リコール実施と開示統制システム
昨日のエントリーには、たくさんのアクセスをいただき、ありがとうござした。内容的に、それほど盛り上がるようなテーマではないのでありますが、やはり粉飾決算と会計監査人の責任問題・・・というのは、けっこう注目度が高いのでしょうね。間違った内容等ありましたら、どうかご指摘いただければ幸いです。(そういえば、関連するような問題で、5月21日付けにて、日本公認会計士協会のHPに懲戒処分リリースが掲載されていますね。処分理由を読んでかなりビックリしました。)
さて、JASDAQ上場企業である日本トイザらス社が販売商品の塗料に問題があったとして、製品回収(リコール)を告知しましたが、リコール発表の時間を報道機関を通じて予告することで、その告知内容が世間に大きく知られるところとなりました。企業の社会的責任を宣言する企業として、このリコール実施の方法は、まさに企業の体質を物語るものであります。
こういった危機管理(クライシスマネジメント)の一環としてのリコール実施方法について、私がよく参考にさせていただいているのが「不祥事を防ぐ市場対応ハンドブック」(久新大四郎 著 唯学書房 2800円税別)であります。前半部分はまさに問題発生の第一報からリコール実施までの詳細な解説が記述されておりまして、現場感覚がよく把握できるもので、たいへんありがたいです。後半は、まさにいま問題となっております消費者庁へ移管が予定されている各法律を消費者問題との関係から手際よくまとめておられるものであり、私にとりましては「一粒で二度おいしい」参考書であります。著者の九新(きゅうしん)氏はソニーCSオフィサーなど、長年企業の側から消費者問題に関与されている方でありまして、法律家の執筆するコンプライアンス本よりも「明解でわかりやすい」内容であります。いざ!というときはもちろんコンサルティングが必要でありますが、平時におけるリスクマネジメントを考えるには最適であります。この前半部分を参考にしながら、今回のトイザらス社のクライシスマネジメントの手法などを検討してみると、リコールの成否が企業の情報開示統制に大きく依存していることがおわかりになるかと思います。
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