を全社的にチェックする体制ではなかった」とのこと。当ブログでも以前から懸念していた「フレーズ」がついに現実に登場してしまった、という印象であります。この北越製紙社の内部監査室が、いわゆるJ-SOX対応プロジェクトの一貫として設立されたものであれば、やむをえないところもあるかもしれませんが、一般論として申し上げるならばJ-SOX対応への取り組みが本来内部監査室に求められている重要な機能に支障を来たす、というのはやや本末転倒ぎみであります。でも現場をみるかぎり、このような「言い訳」が通ってしまいそうな雰囲気が漂っている上場企業さんも、実際にあることは間違いないところでありまして、そのうち「監査法人さんからの指示でJ-SOX対応に専心しているあまり、業務監査を疎かにしていました」とか「J-SOX対応に追われていたので、四半期報告書の提出が遅れてしまいました」なる(もっともらしい)言い訳がまかり通るようになるのかもしれません。内部監査人が内部統制報告制度の要(かなめ)である、とは言われておりますが、こういったフレーズが現実化してくるとなりますと、J-SOXの理想と現実のギャップを埋める議論も必要になってくるのかもしれません。

2月 22, 2008 環境偽装事件 | | コメント (9) | トラックバック (0)

2008年2月20日 (水)

「公正ナル会計慣行」と長銀事件(その6)

すでにろじゃあさんのところでも話題になっておりますが、長銀粉飾事件の刑事事件(証券取引法違反、商法違反被告事件)につきまして、来る4月21日に口頭弁論が開かれるそうであります。(読売ニュースはこちら)ご承知の方も多いとは思いますが、最高裁で上告(受理)事件に口頭弁論が開かれるということは、高裁での判断が覆る可能性が濃厚ということでありまして、そうなりますと元長銀トップの方々の有罪判決が無罪となる可能性が高まったと考えてよさそうであります。この長銀事件は、刑事と民事で結論が食い違っておりまして、しかも立証の程度(無罪推定原則)の関係からみまして、民事違法→刑事無罪ならまだわかりますが、民事適法→刑事有罪という、「まれにみる食い違い」が生じておりまして、最高裁の判断が注目されていたところでありました。なお、エントリー(その1)から(その5)までは、公正妥当な企業会計慣行と長銀事件のカテゴリーでまとめてお読みになれます。民事事件についてもRCC側から上告がなされており、また日債銀事件の結論にも影響を及ぼす可能性のある最高裁判断ですので、刑事上告事件とはいえ、争点についてはかなり明確な判断が出るのではないかと期待をしております。

証券取引法193条【現 金融商品取引法193条】による包括委任(つまり内閣府令)のない会計基準については、どのような場合に「公正なる会計慣行」といえるのか、またすでに会計慣行といえる会計基準が存在する場合において、どのような要件が具備されれば、新しい会計基準が「唯一の会計慣行」にあたる(つまり法規範性を有する)のか、といったところが最大の争点だと思われます。ただし、なんといいましても、すでに10年以上前の不良債権処理が開始される頃の時代背景がございますので、金融商品会計基準が施行されていない時代の事件であること、投資家や会社債権者に対して「高度の注意義務が課されている」金融機関の事件であること、また当事者が新旧の会計基準が存在しうることを認識しつつも、最終的には会計士(監査法人)の意見を参考にして旧基準(いわゆる税法基準によって補充された改正前決算経理基準)にしたがって貸付金の消却・引当を行ったこと、当時は銀行の自己責任ということが言われだした時期ではありますが、いまだ「護送船団方式」の名残があったことなどが、裁判所の判断にどのように影響するのか、そのあたりも十分配慮しておく必要があろうかと思われます。

会計基準の「法規範性」の問題は、古くから「法と会計の狭間の問題」として、著名な商法学者の方々や会計学者の方々の間で広く議論されてきたところでありますが、本件のように「異なる会計基準」の適用に関する問題だけではなく、最近は会計コンバージェンスの趨勢のなかで「同一の会計基準」の解釈に関する問題も指摘されるところではないでしょうか。BS重視(連結グループにおける企業群全体の価値算定重視)の時代の会計基準となりますと、金融商品、リース会計、減損処理、繰延税金ほか、適用されるべき会計基準には争いはないけれども、その解釈には大きな幅がある、といった場合にも、そこに違法配当事件や有価証券報告書の虚偽記載事件などに問われるリスクが横たわっているケースが多いと思われます。最近でも、三洋電機社の過年度決算修正につきまして、社外独立委員会は、金融商品会計基準(子会社株式の評価)において、いわゆる「三洋減損ルール」が会計基準の適用として誤りがなかったかどうかを精査しておられますし、今後も、経営者の将来収益に関する見積もりを伴うような会計基準の適用にあたっては、同様の場面も十分想定されるところであります。少し場面は異なりますが、今回の不正会計事件に対する最高裁判決の判断内容が、最近の事例にもアレンジできるようなものであれば、非常に有意義なものになるかもしれません。

最後にろじゃあさんのエントリーからの引用ですが

司法に携わる方々は裁判官であろうと検察官であろうと、弁護士の方々も、本来、普通の移ろいやすい世間の時間軸とは別の時間軸を併せ持って、いろいろな社会の動きによる問題をある意味で「矯正」する作用があるように思います。
これを正当に評価する眼を本来であれば国民は持つべきだと思います。

そのように言ってもらえるとうれしいです。といいますか、そこでしか我々は社会に有用な仕事ができないと思います。「別の時間軸」を持つことで、ときどき石を投げられることもありますし、時間軸を素直に修正することもありますが、「いつかわかってくれるときがくるだろう」と期待しつつ、きょうも仕事をしております。。。

2月 20, 2008 「公正妥当な企業会計慣行」と長銀事件 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年2月19日 (火)

会計不正事件と「あぐりあぽん」

京都のある会計士さんから、「おもしろそうですよ」とお勧めいただきましたので、近畿公認会計士協同組合主催の公認会計士さん向けのセミナーに参加してまいりました。第一部は共同通信社の種村記者(「監査難民」の著者でいらっしゃる方)と、会計士さんとの「会計不正事件と法改正」をテーマとした座談会、第二部は大証の執行役員の方の「金融商品取引法と大阪証券取引所の対応」なる講演で構成されておりまして、どちらかといいますと第二部の聴講が主たる目的だったのですが、第一部もけっこう興味深いものでありました。(会計士協会のセミナーではなく、会計士協同組合のセミナーとして開催された意味が少しだけわかったような・・・・・(^^;  )

誰が何を語っていたか・・・といったご報告は、関係者の方々のご迷惑になりますので、とりあえず、どんな内容のお話に私が関心を抱いたか・・・という点だけを記述いたしますと、①会計士の保証業務と「あぐりあぽん」(Agreed upon procedures)、②日米メディアの監査制度に関する知識の差、③日米「上場廃止」に関する意識の差、④監査法人のインセンティブの「ねじれ」と監査役制度、⑤公認会計士法改正と課徴金制度、⑥会計士とゲートキーパー(通報制度)、⑦会計士協会と金融庁の関係、⑧会計士と「監査現場離れ」の問題、⑨米国PCAOBと日本のPCAAOB(公認会計士・監査審査会)との権限やスタッフの差などなど・・・、ほかにもいろんな話題で盛り上がっておりましたが、上記の話題は会計士さんの立場から、どのように考えられているのか、とても参考になりました。もちろん、保証業務と「合意された手続き」の関係は、いま会計士さん方のブログでもっともホットな(といいますか熱い)話題と関連したものであります。(弁護士としても、財務DDをあまりご存知なければ、保証業務以外の会計士さんの業務というものはあまり認識されていないのではないか、と思います。)

このたびのアイ・シー・エフの事件は、被疑事実や被疑者供述の内容が未だ不明でありますので、なんとも申し上げることはできませんが、会計士さん方のリスクに関わる問題としては、このたびの事件と離れて、一度きちんと「犯罪関与リスク」なるものを、法律専門家との会合などによって理解されたほうがいいのではないかなぁ・・・といった印象を(本日のセミナーに参加して)強くいたしました。「ここまで監督官庁に監視されて、まっとうに業務をこなしているにもかかわらず、なんで逮捕リスクにさらされるねん?」といった強い憤りを覚える会計士さん方もいらっしゃるとは思いますが、昨今の監査法人を取り巻く環境を考えますと、今後も同様のリスクにさらされる可能性は増えることはあっても、減ることはないように感じます。

たとえばひとつの例ではありますが、日興コーディアル不正会計事件の際、検察ご出身の方が委員長でありました社外独立調査委員会の調査手法は「仮説を立てて、その仮説が合理的に正しいかどうかを、仮説を基礎付ける事実をひとつひとつ、検証して積み上げる手法」というものでありました。あのときは、会計基準の適用の可否(ベルシステム24なる上場企業を支援するSPCに、果たしてVC条項が適用されるか否か)といった点では、議論が堂々巡りになってしまって、そこから仮説を基礎付けることは困難とされ、いわゆる「取引日時を遡らせる」という事実を決定的な裏づけ事実として活用されたように記憶しております。そこで、もし会計士の方が逮捕リスクを負う、という事態が考えられるとするならば、会計基準や監査基準の解釈などに関わる問題ではなく、もっと積極的に犯行に関わることを示す「基礎事実」のところで検証がなされる傾向が強いのではなかろうか、と思われます。このあたりは法律家のほうが詳しい分野かもしれませんし、事実分析の手法が法律家と会計士では異なることもありえますので、ある程度の相互理解が必要なのかもしれません。「粉飾決算被疑事件」の積み上げ方につきまして、むしろ経済事件の捜査にそれほど詳しくない「ヤメ検」の先生などと、勉強の機会を設けるようなことも、有意義ではないでしょうか。そこでは単に「経営者と距離を置くこと」がリスク回避ではない・・・といったことも認識できる場になるかもしれません。

2月 19, 2008 監査社会の彷徨 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年2月18日 (月)

イマドキの独立第三者委員会(その3)

サッポロHDは、事前警告型買収防衛ルールの改訂版を次回定時総会(3月29日)に提案するとリリースしております。(