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2008年4月30日 (水)

上場制度整備プログラム2007の履行状況雑感

昨年4月24日に東京証券取引所より「上場制度総合整備プログラム2007」が公表されましたが、その履行(予定)状況につきまして、問題点を整理する目的で一覧表にしてみました。(履行状況といいながら、マスコミで「検討中」として報道されているものも含んでいることにご注意ください。)また、私自身の記憶に頼りながら作成したものにすぎませんので、他の整備プログラム実施事項として、すでに履行済みのものがあるかもしれませんので、漏れがありましたらゴメンナサイです。なお、表の右側にA、B、Cと記しておりますのは、A;上場企業の行為自体を東証自主ルールによって規制しているもの、B;東証が原則的な行動指針を示し、その指針に反する企業行動については企業の合理的な説明を求めるもの、C;開示によって投資家の判断に評価を委ねることで、間接的に企業行動に影響を及ぼすもの、として区分しております。

Seibipuro_2 第三者割当増資の開示強化につきましては、すでに以前のエントリーでも述べましたが、開示による投資家への注意喚起では市場の健全性が維持できず、具体的な行動規範として株主総会決議などを必要とすることになるのでしょうか。第三者割当増資による現存株主の利益確保(少数株主保護)については、制度に関する国際比較が必要でしょうし、また第三者割当を規制することで、エクイティファイナンスの機会が失われる点については議決権制限株式(配当優先株式)の上場制度を充実させることによってカバーする予定なのかもしれません。

また先日、親子上場に関する規制方針に関する報道がありましたが、これも親子上場(子会社の上場)をすべて禁止してしまう、という方向には進まないと思われますので、「望ましいものではない」という東証の基本原則を表明したうえで、もし上場する(上場を維持する)のであれば、子会社上場を維持するための合理的な理由を説明させる、という方向で詰めることになるようであります。会社法施行規則においても、公開会社が総会集中日に株主総会を開催する場合には、その理由を述べさせるなど(ただし特に理由があるときに限りますが)、こういった手法による規制というのはときどきみかけますね。

法律家として興味深いのは、やはり「不服申立制度」ですね。先日のニュースにもありましたが、特設注意市場銘柄として指定されるケースや、制裁金を課される場合などにも不服申立の対象になる、というものであり、また申立によって東証による処分の効力が一時停止される、というものであれば、けっこう利用されるのではないでしょうか。また、この表には記載しておりませんが、「公認会計士との連携強化」ということで、監査人交代時における開示の充実も実現したところであります。

上記以外にも、マザーズ上場企業について、一定期間経過後に成長が見込まれない場合に退出を促す方策とか、すでに上場している会社の内部管理体制の確認方法に関する整理を行うこととか、実際に検討されているのかどうか、進捗状況を失念しているところもございますので、詳しい方いらっしゃいましたらご教示いただけますと幸いです。また、本件は取引所と発行企業との関係だけを採り上げましたが、取引参加者(金融商品取引業者)との過怠金引き上げに関する話題や、公開会社法に関する話題なども、こういった整備内容と関連するところであり、個別の論点については追ってまたエントリーで検討してみたいと思っております。

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