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2008年4月10日 (木)

JASDAQ「処分を判断する際の留意事項」から何を学ぶか?

Yahooニュースよりお越しのみなさま、はじめまして。内容が不明でありましても、決してスパムブログではございませんので、どうかご安心ください。ときどきコンプライアンスネタもやっておりまして、いつもマニアックな話題ばかりではございませんので、どうかよろしくお願いいたします。

4月4日、株式会社ジャスダックより、取引参加者(金融商品取引業者)向けの「処分を判断する際の留意事項について(案)」が公表されておりまして、今後の取引参加者に対する処分の公正性、透明性向上をはかるために公表されたようであります。もちろん、これは取引参加者向けでありまして、証券発行企業向けではございませんが、こういった処分のための判断基準が公表されることはあまりないものと思いますし、今後発行企業を対象とした自主ルール(つい先日も、「違約罰」が検討されている、といった記事が出ておりました)や、金融庁による行政処分(ご承知のとおり、金商法の改正によって上場企業にも制裁的課徴金が課されることとなります)などにも通じるところもあると思われますので、ご興味のある方は一度目を通されてはいかがでしょうか。ところで、この判断の際の留意事項でありますが、ざーっと目を通しただけでは「特別なんてことない」ようにも思えますが、細かいところまでチェックしてみますと、いろんな疑問点が出てくるようです。たとえば、私が感じましたのは以下のような点であります。

1 この判断の留意事項で重い処分、軽い処分、不処分の区別は可能か?

違反行為の内容や、市場への影響度、内部管理体制の状況などから、重い処分と軽い処分を区別すべき基準はなんとなく理解できるのでありますが、では軽い処分と処分をしないケースとは具体的にどのような基準によるのでしょうか?そのあたりが、これを読んでおりましてよくわかりませんでした。そもそも、この留意事項のなかで「違反行為」とか「違反状態」なる用語が使われているのですが、この「違反行為」というのは違反企業に故意過失を含んだものなのかどうかがよくわからないのであります。おそらく証券取引所で自主ルールをもって違反状態を排除するのが目的であり(たとえば取引所の公益性を維持したり、投資家を保護したり)、取引参加者にペナルティ(制裁)を課すことだけが目的ではないと思われます。(もちろん、重い処分と軽い処分が区別されておりますので、ペナルティとしての意味も含んでいるわけですが)そうだとしますと、取引参加者に故意、過失なる「責任」が認められなくても、この取引所による処分は課されることになりますので、「違法行為」とそうでない行為というものが取引参加者の故意過失とは別の基準で区別されるのではないか・・・と思われます。そういった観点からしますと、不処分と軽い処分とを分ける基準というものがどこにあるのか、かなり疑問を感じるところであります。

2 組織的関与の認定←「経営者が看過したとき」?

東証や大証が日興コーディアル証券に対して上場廃止としなかったときの理由として、「全社的、組織的な犯行とは認めるには至らなかった」ことが挙げられておりましたが、この処分留意事項の「④違反行為の関与者」のあたりを読みますと、「違反行為の関与者の役職、責務、人数や関与部店数などを考慮します。経営陣がそれを容認又は看過していた状況や上位役職者が関与した状況が認められる場合は、組織的に行われたものとして重い処分を課します」とされております。つまり、社員による違反行為について、経営陣がこれを首謀していたり、知悉していた場合のみならず、「うっかり知らなかった」場合であっても、これを組織的関与があった、と判断するということなんでしょうか?「看過」というのは知っていながら知らないふりをしていた・・・という意味ではなく、普通は「うっかり見過ごしていた」という意味に使われるでしょうから、「看過」まで含むとなりますと、かなり組織的関与があった、とされる違法行為の範囲は広くなってしまうのではないでしょうか。ホントにこれでいいのかどうか、少し疑問に思います。

3 内部管理体制-取引参加者としての責任の認識

これは先の1における疑問とも関連するのでありますが、違反行為が発生したことについて経営陣や内部管理統括責任者が責任を認識していないと認められる場合には重い処分を課します、とされており、つまり責任を認識していないような場合にはペナルティが課されることになっております。しかし、そもそも証券取引所が処分を課すのは、基本的には市場の健全性維持、投資家保護を第一義とするわけですから、取引参加者に故意過失がない場合であっても、その違法状態を排除するためであります。だとしますと、そもそも取引参加者側に故意過失がない場合であっても処分は可能なわけですから、経営陣がその責任を認識していない場合というのも出てくるわけでよね。ということですと、経営陣が責任を認識していないことを根拠として、ペナルティ(つまり重い処分)をその企業に課すということは少しおかしいのではないでしょうか。

いろいろと疑問点をあげておりますが、軽い処分と重い処分の区別基準から、学ぶべき点は多いと思います。また、このあたり詳しい方がいらっしゃいましたら、ご教示いただけますと幸いです。

4月 10, 2008 証券業界の自主規制ルール |

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コメント

「看過」とは、
見て見ぬふりをすること。見過ごすこと。大目に見ること。
うっかり知らなかったこと。
後者の用例は、珍しいと思いますが、此れ如何に。

投稿: 通りすがりのものですが。 | 2008年4月12日 (土) 02時15分

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