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2008年2月 4日 (月)

反社会勢力排除体制の開示

2月3日の朝日新聞の朝刊(9面)によりますと、昨年1年間に企業不祥事を公表した上場企業50社の平均株価下落率が、公表後5日で約1割とのこと。なかでも4社は35%を超える下落率だったそうでして、こういった調査結果をみますと、不祥事公表前になんとか売り抜けてしまおう・・・といった誘惑にかられる役職員の方も大勢いらっしゃるのかもしれません。中国産ギョーザを輸入していた企業におきましても、証券取引等監視委員会の調査が開始される、との報道がなされておりますが、証券取引等監視委員会の陣容は拡大しておりますし、課徴金制度がますます厳格に適用されるなか、インサイダー取引は企業の社会的評価をますます毀損する、いわゆる「二次不祥事」の典型ですので、十分ご留意ください。

さて、大証では、この2月1日から「特設注意市場銘柄」指定制度の導入等に伴う上場制度の見直しに係る関連諸規則の一部改正」が施行されまして、1部、2部上場企業は、コーポレート・ガバナンス報告書」において「反社会的勢力排除に向けた体制整備」を記載することとなります。(東証でも同様ではないかと思われます)昨年6月の政府指針が公表されて以来、企業行動規範や、内部統制システムの基本方針を見直された会社も多いかとは思いますが、このたびは各企業における反社会的勢力を排除する仕組みについて報告書で開示する必要があります。(4月末までに手続を済ませる必要があるようです)これまでほとんどの企業の内部統制基本方針の記載、行動規範の記載が「宣言」にとどまっており、なんら具体的な取り組みが(外からは)見えてきませんでしたので、もし具体的な取り組みが報告書に記載されるとすれば、興味深いところです。(どこでも同じ記載では開示事項としたことに意味ないですし)昨年の12月3日に反社会的勢力対策の実務的深化なるエントリーをアップいたしましたが、そのなかで排除の仕組みを検討する際のいくつかの視点を図にしておりますので、(開示するか否かは別として)議論の整理としてご活用いただければ幸いです。

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コメント

開示といっても、そもそも何をしたらいいのか、その指針すらまともに出ていない段階で、企業としては困るのが現状ではないでしょうか。政府指針は、反社会的勢力排除に向けた仕組みを会社法の内部統制システムの一環として考えているようですが、そうであるならば、なおさら、企業がそれぞれ、自社の業界や規模、特性を踏まえて、仕組みを構築していくことになるのだと思います。


大証は、ヘラクレス市場での件がありますので、相当力を入れているのでしょう。

 でも、大証さん(関係者の方もこのブログをご覧になっているのを承知で)、IPOを目指す企業が、コンプライアンスを遵守する範囲で調査ができる範囲の情報で判断することを原則としないと、IPOできる企業がなくなりますよ。
 IPOの段階でかなり深い調査ができているかよりも、自浄作用を働かせて、「発見→排除」できる仕組みを構築して、反社会的勢力との関係断絶に積極的に取り組もうとしている企業の努力の方が大切ではないですか。この仕組みがなければ、上場した後に、問題になった複数企業のように反社会的勢力に入り込まれて、それまでですから。また上場すれば、蛇の目ミシンの最高裁判例でも指摘されているように、反社会的勢力による株取得を防ぐことは難しいですから・・・・。入り口のハードルだけを高くするより、複数のハードルを設けて、企業の努力を評価してあげてくださいね。

 大証さんの立場もありますので、この辺で。

投稿: コンプロ | 2008年2月14日 (木) 23時44分

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